はじめてのふくし21版
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38泥にまみれてしまっていますが、水にのまれながらも精一杯生きた盆栽です。いただいた私たちは、命・生きるということの重みをしっかりと胸に刻み込みました。また、あるお宅で、はがした壁を土のう袋に入れる手伝いをしていたところ、その家の奥様から「日本福祉大学の学生ですか?」と聞かれました。「そうです」と答えると、「私、福祉大の卒業生なんです」と、とても嬉しそうに話してくださいました。大学の話で盛り上がり、「ここで福祉大の後輩たちと出会えたことで元気が出ました!」と語ってくださいました。私たちの姿だけで少しでも力になることもできるのだと、勇気づけられ、現地にお住いの方々の想いに寄り添うことの大切さを身をもって知ることができました。災害ボランティアセンターでは、このような現地での体験を、大学のある知多半島に減災の取り組みとしていかしています。美浜町では「みんなの減災カレッジ」を大学・行政・社協の3者協働で実施しています。また、武豊町では小学校や中学校の授業で防災福祉教育に取り組ませていただくと共に、学生が主体となって地域減災活動である「あそぼうさい」を開催しています。1959年、中部地方を襲った伊勢湾台風の際、日本福祉大学は救援に立ち上がることこそ社会福祉の原点と考え、学生・教職員とともに学園創立者の鈴木修学先生も支援活動を行ったとのことです。「社会福祉は人にあり」と喝破された鈴木修学先生の教えは大学の伝統として脈々と現在に根づき、今回の災害支援活動の中でまさに実践をもって心得ることができると気づかせてくれたのではないでしょうか。© 2004 Nihon Fukushi University被災地での学生ボランティア活動2018年は災害が多発する年でした。日本福祉大学では災害ボランティアセンターが中心となり、被災地を応援する募金活動を何度も大学内で実施しました。また、7月に発生した西日本豪雨災害では、被災地のひとつである岡山県総社市の日羽地区にて支援活動を実施しました。急な呼びかけにも関わらず、14名の学生と4名の教職員が集まり、大学のバスで現地に入りました。2日間、私たちは3つのグループに分かれて、地区内にある家の掃除やがれきを運ぶなどの作業をお手伝いさせていただきました。その中で、様々な方との出会いがありました。あるお宅のがれきをトラックに積める手伝いをしていた時、そのお宅の方が飼っているペットのお話や、被災されたときの話を聴かせてくださいました。そして、その方は帰り際に「これ持って行って!」と盆栽2つを私たちにくださったのです。それは豪雨災害の被害に遭いながらもまだ生きている盆栽でした。

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