平成17年度「特色ある大学教育支援プログラム」ユニバーサル・アクセス時代の通信教育 〜生涯学習型ネットワークキャンパスの構築をめざして〜 |
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本通信教育課程は、少子・高齢社会において急務とされる「医療・福祉マネジメント人材養成」ニーズに応えるべく、本学福祉経営学部医療・福祉マネジメント学科(開設当初は「経済学部経営開発学科」)の教育目標を生涯学習プログラムの形で実現するために同学科に併設された。本課程の教育内容は、主たる学生層である現職社会人の豊かな職業現場体験に裏付けられた知見の活発な交流、その再構築・体系化を目指すものである。主な特徴は、@学習支援・学生交流機能を包括したキャンパスシステムである「NFUオンライン」、A学習者の主体性を喚起する参加型の「セッションスクーリング」、およびBインターネットを活用し、アクセシブルな学習方法を可能とするネット添削・試験システムである。これによって、実践的かつ柔軟な学習体系が実現した。その成果は、本課程第一期生の4年次在籍者卒業率「約54%」という実績に示されている。
本学は、開設以来、一貫して「社会人教育」に力を注いできており、それが本学教育における伝統と実績の一つとなっている。
@本学の社会人教育は、前身である中部社会事業短期大学第2部の設置(1954年度)に始まり、4年制大学への改組後(1957年度)は本学社会福祉学部第2部に引き継がれた。以降、全国の大学における社会人入試の先駆けとなる「勤労者特別入試」の開始(1977年度)から本課程設置母体となった経済学部経営開発学科夜間主コースの設置(2000年度)にいたるまで、本学は「通学課程」おいて社会人教育の拡充を図ってきた。また、その間、本学の3つのキャンパスにおいて、生涯学習センターをはじめとする地域に開かれた社会人のための生涯学習事業にも取り組んできた。2004年度の実績として、社会人学生数は142名、生涯学習講座受講者総数は1,280名となっている。
A少子・高齢化が進展する昨今、医療や福祉の現場のみならず、産業界等においても「福祉経営」「医療・福祉マネジメント」人材養成ニーズは急速な高まりを見せている。とりわけ、現職社会人を対象とする人材の養成が急務とされる中、その社会的要請に応えるためには「通学」を条件とする教育課程だけでは限界がある。そこで、本学は、より多くの学習ニーズに応えるべく、「福祉経営学部医療・福祉マネジメント学科」(「医療・福祉領域における新たなマネジメントのあり方を構築・提示するための研究」ならびに「福祉経営を実践し担いうる人材の養成」を研究・教育目標とする)に「通信教育課程」を併設した。
B年齢、地域、職種、生活形態を問わず、「いつでも、どこでも、だれでも学べる」学習条件を実現するためには様々な制約条件の克服が必要とされる。これまで、大学の通信教育課程は多くの入学者を受け入れてきたが、困難な学習条件を克服しうる一部の者だけが卒業資格を得られるものであった。現職社会人にとって、仕事と学習の両立は極めて困難であり、大学通信教育全体としての卒業率も1〜2割以内にとどまってきた。このような従来の通信教育の問題点や課題を克服すべく、本課程は「インターネットを活用した先駆的な学習システム」によって、高齢者、障害者を含む、様々な制約条件下におかれた学習者にとってのアクセシビリティを確保し、その直接的な学習ニーズに応えうる、ユニバーサルアクセス時代の「開かれた生涯学習プログラム」として設置された。 2004年度に完成年次をむかえた本課程では、同年度末時点で3,456名の学生が学んでいる。その属性は、【図1】【表1】に示すとおり、平均年齢39歳(18〜85歳)、居住地は海外10ヵ国を含む全国各地、現職社会人の比率が71.9%、障害学生数は57名(【表2】参照)、職種は社会福祉施設・医療関係をはじめ企業、行政など、実に多岐にわたっている。
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【図1】学生概況(2004年度在籍者)
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【表2】障害学生数(2004年度) |
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@4つのマネジメント分野 本課程の教育・研究領域は、「医療・福祉マネジメント」、「ビジネスマネジメント」、「コミュニティ・国際協力マネジメント」、「ヘルスケアとライフマネジメント」の4分野から構成されている。医療・福祉マネジメント人材の養成には、様々な領域における多面的なマネジメント能力の形成に資する知見が必要であることから、それぞれの4分野は相対的に独自の領域を対象としつつも、相互補完性を志向した編成となっており、学生は自己の問題関心に従って、各分野の科目を柔軟に履修できるようになっている。したがって、学生は各自の主たる関心分野の科目を中心に履修しつつ、隣接分野もしくは異なる分野の科目をも横断的に履修することで、課題解決に必要な多面的な知見、自己の学習内容の相対化と学際的素養を得ることが可能となっている。
Aセッション型スクーリング 本課程のスクーリングは、特定科目の内容についての教員の一方通行的な講義のみでなく、分科会形式によるワークショップ、学生による研究発表(事例研究発表)等を組み込み、対話型の「総合セッション」として位置づけられている。そこでは、ゲスト講師による講義を適宜配置し、授業内容を多彩なものとしている。学生と教員のディスカッションにおいては、学生の多くが社会人であることから、学生自身の職場あるいは生活の場における体験(家族への介護等)をセッションの「素材」として活用し、参加度を高める工夫をしている。本課程では、スクーリング学習とテキスト学習の相互補完的な機能を重視し、スクーリングをテキスト学習後の「知識の総合化プロセス」としてだけではなく、新たな知識修得に向けた動機づけの場として積極的に活用している。また、開講時期や会場については、継続的にニーズリサーチを行い、社会人の学習条件を配慮して、週末もしくは夏季休暇期間に日程を設定し、また全国各地(東京、愛知、大阪、岡山、福岡)に会場を配置するなど、受講機会の充実に努めている。
BNFUオンライン 本課程が導入したインターネットを活用した学習システム「NFUオンライン」は、テキスト学習における添削・試験をはじめ、学習相談から学生間交流にいたるまで、様々な学生生活局面におけるアクセシビリティを実現している。とりわけ、マウスのクリックに限定した操作による「ネット添削・試験システム」は、パソコン操作の初心者や未習熟者、高齢学生の学習上の利便に資するところが大きい。また、現職社会人は、専門性とともに最新の情報を求めているので、教材の改訂に常に留意し、ネットワーク上で情報を伝えるようにしている。学習コンテンツの提供から学習支援、学生生活支援にいたる諸機能を包括的に備えた「NFUオンライン」は、学習者に学習達成感をもたらし、学習意欲の高揚に寄与する総合的なネットワークキャンパスシステムである。
日本の大学通信教育で初めて導入した「ネット添削・試験システム」は、学習進捗度の自己診断ツールとしても機能しており、インターネットのメリットである双方向性の活用により、
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C事例研究科目 業務上の課題の解決や大学院進学などを目標として学ぶ学生の高い学習意欲に応えるものとして、研究方法と論文作成の指針を与える「事例研究科目」を開講している。このプログラムは段階的にテーマを設定しており、1年次(「事例研究T」)は「問題意識から研究課題の発見へ」、2年次(「事例研究U」)は「調査のデザインから意志決定へ」、3年次(「事例研究V」)は「研究成果の整理から論文作成へ」、4年次(「事例研究W」)は「論文の発表」となっている。「事例研究科目」では、テキスト学習とスクーリング学習の相互補完性を重視しており、「事例研究W」の成績優秀者には本課程のスクーリング(総合セッション)あるいは通学課程授業において「事例研究発表」の機会が与えられる。2004年度には、4つのテーマ(【表3】参照)に分かれ、10名の学生が発表した。学生による「事例研究発表」は、受講する学生にとって刺激となり、問題意識を高める効果があると同時に、担当教員にとっても学ぶところが少なくない。学生自身の研究成果を学生の学習活動に還元するという「循環再生産型」とも言うべき学習体系は、多くの現職社会人が学ぶ本課程において大きな効果を発揮している。 【表3】事例研究論文テーマ
D学習支援システム 本課程は、専任の学習指導講師を配置し、多様な学習ニーズに適合する履修モデルの提示をはじめ、履修指導から学習相談にいたる包括的な学習支援を行っている。学習指導講師は、電子メール、電話等で相談(【表4】参照)を受け付けるほか、スクーリング会場においても相談窓口を設置し、直接的な相談・援助業務を行っている。特に学習が遅れがちな学生に対しては、電話・手紙による指導も実施している。相談・援助内容が定型化できるものについてはネットワーク上に掲載している。また、学習方法を基礎から学ぶ必要のある一年次及び二年次学生に対して学習指導講師が学習指導を行うスクーリング科目「フォローアップセッションT、U」を置いている。同科目では、対話、学生自身による自己分析、討論などを通じて、学習の阻害要因を明らかにし、解決策を導き出すことを目的としており、学生の学習意欲を回復させる上で大きな役割を果たしている。 【表4】学生対応件数(メール、電話等) ■メールによる1日平均相談件数(合計 メール:52.1件、電話:42件)
E単位制学費 本課程の主たる学生層である現職社会人の勉学条件を考慮して、本課程では「単位制学費制度」を採用している。従来の学費制度では、履修単位数にかかわりなく、毎年度一定額の学費を納付する必要があるため、通常の在学期間を越えて在籍する学生には経済負担を強いることになる。しかし、本課程では「単位制学費制度」を採用することにより履修単位数に応じた柔軟な学費納付が可能になるため、経済負担を必要最小限に抑えることが可能である。本課程における一人当たりの平均的な学費負担額は、通常4年間で卒業した場合、総額で約90万円程度であり、通学課程の約4分の1の水準である。また、4年を超えて在籍しても学費負担は基本授業料(31,500円)と履修単位分(1単位:5,300円)のみとなるため、働きながら学ぶ社会人に配慮した制度となっている。
F障害学生支援 本課程は障害学生支援に関わる様々な取組を進めている。例えば、重度身体障害等によりスクーリングへの参加自体が困難な学生に対しては、科目担当教員が自宅に赴いて対面授業を行う「訪問授業」を実施している。これまでに5名の重度身体障害学生に対し、のべ29回の訪問授業を実施し、スクーリング講義を収録したビデオを事前に配布するとともに本人のニーズ把握に努め、当該学生と教職員の協働作業によって学習効率を高める工夫を積み重ねてきた。また、実習教育においても、実習先の担当者と調整を図りながら、本人の障害の種類や程度に応じた実習方法を追求するなど、特段の配慮を行ってきた。これら諸活動の成果として、第一期生の中の重度身体障害学生に社会福祉士国家試験受験資格を取得させることができた。
本課程は、開設準備以来、各学部ならびに各センター等、学内諸機関との協力・支援を得て諸事業を推進してきた。NFUオンラインの開発は、メディア教育センターとの協力体制によって進められた。科目担当においては、スクーリング講義あるいはテキスト教材の共同執筆など、全学部からの全面的な支援を得ている。実習教育は、「社会福祉実習教育研究センター」による推進体制によって支えられている。特に同センターは、当初、社会福祉学部の下で運営されていたが、その積極的な協力・支援により、本学全体の社会福祉実習教育を推進する「全学機関」へと発展した。障害学生支援では、障害学生支援センター、福祉テクノロジーセンターの協力を得て、よりアクセシブルな学習の実現に向けて様々な支援事業を展開している。 本課程は、通学課程とは異なる通信教育課程の独自性を踏まえ、学部教授会とは相対的に独自な管理運営組織となる「通信教育部教員会議」によって運営されており、同会議を核として、各学部、学内外諸機関との協力・連携による取組を進めている。今後は、上記の学内諸機関のみならず、同窓会、後援会をはじめ、学外機関・団体との協力関係を構築する活動にも重点を置くことになる。特に、本学同窓会は5万人の会員から成り立っており、全国すべての都道府県に支部を持ち、日常的な活動を展開している。このネットワークを活用し、大学後援会とも連携して、学習・実習指導への協力はもとより、通信教育部学生の諸活動に対する多面的な支援を展開することが可能であり、2004年度からその具体化を図りつつある。
@学習・教育評価 @.学習効果 本課程では、在学生の問題意識および学習ニーズを把握するために、テキスト科目、スクーリング科目、学生生活全般への評価を行うアンケート調査を毎年度実施している。2005年3月には、第一期生の卒業にあたって卒業生アンケート調査(対象者615名)を実施している。また、今後の改善課題の検討に資するデータを収集するため、上記年次調査とは別に、2003年度にはインターネット上およびスクーリング会場でのアンケート調査(回答者831名)、2004年度には無作為抽出の学生との座談会形式等によるヒアリング調査(協力者37名)を実施した。これらの諸調査の結果、本課程の優れた特徴として、ネットを活用した「添削」、「試験」、「学習進捗確認」に対する評価が上位3位を占めた。特に、従来型の通信教育では提出から返却までに相当の時間を要していたレポート添削の即時評価を可能とする「ネット添削システム」がもっとも高い評価を得た。学習継続の励みとなる要素としては、「スクーリング」、あるいは「学生フォーラムにおける交流」とする回答が多く、以上の点から「オンライン」、「オフライン」の双方における学習活動がともに重視されていることが明らかとなった。 学生満足度、卒業率の高さは教育効果の計測指標となるが、これに加えて、第一期生の「社会福祉士国家試験合格率」が全国平均29.8%を大きく上回る53.4%(合格者数186名、受験者数348名/4月1日時点判明分)であったことは、本課程の教育効果の高さを示すものである。 A.FDへの波及効果 学生の多くが高い問題意識と学習意欲を持っているため、教員の教育・研究力に対して厳しいフィードバックがなされる。そのため、スクーリングにおいては、教員のプレゼンテーション技術、使用するコンテンツ、ゲスト講師の選定などについて、受講者のニーズに適切に対応することが求められる。テキストについても、教育内容が客観化されることによって、対面授業とは異なる視点から学生の厳しい評価の対象となる。困難な条件の下で学習に取り組んでいる社会人学生からの評価と要望は緊迫感を伴うものであり、教員・職員ともに高い緊張感をもって対応している。他面では、教育指導や学習支援が適切になされた時の反応も大きく、担当者の教育モチベーションもそれだけ大きいものとなる。現在、オンデマンド授業の開発を進めているが、教材の制作を通じてさらに高い教材開発技術が教員によって習得されることが期待される。
A卒業率 これまでの大学通信教育の4年次在籍者卒業率が1〜2割にとどまる状況であることに対し、本課程第一期生の同卒業率は5割を超えた【表5】。このことは、本課程における様々な先駆的な取組による効果が具体的な実績として証明されたものといえよう。 【表5】卒業率比較(対大学通信教育計)
※大学通信教育計については、学校基本調査データ参照(放送大学を除く)
学生自身が学習進捗の状況を確認できる学習進捗管理システムが高い評価を得ていることは、前出のアンケート結果からも明らかである。学習指導講師は、このシステムによって得られた分析データに基づいて学習指導を行うことによって学生の学習の進捗を図っている。(【図3】参照)また、一方、スクーリング受講と学習進捗の相関についてみると、スクーリング受講者のネット添削・試験の進捗率は未受講者よりはるかに高い数値を示している。(【表6】参照)このようにスクーリング受講が学習モチベーションを高めるのに大きく役立っていることから、NFUオンライン上での学習指導と合わせて、フォローアップセッションあるいは各スクーリング会場での直接的な対面指導を重視し、オンライン、オフライン両面からの複合的な支援を行っていることが本課程学習支援の特徴となっている。 【表6】スクーリング科目受講の有無と学習進捗度の関係
C学生主体による様々な取組 スクーリングあるいはバーチャルキャンパス上などでの交流を通じて、年齢・地域・職種を超えた学生主体の異世代・異業種のさまざまなネットワーク活動が展開されている。地域学習会については、これまで北海道から九州にいたる各地で開催されただけでなく、インドなどの海外でも開催され、開催数は14件、参加者数は延べ158名に及んでおり、今後はさらに広がることが予想される。(【表7】参照)また、学生間の交流をきっかけとして、学生あるいは学生同士が起業に取組み、NPO等の事業体を入学後に立ち上げている事例も少なくない。バーチャルキャンパス上で知り合った学生同士が志を一にして、福祉NPOを立ち上げたケースはその一例である。その他の起業事例は【表8】に示すとおりであるが、今後このような事例が増えていくことが予想される。 新入生歓迎会、大学祭、オフミーティング等、学生間の親睦を深めるための様々なイベントも学生主体で取り組まれている。「通信教育」に対して、孤独で消極的な学習イメージを抱いていた多くの学生は、学習上の苦労を分かち合える機会となる諸活動が学習意欲の継続に大きな効果を持つことを実感している。このような「人と人とのつながり」を「支えあい」に発展させる取組が学習支援効果をもたらしていると同時に、学生相互間における教育効果を生み出し、人間的成長に寄与していることも本課程の特徴である。 以上が大学通信教育における新たな学習ニーズに応える生涯学習型ネットワークキャンパスの構築によってもたらされる本課程の有効性である。本課程における様々な取組は、各種メディアにおいて取り上げられるなど各方面から強い関心をもたれている。(【表9】参照) 【表7】地域学習会開催実績
計158名 【表8】本通信教育部生による主な起業ケース
【表9】マスコミ報道件数(2000〜2004年度)
※新聞(朝日、毎日、読売、中日、等)、雑誌を含む。
本課程にはCD−ROMを活用した「放送授業」科目が設置されているが、その開発経験によって得られたノウハウを生かし、インターネットでの画像・動画配信によって授業を展開するオンデマンド授業科目「福祉社会入門」の開発を進めた。「福祉社会入門」は本課程ならびに通学課程各学部から選任された12名の教員によるオムニバス形式をとり、通学制を含む本学の全学生を対象とする「通信・通学融合プログラム」として、全学共通カリキュラムに位置づけられ、2005年度より開講される。また、本課程の学習管理システム機能を担う「NFUオンライン」の改訂(2007年度予定)を機会に、本課程のみならず、全学共通の学習管理システムを構築する準備を開始している。 これらの取組を発展させた近い将来の構想として、すべての本学学生、卒業生により活用されるアクセシブルな学習システムの実現を展望している。具体的には、入学前教育から卒業後のキャリアアップ、さらには退職後の教養学習にいたるまで、生涯の各ステージに必要とされる学習プログラムを提供しうる「ライフデザイン」型のネットワークキャンパス構築を目指すものである。その実現には、個々のニーズに合致した学習方法を選択しうる柔軟な学習体系が求められる。本課程は、主な学習形態である「テキスト学習」、「オンデマンド学習」、「対面授業」、「フィールドスタディ」を軸としつつ、さらに、それらの複合による学習形態により、様々な条件に応じた教育プログラムを提供することが可能であり、上記の構想を実現するのに必要な資源を十分に蓄積している。 また、本学は、これまでに多くの学外諸機関との連携に取り組んできており、その経験を生かして、教育機関のみならず、官公庁、自治体、企業、病院、福祉施設、JA、生活協同組合、NPOなどと広く連携して、多様な教育・研修ニーズに多様な方法で応えうる「複合的な教育・研修事業体」の形成を目指すべく、本課程に蓄積されたあらゆる資源と学内外諸資源の発展的融合に取り組むものである。 |
この取組は、日本福祉大学のユニバーサル・アクセス時代の通信教育と題するもので、近年の社会的ニーズとなった医療・福祉マネジメント人材養成に対してインターネットを活用した生涯学習プログラムとして提供し、社会的要請に応えようとするものです。 この取組は教員と学生、学生と学生のつながりを活性化させるとともに、学生の学習意欲を高揚させる取組として機能しており、優れた取組と認められます。そのことは、高い卒業率や国家試験に対する合格率とつながっており、社会的要請が強い教育を実践する大学において、参考となる取組と考えます。IT通信システムの不断の更新を加えられることで、さらなる発展が期待できます。 |