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過年度担当教員の声

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地域との出会いから沸き起こる
「学びたい」

社会福祉学部
野尻 紀恵先生

 今年度も、サービスラーニングの担当をさせていただいた。私のゼミでは、特に子ども 支援の地域ネットワークについて考えていくきっかけになるということを目あてとして考 えていた。そのためには、地域の特徴・歴史・文化や、地域にどのような人が済み、どの ような生活をしていて、どのような課題があるのか等、非常に幅の広い視点で地域を見る ことが必要になる。学生にはそんな視点を持つことの意味に気づいて欲しいと願っていた。  前期には、学生は自分が活動することになるNPOについて調べ、夏休みに実践するプログラムを作っていく。NPOごとのグループは、時間に追われる。上手くいかないことも多い。コミュニケーションも下手。それでもなんとか夏休み期間に6日間の実践活動を行う。実践活動の中では利用者や利用者にまつわる方々にお出会いし、生の声を聴かせていただくこともある。大変多くを学んで大学に戻ってきたに違いない。この実践活動にあたり、NPOの皆様にどれほどに支えていただいたことか。思いは強いが先走り過ぎたり、連絡や調整が後手に回ってしまったり。学生による困ったことが多くあったに違いない。それでも励まし、叱り、褒めたり、諭したりと最後まで根気強く付き合っていただいたのだろう。
 後期、授業に出てきた学生の表情は明らかに変化している。毎年この時が楽しみな瞬間だ。教室に入ると、前期までとは全く違う空気。どの学生も、自分の活動を話したい、聴いてほしいといった感じで語り始める。リフレクションを繰り返し行う度に、学生たちは生き生きとディスカッションする姿を見せる。そして、学生同士、学生と教員、学生とNPOの方々、NPOと教員、とういう重層的なリフレクションの繰り返しによって、問題意識がクリアになる。学生たちはそれぞれのチームで研究に入っていく。自ら主体的に調べ、議論し考察した。その間、お世話になったNPOの皆さんに学生が率直に疑問をぶつけ、その気付きにNPOの方々が丁寧にこたえ、一緒に悩んでくださる。研究というには、まだまだ拙いものではあるが、彼らの姿を見ていると、自ら調べたいという気持ちが重要なのだと改めて感じる。発表会では上手く表現できなかったところもある。だからこそ、またNPOの皆様から助言をいただき、さらに調べていきたいという思いを持ったようだ。
 学生、NPO、大学の三者が互いに問題意識を交わしながらプログラムをつくりあげていくサービスラーニング。「現場」を知ること、「現場」と対話すること、そういう実践なくしては学べない。また、絶えざる努力と学びなくしては、実践はできない。地域で自分らしく暮らしていきたいと願っている「ひと」に出会う事は、学生が問題を自分ごととして捉えるきっかけとなったに違いない。さらに、制度の枠では支えられない問題があとからあとから出てくる「地域」という場にいて、あつい思いを持ちながら活動しているNPOの「ひと」たちに出会う経験は本当に貴重であった。
 包容力と現場力で、学生の学びに寄り添って下さったNPOの皆さまに感謝申し上げます。

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