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協力NPOの声

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多様な他者との
関係性の学び

社会福祉学部
岡 久美子先生

 サービスラーニングとは「社会活動を通して市民性を育む学習」であり、市民性とは「よりよい社会の実現のために。周囲の人々と積極的にかかわろうとする意欲や行動力」である。これは今年度から担当する教員として私が学生と共にまず理解するべき定義であった。
 岡ゼミでは要介護の高齢者や、障害者が住み慣れた地域で暮らせるよう支援する NPO3カ所と、発達障害のある子どもと家族を支援する NPO, 子育て中の女性を支援する NPO 、高齢化する住民同士が支え合う団体の合計 6 カ所が活動先として協力をしてくださった。
 前期、学生は活動先についての事前学習、夏休みに行う 6 日間の活動の打ち合わせ等を、自分たちで行う。机上の座学とは異なる体験学習がスタートするのだ。
 夏休み中 20 人余の学生が、6 カ所の活動先で、日程もばらばらで活動をするため、ゼミでは LINE を活用した。ゼミ全体の他に学生と NPO の担当者と教員が参加する各活動先グループごとの LINE も作成。さまざまな打ち合わせや連絡が飛び交うのを見守った。学生と活動先の方々を信頼し、なるべくコメントは控えたが、必要に応じてグループへ或いは学生一人一人へ発信したり、活動先の方から連絡をいただくこともあった。
 後期に入り、活動についての学生同士のリフレクションを経て、NPO の方々をお迎えしての報告会が開催された。活動先の理念や目的などの概要とともに、学生が企画して実践をしたものづくりやレクリエーションが写真等も添えられて具体的にイキイキと語られた。初日は障害に目を奪われて「ひと」として接することができなかった学生が、スタッフのアドバイスもありコミュニケーションをとれるようになったり、障害特性への配慮不足で企画がうまく進行できなかったり、家族やスタッフから地域の課題を聞いたりとその学びは現場での実践ならではの拡がりを持っていた。
 同じ日に開かれた NPO の方々と教員との振り返りでは、学生の報告・連絡・相談の貧しさや遅刻・欠席等の無責任さ、報告書提出のルーズさへの厳しいご批判をいただいた。しかしそれだけではなく、学生が主体的に動けるような指導や、地域や活動の課題を共に学ぶ機会としておられることなど、現場の包容力を改めて実感するお話も伺えた。
 活動の振り返りが済んだ後は、学生が持ち帰った地域の課題解決や疑問点を解明する「研究」が始まる。問題意識ごとに新たにグループを再編し、研究計画書を作成し、文献やインターネット上の情報にあたり、できればインタビュー調査等もする。限られた時間だが、発見した課題に取り組む手法・道筋を学ぶことと、開発者によれば体験⇒問題意識化⇒客観視(第 3 者目線)⇒解決策の模索(学習の深化・意欲化)⇒新たな体験というリフレクションのサイクルがカリキュラムとして構想されていた。
 NPO の方をお招きしての第 2 回報告会では、学生は「障害者の就労支援」「不登校問題」「地域福祉について」「貧困」「地域資源の再生と NPO の経営」「虐待」といったテーマで「研究」報告をし、NPO の方々からの質疑応答も活発に行われた。
 最後の課題である学生の報告を読んでいると 1 年間を通して何を学び、どのような問題意識を持ったか、そこには活動先で出逢った NPO スタッフや家族や地域の方々の市民性や学生への働きかけが深く影響していることが読み取れる。あらためて感謝申し上げます。

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