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協力NPOの声

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多様な他者との
関係性の学び

社会福祉学部
村上 徹也先生

 毎年サービスラーラングの担当教員としてこのまとめのレポートを書く際には、学生たちのサービスラーニングの最終レポートを読み返しながら、考えを整理するようにしている。今回も知多地域のNPOとのかかわりを通して、彼らは何を学び、どんな成長を果たしたのか考えを巡らせた。そこで大事にしているのは、「大学の中だけでは生み出せない成果は何か?」「知多のNPOとかかわったからこその成果は何か?」という観点だ。
 学生たちのレポートには、大学の中だけでは生み出せない学びや成長の証として、自己と多様な他者との関係性について、課題に気づき問題を克服しようと試行錯誤を重ね、結果として自己の成長を認識していることを示す記述が多々出てくる。大学での授業は既知の物事を知識として学ぶことが主であり、未知の問題に取り組むのは卒業研究や大学院段階に進んで初めて取り組むことも多く、2年生の段階では予定調和が通じない問題克服の経験ができる機会は学内には乏しい。さらに、学生生活においても、同世代または限られた教職員、アルバイト先での関係が固定化された他者との関わりはあるが、立場も考えもコミュニケーション方法も多様な他者と、形式的ではない関係を築くことが求められる機会が乏しい。
 さらに、多様な他者との関係性についての学びや成長は、単に学生たちが大学の外にでかけただけで生まれるのだろうか。そこには、「多様な他者との形式的ではない関係づくりが求められる環境」に、学生たちが身を置くことが不可欠だと、学生たちのレポートの文脈から読み取ることができる。つまり、サービスラーニングにおいて学生たちは、知多のNPOの現場でこの環境を与えていただいたのである。一口にNPOといっても、課題の当事者を抱え込み、当事者の主体性よりもサービスを提供する側の都合を優先している団体も多々あるが、そうした団体の現場では学生たちは、多様な他者との関係性について課題に気づき問題を克服しようと試行錯誤を重ねることはなかったかもしれない。「地域福祉サポートちた」を要として日本福祉大学とつながっていただいた知多のNPOが、多様な人々のつながりづくりを大切にしてそれぞれの活動を開かれたスタイルで行っている特色こそが、学生たちの学びと成長の源なのだと、学生たちのレポートを通して改めて認識した。
 2017年度の5月20日土曜日に、日本福祉大学東海キャンパスでサービスラーニングに取り組む全国の大学関係者が集まるフォーラムが開かれるが、是非、知多のNPOの皆様に数多くご参加いただきたい。そして、全国はおろか国際的にも例を見ない知多のNPO協働型サービスラーニングの成果を胸を張って発信するとともに、全国から集まる方々から新たな刺激や学びを一緒に得ることができたらと願っている。

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