Q3
子どもがいつも口を開けていますが、
問題はありませんか。

A

 いつも口をぽかんと開けて息をしている子どもは、鼻づまりが原因である以外に、口を開けていることが癖になってしまっている場合もあります。
元々鼻より口で息を吸う方が、楽です。しかし、鼻で呼吸することには私たちの健康や健やかな成長のためにとても重要な働きがあります。
鼻は息を吸う時、粘膜や鼻毛によって空気中のほこりや花粉、細菌やウィルスを除去すると同時に、乾燥した、冷たい空気をのどに優しい温かく湿った状態に調整するというフィルターの役目をしています。
いつもぽかんと口を開けていると、病原体や塵を含んだ空気が直接のどに流れ込み、風邪をひきやすくなります。
また口呼吸で口の中が乾燥すると、唾液が持っている免疫機能が十分働かず、口の中のばい菌が増えて口臭や虫歯の原因になります。
さらに成長期に何年も口呼吸を続けていると顔やあごの骨の発育にも影響が出ます。子どもの上あごや下あごは、内側から舌が押し広げ、同時に顔の筋肉が外側に引っ張ることで、横に広がっていきます。
口を開けていると顔の筋肉が緩み、外側へ広がる力が小さくなると、上あごと下あごは上下方向にのみ大きくなってしまいます。
その結果横より縦に長く伸びた面長の顔つきとなっていきます。面長で、いつも口をぽかんと開けていて筋肉の緊張が緩んだ特徴的な子どもの顔つきをアデノイド顔貌と呼びます。
あごが横に広がらないと、歯が生える部分の大きさが十分確保されなくなり、狭いところに歯が押し合って生えるため、歯並びは悪くなります。
また下あごが小さいままだと、そこにくっついている舌べろは正常より奥に引っ込むことになり、大人になった時にいびきや睡眠時無呼吸症候群のリスクが高くなります。

 子どもの鼻づまりは、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの鼻自体の病気以外に、アデノイドが原因となる場合があります。アデノイドは鼻の一番奥で鼻がのどと繋がる部分にみられるリンパ組織です。
通常では2歳から5歳頃に最も大きくなり、その後自然に小さくなり大人ではほとんどみられません。
顔の最も成長する子どもの大切な時期にアデノイドが鼻の通りを妨げることで、大人になった後も大きな影響が残ってしまうことがあります。
アデノイドは鼻の前からは見えず、口を開けても見えないため、ファイバースコープやレントゲン写真で検査する必要があります。
お子さんがいつも口を開けていることに気づいたら、放っておかずに鼻の病気やアデノイドが原因となっていないか、調べることはとても重要です。