Q2
耳の掃除はどのくらいの間隔でしたらよいでしょうか。

A

 耳あかは、古くなった鼓膜や耳の穴の細胞に、汗や脂、ほこりなどが混じってかたまったものです。
耳あかには湿った柔らかいタイプと、乾燥したカサカサタイプの2種類があり、生まれつき遺伝的に決まっています。日本人では8~9割がカサカサタイプである一方、欧米人ではほとんどの人が湿ったタイプです。

 耳の穴である外耳道は約3㎝あって、その周囲を外側1/3では軟骨が、内側2/3では骨がとり囲んでいます。軟骨の部分には汗や脂を分泌する腺組織や毛がありますが、骨の部分にはこれらがありません。
正常では、鼓膜や骨に囲まれた外耳道から出る古くなった皮膚細胞はベルトコンベアーに乗せられたように自然に奥から外側に運ばれます。これを外耳道の自浄作用といいます。
その移動速度は1週間で4~5㎜といわれており、鼓膜や外耳道の一番奥から軟骨の部分までの2㎝を移動するのに4~5週間かかる計算となります。
軟骨の部分には自浄作用はなく、耳あかは外の入り口1㎝の部分にのみたまります。通常は耳の入り口をふさいでしまう前に自然に剥がれ落ちてしまうため、積極的な耳掃除は必要ありません。
お風呂上がりに綿棒で耳の奥を掃除することが好きな人がいます。確かに耳の奥を触ると、ちょっとくすぐったくて気持ちがよい感じがしますよね。
しかし骨の部分の皮膚は繊細で、繰り返してこすっていると、慢性の炎症が起きてしまいます。そうすると正常の自浄作用が低下し、皮膚細胞の移動速度は月に3㎜程度までに遅くなります。
その結果、骨の部分に古くなった皮膚がいつまでもへばりついて取れず、そこでだんだん厚くなっていくようになります。
やがてはためていること自体が皮膚炎を悪化させるようになります。皮膚の健康な働きを損なわないために、耳の奥まで触ることはやめましょう。
また湿ったタイプの耳垢の人では、せっかく軟骨部まで移動してきた耳あかを綿棒でまた奥に詰めてしまうことも珍しくありません。

 耳掃除はあまりしなくてもよいとされていますが、気になる場合は2~3か月に1回程度、耳の入り口から1㎝以内の軟骨部外耳道のみを綿棒でやさしく掃除するのがよいでしょう。
ベビーオイルなどで綿棒を湿らせるととりやすいこともあります。
それでも取りにくい場合や、耳の奥まで耳垢がつまっている場合は、耳鼻咽喉科を受診し、専門的な処置を受けることをぜひお勧めします。