Q1
いびきが大きいといわれますが、
放っておいてよいのでしょうか。

A

 いびきってどうしてかくのでしょう。いびきは息の通り道のどこかに狭いところがあってそこを勢いよく空気が流れようとすると、周囲が振動して音が鳴るものです。
ちょうどビルとビルの狭間を風が吹き抜ける時にゴーッと音が聞こえるのと同じ原理です。
通常、狭い部分はのどの回りにあります。睡眠中舌べろがのどの奥に垂れ下がります。口を開けて寝ると下あごにくっついた舌べろは後ろに移動するため、いびきをかきます。
口を開けるとのどの両側に見える口蓋扁桃が大きい人や太った人は普段からのどの奥が狭く、さらにいびきをかきやすくなります。
舌べろの落ち込みがひどくなると、息の通り道がふさがってしまい、息が一時的に止まってしまいます。息苦しくなって眠りが浅くなると通り道が開いて、また息ができるようになります。
これを睡眠時無呼吸症候群といいます。無呼吸を繰り返しているとぐっすり眠られず、日中の眠気や疲労感、注意散漫、起床時の頭痛が起こります。
仕事のミスも増えて効率は下がります。また居眠り運転による交通事故も問題になっています。無呼吸が続くと睡眠中の酸素不足を体が補うため心臓に負担がかかって血圧があがります。
さらにホルモンのバランスが崩れて糖尿病や高脂血症にもなりやすく、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高まります。
いびきが大きい人は、睡眠時無呼吸症候群ではないか調べてみましょう。

 最初の検査ではご家庭に貸し出した機械を着けて眠る方法があります。さらに詳しく調べるためには病院に一泊入院して脳波など様々な測定機器を着けて眠ることで精密検査が可能です。
検査結果を集計すると、睡眠1時間あたりに10秒以上呼吸が止まったり、非常に浅い呼吸になったりすることが何回あるか計算できます。これを無呼吸底呼吸指数(AHI)といいます。
正常の人ではAHIが5以下ですが、15以上では治療の対象となり、さらに30以上では重症の無呼吸症候群として急いで対処することが必要です。
治療はCPAPという装置を着けて眠る方法が一般的です。これは鼻につけたマスクからのどに空気を送り込むことで、舌べろが落ち込むことを防ぎ無呼吸を予防する治療です。
その他、歯医者さんで作ってもらったマウスピースをつけて眠る方法もあります。さらに太った人では体重を減らすことも大切です。