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ホタルから学ぶ身近な自然環境

ホタルが飛んでいる姿

日本に生息しているホタルの中で幼虫が水生のホタルは主に「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」の2種類ですが、そのうち知多半島では「ヘイケボタル」しか見ることができません。学術的に証明はされていませんが、「ゲンジボタル」の幼虫の餌となるカワニナは酸素を多く含む山の清流に生息しており、知多半島の川にはごくわずかしか生息していないので、「ゲンジボタル」の生息に適していないと考えられています。

養殖場では1年中、飼育状況やホタルの生態について見学することができます。ホタルは成虫だけでなく卵、幼虫、さなぎも発光します。発光するのは夜だけですが、「幼虫観察会」で見ることができます。

●ホタルは身近な自然のバロメータ
 最近、ホタルを見ましたか?ホタルは環境の変化に敏感で、必要な環境を失ったら容易に戻ってきません。自然豊かに見える知多半島も次第にその自然環境は変化しているようで名古屋近郊ではホタルを見ることができなくなってきました。美浜町、南知多町などではまだまだ野生のホタルを見ることができます。ちょうど知多半島の中間に位置する阿久比町のホタルの生息状況からその身近な環境の変化が見えてきます。

●激減しているホタル
 阿久比町では、町をあげて昭和58年より様々な取組をしています。毎年、町民の協力によりホタル生息分布調査を行ったり、東部小学校をはじめとした町内の小学校での人工飼育を行ったりしています。町民参加の生息分布調査が行われ、身近な自然環境の変化に気づくことが多いそうです。しかし、こうした取組を続ける阿久比町でさえホタルの数は激減しています。
平成6年に「全国ほたるサミット」を阿久比町で開催し、その翌年には「7月1日は、あぐいほたるの日」と制定して、毎年「ほたる観察会」を実施。平成13年は6月28日〜30日の3日間で約6千人の来場者がありました。これほど多くの方がホタルを見に来るということは、自然界にホタルが少なくなったためとも考えられます。

●ホタルの拠点「養殖場」
 親水広場など自然とのふれあいが楽しめる町民の憩いの場である「ふれあいの森」に養殖場があります。場内には2本の川と上陸地と巻き貝の養殖池があり、ホタル専門員が飼育に取り組んでいます。
しかし、幼虫の餌となる巻き貝の不足と、ヘイケボタルは産卵数(ゲンジボタルの産卵数の約1/5)が少ないことから、養殖場だけではホタルの一生を完成させることができず、養殖をするために種蛍となるホタルを自然の中から採取しなければならないのが現状です。ほたる観察会に見るホタルの光は幻想的ですが、それ以外の1年間、地道な飼育活動が必要となるのです。

 

ヘイケボタルの一生

ホタルの一生1 ホタルの一生3 ホタルの一生5
ホタルの一生4
ホタルの一生2
ホタルの一生6

 

<データ>
ふれあいの森:◆ホームページ:http://www.agui.jp/(阿久比町)よりご確認ください。



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