地元に帰省中、岡山オフィスに足をはこびインタビューに応じてくれた森岡さん。丁寧に言葉を選びながら、福祉に対する思いをたくさん語ってくれました。「相手をしっかり観察するタイプ」との自己分析通り、話をよく聞き、質問の意図をくみとり、自身の考えを整理して話すという姿勢に、聡明さとあたたかみを感じました。

福祉への興味の原点は幼稚園時代

 人のお世話が好きな子どもだった幼稚園時代、仲良しの友達が、重度の身体・知的障がい児だったことで、彼女のために出来ることを考え工夫を重ねる毎日でした。これが福祉への興味の原点だったのかなと思います。障がいのある人の役にたちたいという思いが先行していたのではなく、たまたま好きだった友達に障がいがあって、関わり方の試行錯誤をしていた感覚でした。今振り返ると、目の前の人ときちんと関わるために福祉を学ぼうと考えたのだと思います。

国際高校から福祉大学へ

 中高一貫の国際高校を選んだのは、内向的で誰かの期待通りに生きようとする優等生タイプの自分から一歩踏み出したかったからです。また、元々、看護師を目指していましたが、医療と福祉の違いを知り、「本当に学びたいことは福祉」という思いが叶えられる大学を探しました。

 第一志望は、福祉学部がある国公立大学だったのですが、その大学にはご縁がなく、すべり止めに受験した関西の私立大学への進学も考えました。でも「福祉を学ぶ」という気持ちに立ち返り、悩んだ末、日本福祉大学への進学を決めました。

大学での福祉の学び

 特に、ゼミの先生との出会いに感謝しています。この大学を選んでよかったと改めて思います。また学内には障がいのある学生がたくさんいて、その関わりの中でも多くの学びがあります。あたたかな雰囲気の中で、授業やサークルなど福祉の学びを深める場はいくらでもある大学だと思います。

 福祉を浅く学ぶと、「障がい者には、このように接するのが正解」という決めつけや慣れに流されかねないと思っています。ですから、幼稚園時代の思い「障がいがあるから、ではなく、人として関わりたいから関わる」という私の原点を大切にしています。

 また、ソーシャルワークの授業で教わったことも常々意識しています。『ソーシャルワーカーとして発言する言葉は、「福祉代表」の考えと捉えられる可能性がある、だから、言葉の重み、影響力を肝に銘じる必要がある。』というものです。

 大学やサークルなどで、障がいの当事者と接する機会がありますが、立場や状況によって捉え方はまったく違ってくることを実感していて、言葉の選び方には注意をしています。これは、相手の障がいの有無に関係ないことだとも思うので、誰かと関わる時には、相手のことをよく観察して考察し、待つことを心がけています。

サークルの先輩たちと
大学祭でアテンドした留学生と

これからの目標

 まずは、社会福祉士と精神保健福祉士、両方の国家資格取得を目指しています。実習や勉強など卒業までに大学で出来ることを精一杯やりたいです。就職はご縁があれば児童福祉に関わる仕事をしたいと思っています。が、福祉の学びをより深めるための大学院への進学や、中高時代に培った語学力を活かした留学など、やりたいことが他にもあり、まだ定められていません。

 ただ、就職も学びもご縁があるところで、自分なりに、その環境を活かしていくことが出来たらいいなと思っています。

全国の高校生へのメッセージ

 進路に迷っている高校生には、どうにかなる、どうにでもできる、と伝えたいです。

 自分で入学を決めた後も、再受験への未練、コロナ禍での孤独などを味わいました。でも、先生方や福祉を学ぶ先輩や仲間との出会いにより、環境の豊かさに気づいた時、その環境で何をするかは自分 次第なのだと実感しました。とりまく環境に主体的に向き合った時、その環境が応援してくれるものだと思います。

休日に美術館へ

日本福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科 人間福祉専修3年

森岡 観宝さん

KAHO MORIOKA

  • 岡山県出身/神戸国際中学校・高等学校出身
  • Ⅰ部聴覚障害者問題研究会 加絵手

<取材:岡山オフィス>