福祉関係の仕事に就きたいという思いから、日本福祉大学へ進学、卒業後は大学院でも学ばれた谷上さん。現在、鳥取県にある南部町役場で生活保護ケースワーカーとして奮闘されています。趣味のマラソンや登山など体を動かすことで上手にご自身を鍛え整え、大変なお仕事に真摯に向き合っておられます。丁寧に言葉を紡いでお話をされる姿がとても優しく誠実で、素敵なエピソードをたくさん聞かせて頂きました。その一部をご紹介します。

趣味の登山で北アルプスへ
北アルプス槍ヶ岳登頂

日本福祉大学への進学理由

 一緒に暮らし可愛がってくれた祖母の影響が大きく、お年寄りのためになる仕事がしたい、福祉を学びたい、と幼い頃から漠然と考えていました。公務員として福祉事業に携わっていた父から「福祉を学ぶなら日本福祉大学がよい」とアドバイスされたことと、一人暮らしへの憧れから地元を離れた大学を探していたこともあり、日本福祉大学への進学を決めました。

恩師との出会いと学び

後藤澄江先生との出会いは私の宝です。今も慕い尊敬する最高の恩師です。

先生のゼミで「家族社会学」を学ぶうちに、研究したいテーマ「男性の育児参加」が見つかり大学院にも進みました。後藤先生は、卒業後も大きな安心感をくださる存在で、私が道に迷い相談させて頂いた時には「谷上君なら大丈夫」と励ましてくださり、なんとか乗り越えられたこともありました。

また、大学院進学という道を示してくださったのが小松理佐子先生でした。後藤先生の研究室(大学院)には、小松先生に導いていただきました。かけがえのないもう一人の恩師です。

100kmマラソンを完走

サークル・アルバイトでの豊かな経験

昭和区日曜学校というサークルで知的障がいがある方の余暇支援に取り組みました。1972年からスタートした伝統あるサークルで、障がいのある仲間(障がい者と呼ばず仲間と呼ぶのが伝統でした)と一緒に同じ時間や想いを共有する度に喜び、優しく見守ってくれる仲間の親御さんの懐の深さに感動し、学生同士で年齢関係なく実践や日々の活動について、時間を忘れて語り合った経験は私の財産です。また、仲間や親御さんと一緒に旅行をするなど、とても深い関わりを経験しました。

サークルの先輩から引き継いで始めたグループホームでのアルバイト、また、そのグループホームの職員さんからの紹介で学童保育のアルバイトもしましたが、話せばキリがないくらい沢山の思い出があります。

こうして、サークルやアルバイトにおいて福祉現場を体感できたことも、「現場が近い」「生きた学びが得られる」という日本福祉大学の豊かな学びの環境の恩恵だったと思います。

福祉の学びを活かした就職

在学中に取得した社会福祉士の資格を活かして地元の特別養護老人ホームに相談員として就職しました。
様々な相談を受けるなかで、精神保健の知識の必要性を感じ、精神保健福祉士の資格をとりました。このことがきっかけで、障がい者施設へ転職したのですが、振り返ると、子どもの頃からの思い「お年寄りの役に立ちたい」と、サークル活動で培った「障がい者との関わりで得た学びを活かしたい」の両方を実現すべく、仕事を選んだことになります。

更に、広く福祉に関わりたいという思いから、現在の職場である南部町役場に社会福祉士として入職し、生活保護ケースワーカーとして働き、5年になります。

通称ブロッコリー神社(鳥取県南部町)
フラワーパーク花回廊と大山(鳥取県南部町)

生活保護ケースワーカーとして

相談援助の様子

提案やアドバイスの内容も大切ですが、相手の心に届けるには、関わり方がとても大切です。私なりの正解・正論を伝えるのではなく、対象者と一緒に考え学ぶという地道な取り組みが求められます。対象者に伴走しながら、また職場の先輩に教えて頂きながら、学び続ける日々です。

嬉しかったのは、約2年間支援を担当した対象者の方が生活保護を脱却されたことです。その方の特質、家庭の背景、経済状況など、ひとつひとつ向き合って最適な援助を模索しながら根気よく続けました。ある程度の安定と安心感をもてた時、本人の働きたい意思を引き出すことができ、一緒に仕事を探した結果、無事に働き始めることができました。今も自立した生活を送られています。役場に訪れた際は私のところへ立ち寄って近況を話してくれるなど、前向きに暮らされている様子に触れる度、この仕事の難しさにチャレンジし続けるモチベーションがあがります。

動けば変わる!大丈夫!!

「動けば変わる!」

大学時代、サークルの先輩から教えて頂いた言葉です。
これまでの人生の中で沢山の転機がありました。その都度自分自身と向き合い、動き続けた事で今の自分があると感じています。そして、いつも「大丈夫」と信じ励ましてくださった恩師の言葉にも支えられています。

立ち止まりたくなる時は、友達・先輩・先生、誰かに相談してみてください。きっと、大丈夫という安心感や動く元気がわいてきます。

「大丈夫!苦しいことや不安はずっとは続きません。やってみれば思った以上に出来るから。動けば、変わる!!」私の実感を添えて、私も皆さんにこの言葉を送りたいと思います。

大山登頂で見た朝日

南部町役場 福祉事務所

谷上 修さん

SHU TANIGAMI

  • 日本福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科 2011年卒業
  • 鳥取県出身

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<取材:岡山オフィス>