山形県最上町出身で、日本福祉大学社会福祉学部を卒業し、現在は最上町社会福祉協議会にて勤務中。複数の共通点を持つおふたり、冨澤友博さんと大場霞さんにお話を伺いました。

先生が勧めてくれた日本福祉大学へ

冨澤さん : 高校生ボランティアサークル「つくし会」に1年生の頃から所属し、月2~3回はボランティア活動に参加していました。会長も務め、ひとり暮らしの高齢者宅の除雪や年賀状作成、県内の高校生ボランティアサークルとの交流等、様々な活動をしたことを覚えています。当時、曾祖父は介護が必要な状態だったこともあり、自分にとって福祉はごく身近なものでした。3年生になって、先生から「日本福祉大学で学んでみたらどうか?」と勧められ、“日本で最初に出来た社会福祉学部”に惹かれて進学を決意しました。

大場さん : 私も先生からの紹介がきっかけですね。高校の授業で知ったスクールソーシャルワーカーに興味を持ち、当時来ていたスクールソーシャルワーカーの先生に色んな話を聞いていました。そんな中、進路指導の先生が日本福祉大学の存在を教えてくれたんです。調べてみたら社会福祉の評判が良かったし、当時あったアフタヌーンコースで学費を抑えられるところも魅力的でした。あと、遠く離れた場所だからこそ行ってみたい!という気持ちもありました。地元との違いやその地域の良さを知る良い機会ですからね。

今も色褪せない大学時代の思い出

冨澤さん : 一番印象に残っているのは、小松ゼミで静岡県三島市に出向いて活動したことですかね。NPOの方々と一緒に、地域の会議に参加して住民の皆さんとコミュニティバスについて意見を出し合ったり、「水の都」と呼ばれる三島市の水辺の自然環境の再生に向けた取り組みを視察したりと、5,6回ほど現地で活動しました。行政だけ、住民だけでは出来ないところを協力し合い、ひとつの目標に向かって地域一体となって取り組んだことはすごく良い経験になりました。
子どもたちにも、たくさん自然に触れて色んな体験をさせたいと思っています。豊かな自然環境を次世代に繋げるために、環境にも身体にも優しい無農薬栽培を始めてみました。大学での経験を活かしてこれからも新しいことに挑戦していきたいですね。

大場さん : 一番の思い出は、サークル活動です!私が所属していた落語研究会は残念ながらすでに無いようですが、当時は20人ほど部員がおり、とても賑わっていました。高齢者施設への慰問、公民館での地域行事やセントレアのイベントに呼んでいただいたり、半田市でマジックをしている方々と一緒に活動したりと、本当に楽しかったです。ほかには、中学生の家庭教師のアルバイトもしていました。担当した子には聴覚障害があったので、円滑にコミュニケーションがとれるよう、伝え方を工夫して接していました。
あの頃サークル活動やアルバイトで培った「コミュニケーション力」のおかげで、地域福祉に携わる今、子どもから高齢者まで幅広い世代の皆さんと良い関係を築くことが出来ていると感じています。

人にやさしい福祉を目指して

冨澤さん : 大学卒業後は地元にUターンし、障害者支援施設で生活支援員として働く中、重度障害の利用者さんが自然と触れ合う活動によって気持ちが穏やかに安定する様子を見て、「農業と福祉で何か出来ないか」と考えるようになりました。悩んだ結果、1年間は勉強に充てようと決意し、12年勤務した職場を退職しました。町内の様々な農家さんのもとでしっかり勉強させていただいたあと、社会福祉協議会のデイサービスで介護職員となり、送迎に入浴介助、レクリエーションや機能訓練等、様々な業務を担当しています。

大場さん : 大学を卒業して長野県のデイサービスで数年介護に携わったあと最上町に戻り、働きながら通信教育部で勉強しました。仕事との両立は大変でしたが、参加したスクーリングで職業も年代も地域も異なる方々と出会えて楽しかったですし、自分も頑張ろう!と励みにもなりました。晴れて社会福祉士に合格した年、社会福祉協議会に採用していただきました。地域福祉係では、学校での福祉教育、地域のサロン活動や高齢者の居場所づくり支援、ボランティア活動に相談業務等、幅広く活動しています。

安全運転を心がけて送迎業務を担う冨澤さん
「放課後わくわくキッズルーム」で小学生を見守る大場さん

「ふくし」は楽しいもの

冨澤さん : 1年間農業を学び福祉の現場に戻った現在も、農福連携について学んでおり、最近はZoomでの勉強会に参加しています。全国各地で様々な取り組みをしている方々の話はとても参考になりますし、良い刺激を受けています。日常の中でアイデアがひらめくこともありますが、アイデアを形にするには課題も多く、まだまだ勉強が必要だと感じています。これからも農業×福祉の可能性を考え、自分がやりたいこと、自分に出来ることは何かと模索しながら、思い描いた農福連携の実現に向けて日々頑張っていきたいと思います。 振り返ってみると、大学で学んだことや経験してきたことが現在の自分に繋がっていると実感しています。学生の皆さん、自分に合ったやりがいのある仕事に出会えるよう、今を大事に過ごしてください。応援しています!

大場さん : 私は、住民があってこその「ふくし」だと考えています。少子高齢化で大変なことも多いですが、お互い助け合って、地域の方には笑って毎日を過ごしてほしい。ふくしは苦しいものではなく、楽しいものだと思ってもらいたい。その想いをもとに、今後も住民の皆さんの活動をお手伝いして行きたいです。
山形県社会福祉協議会の研修会に参加すると、日福の先生方が講師をされていることが多々あり、当時を思い出しながらお話を聞いています。「ふだんのくらしをしあわせに」を心に刻み、日々頑張ります。
学生時代を振り返ると、様々な経験や色んな人との交流が財産になっています。卒業から何年も経ちますが、静岡や愛知にいる友人たちとは今でも仲が良く、毎年会っています。コロナ禍になってからは控えていましたが、久しぶりにみんなで集まる予定です。そのうち母校にも訪れたいなと思っています。

学生の皆さん、勉強はもちろんですが、何事にも挑戦してたくさん経験をすることが何より大切だと思います。幅広い活動を通して、自分がやりたいことを見つけてくださいね。

最上町社会福祉協議会

冨澤 友博さん

TOMOHIRO TOMISAWA

  • 日本福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科 2007年卒業
  • 山形県/新庄北高等学校最上校出身

最上町社会福祉協議会

大場 霞さん

KASUMI OOBA

  • 日本福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科 2014年卒業
  • 日本福祉大学 福祉経営学部 医療・福祉マネジメント学科 2015年入学
  • 山形県/北村山高等学校出身

<取材:山形最上オフィス>