子ども発達学部での学びとソフトボール部での活動を糧に、現在、広島県立広島特別支援学校の教員として活躍されている佐々本開斗さんに、4年間の大学生活で得た学びをどのように現職に活かしているのかを語っていただきました。また、ご自身の経験に裏打ちされた後輩の皆さんへのメッセージは必読です!

日本福祉大学への進学の決め手は「特別支援教育の充実」と「強豪ソフトボール部」

 まず、特別支援教育が充実していて最先端の学びが用意されている点に惹かれました。
 小学校に聴覚障害をもった友達がいたことや、特別支援学校で介助員として働いている母からの影響で、特別支援教育への興味が育まれたのだと思います。ですから、なりたいのは「学校の先生」ではなく「特別支援教育の先生」と定まっていました。

 またもうひとつの日本福祉大学の魅力は、ソフトボール部が強豪であることでした。
 小学校でソフトボールをしていたのですが、進学した中学校・高校にはソフトボール部がなく、ソフトボールをやりたいという気持ちは未消化のままでした。そこで、大学では特別支援教育の学びに加えて、ソフトボールを思い切りやるという明確な目的がありました。
 その両方が叶えられる場だと確信し、日本福祉大学を選びました。

子ども出発の視点

 大学時代の学びが今の仕事に役立っていると実感することは多々あります。なかでも、「子ども出発の視点」を大切にするということは、ゼミでの学びのベースにあったものでした。
 教員になりたての頃は、年間指導計画を元にこなしていくことで精一杯だったのですが、その状態を克服したくて、大学で学んだことを丁寧に振り返ってみたのです。授業で使った文献を読み返した時、ゼミで深めた「子ども出発の視点」の大切さが目にとびこんできました。

 こうなってほしいという保護者や教員の思いも大切ですが、子どもたち自身の「できるようになりたい・こんな姿になりたい」という思いから始まること、そしてそこに大人の思いが重なってこそ、真の教育だと思います。常に子ども出発の視点を軸にして、子どもたちに向き合うようにしています。
 また今でも折にふれて大学時代の学びを振り返るようにしています。

オリジナル教材で行う授業
子どもと丁寧に向き合う時間

常に問いを立て続けるということ

 常に問いを立て続けるという考え方を大学の講義で教わり、今までは予定調和の人生だったと気づかされました。それからは、「これは本当か?思い込み、決めつけではないか?」と、現状やこれまでの流れを鵜呑みにせずに、自分自身に問うことを大切にしています。

 現職においては、子どもたちの目標設定の場面で大いに役立っています。
 子どもたちの現況からは、彼らが「現状を改善するために問いを立てる」のはまだ難しいと判断したので、その前段階として、「友達を意識する」という目標を設定しています。そこから相手の都合・自分の思いの違いを認識することを学び、最終的には現状を改善するために自ら問いを立てて要求を表現できるように導いていきたいと考えています。

とにかく動け!

 まず、私自身もっとやっておきたかったと思うことが多々あります。時間はつくるものです。遊びでもバイトでも旅行でもボランティアでも、自ら制限することなくどんどんチャレンジしてほしいです。

 また、与えられた機会やご縁を、自分で決めつけて取捨選択するのではなく、とにかくやってみてほしいです。これはソフトボール部での経験から実感したことです。
 ソフトボールをやりたくて入部したものの、そこはスポーツ推薦で入学してきた精鋭ばかりの世界。当然、ベンチに入ることすらできませんでした。そして、監督から与えられたのは、チーム全体をまとめることや事務仕事が中心の「主務」という役割でした。
 試合に出られない悔しさと折り合いをつけながら、主務の仕事に取り組むなかで、チーム全体を見る視点でチームに足りないところを研究するようになっていきました。
 結果、足りないところを強化する練習を自分に課したことで、4年生の時、遂に全国大会の最後の試合に先発ピッチャーとして出場することが出来たのです。この試合には負けましたが、全国優勝校相手に善戦しベスト8という結果を勝ち取ることができました。
 振り返ってみると、このソフトボール部での4年間で、自分で判断せず精一杯取り組むことから活路を見出す粘りを身につけられたと思っています。
 自分がわかっていることはごく僅か、あれこれ悩まずとにかく受け入れて動いてほしい!そう思います。

ソフトボール部:全国大会
ソフトボール部:仲間たちと

インタビューを終えて

 今回、佐々本さんから伺った数々のエピソードから、現職での充実した様子が目にうかぶようでした。
 大学での経験を活かし、日々問いを立てて子どもたちに向き合っている佐々本さんは、子どもたちはもとより保護者からの信頼も厚く、ずっと担任してほしい!と請われることが多々ある人気の先生です。
 そんな佐々本さんが子ども出発の視点で組み立てた授業を展開した時、子どもたちはキラキラした目でまっすぐに応えてくれるのだそうです。その眼差しが何よりも嬉しく、日々の励みになるのだと語ってくれました。
 子どもたちのためにも、佐々本先生が益々活躍されることを確信しつつ心から応援しています!

広島県立広島特別支援学校教員

佐々本 開斗さん

KAITO SASAMOTO

  • 日本福祉大学 子ども発達学部 心理臨床学科 障害児心理専修
    (現在の教育・心理学部 )2020年卒業
  • 広島県/福山高等学校出身

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<取材:岡山オフィス>