医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)という職業をご存知ですか?病気やケガをしても治療後に問題なくふだんの暮らしに戻れる方たちとは関わることが少ないので、知らない人も多いかもしれません。MSWは医療機関等で、患者やそのご家族の「ふつうのくらしのしあわせ」が守られるよう制度やサービス、地域の方と連携して支援をする専門職です。今回は長野県内の医療機関でMSWとして働く竹原未祐さんに大学時代のこと、現在のお仕事についてお聞きしました。

美浜のお父さんとお母さん

 卒業して3年が経ちますが、大学時代を振り返ると「楽しかった!」の一言に尽きます。その楽しかった大学時代を支えてくれたのが美浜町にいる第二のお父さんとお母さん(アパートの大家さんご夫婦)。美浜キャンパスの周辺には大学の指定アパートがいくつもありますが、大家さんの温かい人柄に魅かれてアパートを決めました。
 入居時の歓迎会から、夏にはバーベキュー、秋には大家さん所有のみかん畑の収穫など、美浜町の四季折々の楽しみ方、魅力をたくさん教えていただき、不安だらけだった初めてのひとり暮らしが一気に楽しいものへと変わりました。病気の時には近くの病院に連れて行ってもらったり、親との連絡もこまめに取ってくれたりと、4年間不安なく学生生活を満喫できたのは、大家さんご夫婦がいつも傍で暖かく見守ってくれたおかげだと思っています。
 卒業後も定期的に会いに行きたいと思っていましたが、思いがけないコロナ禍でそれが叶わずに今に至ります。感染拡大が落ち着いたら真っ先に会いに行きたいです。

アパートの大家さんと
大家さん、下宿仲間とみかん狩り

同じ出身地だから分かり合える仲間

 日本福祉大学には出身地域ごとに学生が集まる「県人会」という組織があって、私も長野県人会の活動にはよく参加していました。普段の学びの中だけでは他学年、他学部との交流がなかなか持てないのですが、県人会に行くと同じ出身県の仲間たちから安心やパワーをもらえて、それが大学生活を送る上での原動力になっていたりもします。県人会での思い出はたくさんありますが、中でも大学祭での模擬店は一大イベント。長野県人会では毎年長野県産りんごと汁物(豚汁など)を提供していますが、特定のファンがつくほどの人気でした。県人会で得た交友関係は長野県に戻ってきてからも連絡し合える心強い存在です。

大学祭での模擬店
県人会企画のたけのこ狩り

誰のために、何が出来るのか?

 自分の中では元々、福祉=高齢者というイメージが大きかったのですが、大学の学びの中で医療の道もあることを知り、MSWに興味を持ちました。現在は長野県佐久市にある専門医療と急性期医療に特化した佐久医療センターで働いています。センターには私の他にも7名のMSWがいて、その中には日福の先輩もいるので心強いです。
 入職当初は仕事を覚えることで精いっぱいでしたが、4年目となった今では「誰のために、何が出来るのか?」を常に念頭に置き、奮闘する毎日です。担当した患者さんが退院後に「家に帰れて良かった」「自分らしい生活が出来ている」といった話を聞くと、患者さんやご家族の想いを叶えるお手伝いができて良かったと心から嬉しく思います。相談される方の背景や相談内容は様々で、思い通りに進まないこともありますが、これからも一般的な考え方ではなく、一人ひとりに寄り添えるような支援をしていきたいです。

“日福出身”が誇りです!

 大学では専門知識の修得はもちろん、色々な人と関わる中で視野が広くなったと感じています。自分の思っていた当たり前が当たり前じゃないということを教えてもらいました。高校生や在学生の皆さんにもたくさんの人と出会って、色々な経験をして多様な価値観があることを知って欲しいです。たくさんのことを教えてくれた『日本福祉大学出身』というのが私の誇りです。

JA長野厚生連 佐久医療センター 医療ソーシャルワーカー

竹原 未祐さん

MIYU TAKEHARA

  • 日本福祉大学社会福祉学部社会福祉学科 2019年卒業
  • 長野県/長野県篠ノ井高等学校出身

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<取材:松本オフィス>