福井大学医学部附属病院にて病棟保育士・HPSとしてお勤めの荒木遥さんにオンラインでお話を伺いました。

HPSとは、“ホスピタル・プレイ・スペシャリスト”の略称であり、遊びを用いて小児医療に関わる専門職。この専門職が生まれたイギリスでは一般的なものになっていますが、日本ではまだあまり知られていません。

「入院をし採血、検査など様々な処置を受ける子どもたちは、不安感やストレスと日常的に向き合っています。
嫌がって泣く子どもを押さえつけて処置を行うシーンを、皆さんも容易に想像できるのではないでしょうか。私たちは、そんな医療現場で抑制をするのではなく寄り添い、子どもたちが医療経験を肯定的に捉えられるように遊びを用いながら支援しています。」

リラックスやストレス発散に繋がるよう、
入院中も砂遊びや水遊びも含む様々な遊びを
行っています。
プレパレーションカード。
遊びを取り入れながら検査・処置に
向けて
心の準備をします。
(プレパレーション=子どもの心の準備)
在学時所属サークルでの人形劇の様子。
台本や備品もすべてメンバーで準備していました。

荒木さんは日本福祉大学を卒業後、保育士として愛知県の認定子ども園で勤務されました。その中で通院を要するお子さんを受け持たれたことがあり、医療を必要とする子どもの一面に触れられました。 そして、このような子どもたちの支援に携わりたいと思われるようになり、地元である福井県の福井大学医学部附属病院での勤務を決められました。
より専門的な知識・技術を得るためHPS資格取得を目指されますが、学べる場所は当時も現在も静岡県のみ。平日は福井県で勤務・休日は静岡県で授業や実習といった生活をされ、現在に至ります。

「子どもたちは保育園や小学校で遊んだり学んだりするのが当たり前のはずなのに、入院中は治療が一番大事だと思われがちです。退院後の人生が長い子どもたちへ、遊びや人との関りを提供する・繋いでいくのも私たちの大切な役割です。」

これからも子どもたちが子どもらしく、その子らしく生きていけるよう関わっていきたいと語る荒木さん。

今後のご活躍も楽しみにしています。

福井大学医学部附属病院 病棟保育士・HPS

荒木 遥さん

HARUKA ARAKI

  • 2013年日本福祉大学 子ども発達学部(現在の教育・心理学部)を卒業

<取材:富山オフィス>