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テーマⅤ 「2019年度第2回地域別研究会」を開催しました

テーマⅤ 「2019年度第2回地域別研究会」を開催しました

2019年11月9日(土)に公立千歳科学技術大学で、AP事業の補助期間中最後となる「地域別研究会」(※)を開催し、テーマⅤ採択校から17名の教職員が参加しました。研究会では、高知大学による事例報告と、補助期間終了後の取組継続を見据えたグループワークを行いました。

※卒業時の質保証の強化に関わり、テーマⅤ採択校が抱える課題や関心に焦点を当てたテーマを設定して、取組状況や課題を共有する場として地域別研究会を開催しています。

 事例報告では、高知大学 大学教育創造センター長の小島郷子教授が、ディプロマ・ポリシーで示す能力獲得状況を確認するための多面的評価、学生の学修成果の社会への提示方法の開発(eポートフォリオ、ディプロマ・サプリメント)、教育改革に向けた教員の意識改革などについて報告しました。
 ディプロマ・ポリシーで示す能力を11種類に細分化し、その能力に応じて、GPA、ルーブリックを使用した学生による自己評価、パフォーマンス評価と、多面的に獲得状況を測定しています。身に付けた能力を評価した上で、能力をより伸ばしていくために教員によるリフレクション面談を導入していることが印象的でした。これは従来からのアドバイザー制度を活用したもので、教員がポートフォリオで学修履歴等を見ながら学生と面談し、面談内容をポートフォリオに記録しています。さらに、卒業生や卒業生の就職先への調査を実施することで、入学時から卒業後まで一貫した能力獲得状況を把握する仕組みを構築しています。
 各学部で内部質保証委員会を組織し、成績評価分布に基づき、良い方または悪い方に成績が偏っている場合は科目担当教員にヒアリングを行ったり、その原因(学修目標・履修者数・教え方等)を考えたりし、成績評価のより一層の公平性担保と、内部質保証のためのPDCAサイクルを回すことに努めています。
 教育改革に向けた教員の意識改革の取組として、相互授業参観が紹介されました。FD・SDの一貫で、教員は教育方法を学ぶために、職員は教育の理解促進のために多数の科目を公開し、今年度は40科目、延べ105回実施されました。専用システムで参観者が振り返りコメントを記した後、教員が振り返りコメントを記すことで、授業改善に繋げています。

 

 次のグループワークでは、「AP事業の継続・発展へのアプローチ」をテーマに、先回の地域別研究会のグループワークで見えてきた補助期間終了後のAP事業の継続・発展の課題を「学修の質向上と社会へのアプローチ」、「卒業時の学生の資質能力を可視化・提示する方法」、「評価の方法とその妥当性・信頼性の担保」、「可視化された能力・成果などを活用するために」の4種に分類し、課題ごとにグループに分かれてその解決に繋がりそうな方法・経験を共有しました。
 「評価の方法とその妥当性・信頼性の担保」のグループでの議論の一部を紹介します。成績の平準化に向けた各校の状況共有では、英語の能力別クラスに話題が及びました。同じ科目を複数の教員が担当する際は評価基準を合わせる必要があり、英語能力が低いクラスで100点をとっても「優」や「S」をつけてはいけないはず。絶対評価とクラス内での能力の伸びを総合して評価するのがよいといった意見が出ました。また、実際の事例としては、100点法をやめ、いくつか獲得目標能力を列記した評価ルーブリックを導入し、それを点数化する評価法が紹介されました。100点法でもこの評価法でも教員の評価は概ね合致しているとのことでした。

 

 これまで3年に亘り7回、“事例報告+基調講演またはグループワーク”の構成で地域別研究会を開催してきました。AP事業の推進の上で各校が抱える関心に即した講演での知見獲得や、グループワークでの情報交換を行い、自大学の取組と照らし合せることで、自らの課題を認識し、先進的な取組を参考にすることで取組の改善を図ってきました。相互に学び合い、共に発展する関係を築けたことが大きな成果です。

事例報告(高知大学)
事例報告(高知大学)
グループワーク
グループワーク