「お母さん。外国人だ」 ある男の子が私のことを見て、そう言った。私は何度も何度も考えたことがある。私はどっちなの。 私はブラジル人の父と日本人の母を持つハーフだ。また、私の顔立ちはブラジル人の中にいると日本人に思われ、日本人の中にいると外国人に思われることが多い。幼い時はあまり気にしていなかったのだが、物心ついた頃からそれがいつしかコンプレックスになり、母に「私もみんなと同じになりたい。私も日本人になりたい」そう言ったことがある。今、思い返したらその言葉はどれだけ両親を傷つけただろうか。しかし、驚いたことに今、私はハーフに生まれたことをとてもうれしく思っていて、自分がどちらの国の人間なのか、そんなことはいっさい気にしていないのである。ある三年ほど前の夏だ。母が私にこう言ったのだ。 「世界には、黒い肌を持つ人、金髪の人、水色の目の人、いろんな人がいるでしょ。それは一人一人の個性、世界中の人達がみんな同じだったら、世界は輝けない。『みんな違ってみんないい』という詩があるでしょ」 その言葉は私の考え方を百八十度変え、私に大きな力をくれたのだ。そして、私は思うのだ。みんな一人一人違う考えがあり、一人一人の性格があるからこそ、こんなにも世界は豊かなのだと。一人一人違うからこんなにも世界はカラフルに輝いているのだと。 今日、日本ではグローバル化が進み、町を歩いているだけでも多くの外国の方を見かけるようになった。多くの企業でも、外国の方々が働いている。それってとても、とてもすばらしいことだと思いませんか。多くの外国人が来ることによって日本はどんどん国際化していき、日本の個性がさらに輝かしいものになっていくと思う。私は、日本がこれからさらに、グローバル化していき、たくさんの個性が光る国になることを願う。
まず、「世界はカラフルだ」というタイトルが、多様性を一言で象徴しており、明るくポジティブな印象を与えて、とても良いと思います。 当初は「ハーフの自分はどっちなの?」と悩み、コンプレックスを持っていた作者に、母が「世界中の人達がみんな同じだったら、世界は輝けない」と話します。その言葉で、考え方が百八十度変わった素晴らしい体験を生き生きと書いています。ブラジル人の父と日本人の母の背中を見ながら育ってきた作者の気持ちがよく伝わるエッセイになっています。