審査員の多くがこの作品を高く評価し、満場一致で最優秀賞に選ばれました。まず、タイトルに独創性があること。そして、九十歳を過ぎた審判と若者が「野球」を通してつながっている話に感動したことが、高い評価を得た理由です。テーマが良かったことに加えて、文章も読みやすく、一気に読めました。
引退する高齢の審判のために、作者たちが一生懸命プレイをしている光景が目に浮かびます。最後のバッターボックスに入る前に審判の目に光るものを見て、「少しでも長くこの場にいさせてあげたいと思った」場面など、読んでいてとても温かい気持ちになった作品です。