36℃の言葉。あなたの体温を伝えてほしい。 2017年度 日本福祉大学
第15回 高校生福祉文化賞 エッセイコンテスト入賞作品集
学長メッセージ
審査員の評価と感想
入賞者発表
第1分野 ひと・まち・暮らしのなかで
第2分野 スポーツと わたし
第3分野 日常のなかで つながる世界
第4分野 社会のなかの「どうして?」
学校賞
 
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入賞者発表
第4分野 社会のなかの「どうして?」
最優秀賞 スマートフォンが誘う世界
日本女子大学附属高等学校 2年 小松 英里佳

 最近、スマートフォンが普及し、どこにいても多くの利用者を目にする。利用していない人を見つけることが難しいほどだ。確かにスマホは便利だし、私も使っている。しかし、私は依存するほどの魅力はわからない。
 私は人と直接顔を合わせて話すことが大好きだ。特に、一人っ子の私としては友人と話すことが同世代の人と話すことができる唯一の機会である。しかし最近は、多くが常にスマホを手にし、話していても目は画面に向いていたりする。それを見るといつも残念だ。せっかく他者がいるのに自分の興味だけを優先させ一人の世界に入ってゆく。私は、これは社会にも影響を及ぼしていると感じている。例えば電車内で混雑しているのにも関わらず、スマホに熱中し奥が空いていることに気がつかない、目的地に着いた途端、はっと驚き人にぶつかりながら降りてゆくなどだ。最も悲しく思うのは家族や夫婦でいるのに、それぞれにスマホに夢中になって会話が無いことだ。私の両親はスマホを持っていないし、私もそれほど使わないのでいつも会話が弾みそれがとても楽しい。なぜそこまでして人と の交流から遠ざかってゆくのだろう。人と交流することが面倒で疲れるという声も聞く。確かにそれもあるかもしれない。でもそれよりも楽しさがあり、新しい知識や視点を得られるということを皆に気がついてほしい。
 スマホは自分の興味の対象ばかりを見ることができる。きっとそこに人間は夢中になるのだろう。でもそれは続けるほど限られた知識や価値観に縛られてゆくのではないだろうか。自分と違う考え方や価値観の存在を無視する、それどころか知らずに成長してゆく。するといざ異なる価値観同士が出会った時、互いに排除しようとするかもしれない。私はそれが恐ろしい。だから少しでも早く皆にスマホの使い方を見直してほしい。便利に程よく使い、スマホが誘い込む一人の世界に落ちないように。

講評

 高校生にとって身近な存在の「スマートフォン」を取り上げて、「スマホに熱中している今の状況でいいのだろうか?」と疑問を投げかける点が良いと思います。第4分野は背伸びした表現を使いがちですが、自分の視点で考えて、等身大で書かれた作品になっているところが最優秀賞作品に選ばれた理由です。特に最後の「スマホが誘い込む一人の世界に落ちないように」の表現が秀逸で、この作品を強く推す審査員が多くいました。審査員の意見が分かれた第4分野の中で、頭一つ抜けた作品です。

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