科目名 聴覚障害児の心理・生理・病理

単 位 数 学年配当 開講期間 担 当 教 員
2 2 後期開講 喜多村 眞弓

テーマ
聴覚障害児を深く理解し、支援するための基礎知識

科目のねらい
<キーワード>
聴覚障害  聴力検査法
補聴器  言語発達
コミュニケーション

<内容の要約>
聴覚障害の診断・治療・療育分野は人工内耳の普及などにより近年大きく変貌をとげているが、ここでは聴覚の基礎知識を学び聴覚障害児のコミュニケーションにかかわる諸問題を理解する。身体障害者手帳を持っている聴覚障害者は全国で約36万人いるとされているがWHOの基準にもとづくと約600万人となる。名古屋市の人口(約220万人)と比較すると目に見えにくい(気づかれにくい)障害ともいわれる聴覚障害ではあるが意外に多いことがわかる。実際、本学の障害学生(通学生)のなかで聴覚障害者が最も多く在籍している(2014年度)。難聴の程度はさまざまであり「聴覚障害=ろう」ではない。必ずしも補聴器を装用していない人も多いし、手話をコミュニケーションの手段としていない聴覚障害者も多い。難聴者の増加が見込まれる高齢化社会では、医療・福祉・教育の各分野のみならず一般企業でのイノベーションに聴覚障害の知識は不可欠である。自分の周りの聴覚障害者に気付き、進んでさりげなく援助できるようになりたいですね。手話ができなくとも援助できることはいろいろありますよ。

<学習目標>
「聴覚障害」を定義することができる。(医療、福祉、教育、WHOの基準のそれぞれの観点から微妙な違いがあることを知り、その差異を述べることができる。)
「音」の物理的特性およびヒトの聴覚生理の基本を理解し、ヒトがさまざまな「音」を聞き取るしくみを理解し説明できる。(聴器〜聴覚伝導路〜聴覚中枢)
聴覚心理学としての聴力検査法をひととおり学び、被検者の子どもの年齢、発達に応じて適当な小児聴力検査法を選択できる。
コミュニケーションの要である言語の獲得(言語発達)について学び、「聴力」が重要な要素であることを認識する。
難聴者が日常生活でどんな困難を抱えているのか理解し、QOLを高めるにはどんな支援が必要か具体的な方法を考察する。

授業のながれ
導入・「音」とは
聴器の解剖ー耳の構造ー
聴覚生理ー聴こえのしくみ@聴器を中心に
   〃      〃    A聴覚伝導路〜聴覚中枢
聴覚検査法 @基本の検査ー検査の方法・オージオグラムの書き方・読み方
  〃     A小児の聴力検査
聴覚障害の程度ー医療・身体障害者福祉法・学校教育施行令・WHOの基準
小児難聴の原因・小児に多い耳鼻咽喉科疾患
ことば遅れと難聴〜聴覚障害児の1例(自験例)をあげ考察する
ダウン症児と難聴
聴覚障害とコミュニケーション
小児難聴の早期発見の取り組みと現状
補聴器・人工内耳
聴覚障害児の自己アイデンティティ・聴覚障害児への支援体制
まとめ

準備学習の内容・学ぶ上での注意
注意@ 医学的な内容が多くなりますが極力わかりやすい授業にしたいと考えています。難しい内容は噛み砕いて平易に、簡単なことは深く。授業内で理解習熟していただくために毎回小テストを行います。
注意A 第9回の講義では、発達検査(新版K式、KIDS、津守式など)知能検査(WISCW、WISCV、田中・ビネー式)の知識が必要です。未習の人は自習をお願いします。
注意B 赤ペン、青ペン(色鉛筆、マーカーなど)を持参すること。

本科目の関連科目
発達心理学
特別支援教育

成績評価の方法
課題・小テスト
レポート
中間試験
定期試験
そ の 他
40%
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60%
0%
 

テキスト
□テキストを使用する
■レジュメを使用する
□未定 (最初の授業で指示する)
 



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