科目名 哲学(現代人間論)

単 位 数 学年配当 開講期間 担 当 教 員
2 1 後期開講 赤石 憲昭

テーマ
承認論の観点から現代社会に生きる人間について多面的に考える

科目のねらい
<キーワード>
人間  承認
現代社会  民主主義

<内容の要約>
哲学は古来より人間が「善く生きる」とはどういうことかを探求してきました。しかし、現代社会を見渡すと、「善く生きる」どころか、生活困窮者は急増しており、劣悪な環境で働かなければならない労働者も数多く、いじめ自殺もいまだに後を絶たないことなどからもわかるように、そもそも生きること自体がつらくなっている現状があります。はたしてこのような状況において「善く生きる」ことは可能なのでしょうか?この授業では、「承認」という社会哲学の原理をもとに、「善く生きる」前提でもある「人間のあるべき姿」とは何かを考えるとともに、それが現代社会においていかに実現しているのか、または実現していないのか、さらには、それを阻むものは何なのか、ということを具体的な社会問題と関連づけながら、現代社会において「善く生きる」とはどういうことかを考えます。
 第一部(第2-6回)では、授業全体の基軸となる承認論の基礎を学習し、第二部(第7-10回)では、現代社会における人間の特質をいくつか取り上げ、承認論の観点とともに考察し、第三部(第11-14回)では、現代社会において現在進行形で問題となっているテーマを承認論の観点から考えます。
 授業は、レジュメを用いた講義形式で行い、適宜、参考資料および映像資料を用います。また、授業時に受講票にコメント記入をしてもらい、次の回の冒頭でそれをもとにした復習も行います。

<学習目標>
・承認論の基本的な考え方と知識を身につける。
・「承認」の原理のもと、福祉や教育の基礎となる人間の尊厳に配慮した人間理解を身につける。
・承認論の理解を応用して「人間」と「社会」について多面的に考える。

授業のながれ
第1回  オリエンテーション: 現代社会において「善く生きる」とは?
第2回  承認論の基本原理: 「人間は承認を求める存在である」
第3回  承認の三類型@ 愛の承認: バレンタインデーと承認論
第4回  承認の三類型A 法権利の承認:「朝日訴訟」、「北九州餓死事件」を切り口に
第5回  承認の三類型B 社会的価値評価の承認: AKB選抜総選挙でも承認論
第6回  承認論の応用: 秋葉原事件の承認論的考察
第7回  新自由主義における人間: 現代社会がわれわれに強要する人間観
第8回  消費社会における人間: われわれはなぜ買ってしまうのか?
第9回  携帯時代における人間: ITはわれわれの意識をどう変えたのか?
第10回 近代的人間観と日本人: 日本人はなぜ空気を読むのか?
第11回 承認論の展開@: 承認論の観点から家族問題を考える
第12回 承認論の展開A: 承認論の観点からいじめ問題を考える
第13回 承認論の展開B: 承認論の観点から格差社会の問題を考える
第14回 承認論の展開C: 承認論の観点から原子力問題を考える
第15回 まとめ

準備学習の内容・学ぶ上での注意
本授業で主題とする「承認」の問題は、われわれ「人間」のありとあらゆる場面で関わっているものです。この「承認」が自分自身および現代社会のあり方とどう結びついているのかをつねに考えながら学習してください。

本科目の関連科目
哲学概論、現代基礎教養T・U、ジェンダー論

成績評価の方法
課題・小テスト
レポート
中間試験
定期試験
そ の 他
40%
0%
0%
60%
0%
毎回の小課題(40点)+期末レポート(60点)の合計100点満点のうち60点以上を合格とします。授業内に毎回、授業内容に関わるコメント記入をしてもらい、用紙6割程度の記入を満点の目安とします。期末レポート(定期試験)では、授業内容の基本的な理解をもとに、それを人間と社会の分析に応用することができているかを確認します。

テキスト
□テキストを使用する
■レジュメを使用する
□未定 (最初の授業で指示する)
<著者>参考書・参考資料1 :アクセル・ホネット <テキスト名>『承認をめぐる闘争』 <出版社>法政大学出版局、2003年
<著者>参考書・参考資料2 :赤石憲昭 <テキスト名>「「希望はテロ」の背後にあるもの:秋葉原事件の承認論的考察」 <出版社>
<著者>参考書・参考資料3 :仲谷明香 <テキスト名>『非選抜アイドル』 <出版社>小学館101新書、2012年



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