日本福祉大学 経済学部

総合演習T(001) 〈教職課程〉

単位数 学年配当 開講形態 教員名
2
2
前期
野 村   晃

テ | マ 障害者と雇用問題

講義のねらい
@ 障害者の雇用問題は、 今日のグローバリゼーションや経済不況のなかで、 試練がためされています。 このゼミでは法的側面から障害者の雇用 (職業訓練を含む) の促進について、 外国人との比較を通して研究します。
A 日本の障害者雇用制度は、 ドイツの法制を模倣した割当雇用率制 (納付金の納入) を柱にしています。 類似の制度を採用している国はおよそ 30 カ国におよぶといわれています。 (ILO 調査)。 しかし、 納付金のような経済負担を課さない仕組みをとってきたイギリスでは、 1995 年法 (Disability Discrimination Act) の創設に伴い全廃されました。 障害者の雇用をどのような仕組みの下で実施しようとしているのか、 ドイツとの比較を通して検討します。
B 障害者が 「働く」 こと、 「人たるに値する生活を営む」 ことについて、 隔離的・保護的就労の視点からではなく、 「すべて国民は勤労の権利を有し義務を負う」 (憲法 27 条 1 項) といった権利主体性の視点、 一般労働市場への統合を展望する視点に立って、 その困難な要因と克服事例および限界等をイギリス、 ドイツの制度をまじえて析出し、 障害者の国民としての 「勤労権」 について考察します。

講義のながれ
ゼミの運営を前半と後半の 2 つに分けて、 スケジュールにアクセントを持たせます。
◆前半
 私がドイツの 「割当雇用率制」 とイギリスの全廃されたそれや新制度 (定義や理念、 枠組みや差別の判断基準等々) について骨格・概要・問題提起をし、 日本との比較検討を試みます。
◆後半
 学生諸君には、 日本の 「障害者の雇用の促進等に関する法律」 その理念や史実変遷、 制度の仕組や性格、 および国・地方公共団体および企業 (事業) の 義務と雇用状況の推移、 人権侵害の実態とその問題点などを提起し、 議論の素材を提供してもらいます。

学ぶ上での注意・担当教員からの希望
つぎの 3 点に留意してください。
a) 飾り気のない素朴で誠実な学生の参加を期待しています。
b) 個々の学生の 「個性」 と 「人格」 を尊重し 「自律」 を促します。
c) 教員志望を真面目に考えている学生に限ります。

成績評価の方法
レポート作成で評価をします。

テキスト @ テキストは特定しません。 レジュメを配符します。
A 障害者の雇用問題について、 日常的に関心を深めるように心がけてください。
参考文献
 1. 手塚直樹著 『日本の障害者雇用』 光生館 (2000 年)
 2. 労働省職安局障害者雇用対策課 『障害者雇用法改正』 国政情報センター (1998 年)
 3. 日本弁護士連合会人権擁護委員会編 『障害のある人の人権と差別禁止法』 明石書店
(2002 年)



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