日本福祉大学 経済学部

西洋経済史

単位数 学年配当 開講形態 教員名
4
2
後期 (週 2 回)
安宅川 佳 之

テ | マ 欧米経済の歴史を趨勢的発展と長期経済変動として捉える。

講義のねらい
 欧米経済の発展と長期波動の歴史を、 「市場と国家」 「市場経済と指令経済」 の対立興亡の中で捉える。 中世封建制度の中で、 十字軍の遠征等を通じて地中海・バルト海沿岸都市における 「グローバル市場」 の発達、 大航海時代の新しい世界市場の形成、 重商主義・重農主義の時代を経て、 産業革命が成し遂げられるプロセスを振り返る。 19 世紀のイギリスの覇権が如何にして形作られ,守られて、 衰退していったのか。 20 世紀アメリカの時代がどの様にして生まれ,維持されきたか。 その間に、 世界経済を見舞った 3 度のデフレ (飢餓の 1840 年代、 19 世紀末世界大不況、 1930〜40 年代の世界大恐慌) をどのようにして克服してきたか。 歴史的事実を現在的視点から分析を加えたうえで,現在の経済問題に対する認識を深め、 歴史的視点から経済問題を捉える場合の方法論を示す。

講義のながれ
序. 現在の世界経済・日本経済の現状と問題点
1. 歴史を如何に捉えるか
(1) 市場と国家 (ヒックスの歴史観を中心に)
(2) 趨勢と循環 ロストウの発展段階説とコンドラチエフの長期波動理論
2. 中世〜近世の経済と社会
(1) 封建社会の成立
(2) 地中海都市国家と商工業の発達
(3) 大航海時代と重商主義  
3. 産業革命と資本主義経済の誕生
(1) 産業革命とナポレオン戦争の時代、
(2) ウイ―ン反動体制と工業化のひずみ
(3) 飢餓の 40 年代と自由貿易体制生みの苦しみ
4. 古典的資本主義の時代
(1) パックス・ブリタニカと欧米工業国の産業革命
(2) ビスマルクとグラッドストーンの時代
(3) イギリス帝国主義への挑戦
5. 国家主導型資本主義の時代と覇権の交替
(1) チエンバレンの保護貿易主義
(2) 社会主義思想の台頭 (ロイド・ジョージの社会政策)
(3) 第 1 次大戦とイギリス経済の衰退
(4) アメリカ経済の発展と高度大衆消費時代の到来
(5) 大恐慌とニューデイール政策
(6) 集団主義と第二次大戦
6. 福祉国家型資本主義の時代とアメリカの覇権
(1) パックス・アメリカーナと世界経済の復興
(2) EEC と多国籍国家の誕生
(3) 覇権国の疲弊と金ドル為替本位制の動揺
(4) オイルショックと先進国サミット
(5) 新保守主義の経済政策 (レーガノミックス)
7. グローバル資本主義の時代
(1) 東西合流とアメリカ単独覇権の時代,
(2) 勃興する中国経済
(3) ニューエコノミーと多国籍時代
終. 新しい経済発展とリフレの時代
(全 26 講の予定)

学ぶ上での注意・担当教員からの希望
 「歴史は現在を映す鏡である」。 歴史を自分自身で理解するため、 毎回、 質問と意見の提出を求め、 各々、 翌週に回答を示し、 知識と観察視点を共有化する。
参考文献 『コンドラチエフ 波動のメカニズム』 安宅川佳之、 ミネルヴァ書房 (2000 年)、 『世界の歴史』 (中公文庫 10〜16)、 『世界の歴史』 (河出文庫 15〜24)、 『西洋経済史』 神武庸四郎・萩原伸次郎 有斐閣 (2000 年)、 『西洋経済史』 岡田泰男編著、 『経済大国の盛衰 300 年』 浅羽良昌、 東洋経済新報社 (1997)、 『イギリス近代史』 村岡健次・川北稔編著、 ミネルヴァ書房 (1992)、 『大国の興亡』 ポール・ケネデイ著、 鈴木主税訳、 草思社 (1992)、 『世界経済の成長史 1820〜1992』 アンガス・マデイソン著金森久雄監訳、 東洋経済新報社 (2000)、 『アメリカ経済の変貌』 関下稔・坂井昭夫編著、 同文館 (2000)、 『世界経済の長期ダイナミズム』 篠原三代平、 TBSブリタニカ (1991)。 『世界経済史』 石見徹、 岩波書店 (1999)

成績評価の方法
 論述試験を後期末に行うが、 期中に各 1 回ずつ論文の提出を求める。 配点は論述試験 6、 論文を 4 の割合で評価するとともに、 講義への参加度 (質問、 意見) も加点要素とする。

テキスト 安宅川佳之 『長期波動と経済発展』 (9 月完成予定)



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