日本福祉大学 社会福祉学部

社会保障論 (社)

単位数 学年配当 開講形態 教員名
4 3 通年 笛 木 俊 一

テ|マ 社会保障制度の<歴史>と<裁判>−−−ソーシャルワーカー論の視点より−−−

講義のねらい
 @社会保障制度は、 人々の健康で文化的な生活を営む権利を社会的に保障することを目的としており、 近代社会のもとで形成されてきた救貧制度と労働者保険制度を主要な構成要素として世界恐慌期から第二次世界大戦後の復興期に成立するとともに、 高度成長期に入ると、 社会手当制度が創設され、 また、 社会福祉制度も次第に整備されてきた。 しかし、 その後の低成長期になると、 急速に進んでくる少子・高齢化のもとで、 それまでの社会保障制度の内容が大きく改革されてきている。
 A講義では、 最近の改革の動向について全体的に説明したうえで、 社会保障制度に関する裁判事例を手がかりとして、 これからの社会保障制度の課題と展望について考えてみたい。

講義のながれ
〈総 論〉社会保障制度の歴史と理念
T. 講義のねらいと方法
1. 講義のねらい
   (1)社会保障制度の現状と課題
   (2)社会福祉専門職の役割
2. 講義の方法
   (1)〈テキスト〉の分析方法
   (2)〈個別事例〉の分析方法
U. 社会保障制度の歴史と理念
1. 社会保障制度の歴史
2. 最近の社会保障政策の動向  理論的背景
3. 社会保障制度の理念  規範的構造
   (1)社会保障憲章の考え方  8 原則の推移
   (2)《二次元》的構造から《三次元》的構造へ

〈各 論〉社会保障制度の役割と裁判
T. 社会保障裁判の意義
 1. 社会保障裁判の社会的機能
 2. 権利保障制度の〈拡大〉と〈発展〉
U. 現代の貧困問題と最低生活の保障
 1. 最低生活の保障と公的扶助制度
 2. 公的扶助をめぐる裁判の特徴
V. 現代の国民生活と所得の保障
 1. 人々の暮らしと年金保険制度
 2. 年金保険をめぐる裁判の特徴
3. 家族の生活と社会手当制度
W. 現代の国民生活と医療の保障
 1. 人々の健康な暮らしと医療保険制度
 2. 医療保険をめぐる裁判の特徴
X. 現代の家族生活と社会福祉サービス
 1. 子育てと障害者・高齢者介護の保障
 2. 社会福祉をめぐる裁判の特徴
Y. 講義のまとめ  社会保障制度の課題
 1.〈裁判事例〉の読み解き方
 2. ソーシャルワーカーの役割  《尊厳》とは

学ぶ上での注意・担当教員からの希望
@ 講義では、 以下に掲げた 3 冊のテキストを使用する。
A 社会保障制度の《改革》の動向と問題点を考える手がかりとして、 社会保障制度に関する〈裁判事例〉(社会保障裁判) を検討する。

成績評価の方法
 講義中に配布する〈裁判事例〉についてレポート方式による試験を行う (〈個別事例〉の分析力の養成)。
〔レポート・テーマの例〕 (2002 年度の場合)
「講義中に配布した 3 つの裁判事例 (@ 「賃金請求ノ件」、 A 「江名町水難救護会事件」、 B 「日本紡績業厚生年金基金事件」) をふまえて、 「社会保障制度の歴史と裁判」 という視点から、 これからの社会保障制度 (主に年金保険制度) の課題と展望について論述せよ」

テキスト (a)福祉士養成講座編集委員会編 『新版社会福祉士養成講座第 5 巻・社会保障論』 中央法規出版、 2003 年
(b)社会保障入門編集委員会編 『社会保障入門 (平成 13 年度版)』 中央法規出版、 2002 年
(c)佐藤進ほか編 『社会保障判例百選 (第三版)』 別冊ジュリスト No.153、 有斐閣、 2000 年



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