日本福祉大学 社会福祉学部

司法福祉論

単位数学年配当開講形態教員名
23後期山 口 幸 男

テ|マ社会問題の司法的解決に於ける狭義の規範的的解決と福祉的臨床的解決との結合原理と方法を考察する

講義のねらい
 社会問題には司法による解決を不可避とするもの、 司法を利用して解決出来るもの等があるが、 その場合、 問題の法的解決とともに 「生きた問題それ自体を解決」 するために社会福祉的な工夫が色々と為されてきた。 そうした実体的 (福祉臨床的) 解決をも含む現代の司法サービスを広義の 「司法福祉」 と呼ぶが、 こうした実体的解決の過程や方法を狭義の 「司法福祉」 と呼ぶ。 本講義では主に後者について考察する。
講義は具体的事例を取り上げて 「司法」 の論理と方法について概説する。 その場合、 犯罪・非行問題、 児童虐待問題、 家族・家庭内紛争等々を例に、 少年警察、 家庭裁判所の審判、 少年院等での矯正教育、 保護観察を中心とする更生保護、 犯罪被害者支援、 法律扶助、 死刑制度などを取り上げ、 そこで協働する 「福祉」 の論理と方法の特色について概説する。 全体として理論的・実践的考察を重視しつつ、 具体的な問題検討を通して理解を深められるよう心掛けたい。

講義のながれ
第一回講義 導入−「犯罪問題の解決」 とはどういうことか (VTR 「少年法?」) (資料 「犯罪問題解決図」)
第二回講義 伝統的司法と新司法の葛藤−「司法」 と 「福祉」 の関係を少年法史を例に考察する (VTR 「少年法?」) (資料 「司法福祉展開図」)
第三回講義 司法福祉の理論的枠組−児童虐待問題を例に規範的解決と実体的解決の在り方を考える (VTR 「児童虐待」) (資料 「子どもの虐待危機介入チャート」)
第四回講義 司法福祉の苦悩一例:児童の権利条約・改訂少年法・改訂児童福祉法、 児童虐待防止法などと司法管理主義 (資料 「家裁手続き図」)
第五回講義 司法福祉の実践−法律扶助・被害者援護を題材に− (VTR 「被害者の心の後遺症」 ほか )
第六回講義 司法福祉の実践−死刑問題を題材に− (資料 「ジャーニイ オブ ホープ」 (坂上香) (VTR 「死刑執行」)
第七回講義 司法福祉の実践−社会題内処遇 (更生保護) と施設内処遇 (矯正教育)− (VTR 「保護観察」、 「少年院」)
第八回講義 司法福祉の児童問題臨床−児童福祉処遇 (児童相談所と児童施設)− (VTR 「サナプチの記録」、 「俺達の少年期」)
第九回講義 司法福祉の理論と非行臨床?−イタリア学派からシステムズ・アプローチまで (資料 H. H. Perlman“問題解決過程”) (VTR 「非行と向き合う親」)
第十回講義 司法福祉の理論と非行臨床?−刑罰と保護 「社会福祉的援助」 の方法−日本矯正が生んだ諸技法、 回復的司法など含む− (VTR 「少年刑務所」、 「被害者と向き合う少年」)
第十一回講義 司法福祉の方法−「法の適正手続」 と臨床の 「フエアネス」−社会福祉援助技術に於ける 「社会診断」− (資料 「(M. Richmond“社会的証拠”」)
第十二回講義 司法福祉の研究方法−社会福祉の事例研究と司法の判例研究の統一 「審判例研究」 の意義
第十三〜十四回講義 まとめ:「司法福祉」 の現在と将来を考える
第十五回   期末試験

学習条件・履修上求められるもの
 出来るだけビデオや印刷資料を使って話しますが、 内容は簡単でないのでテキストや参考文献で繰り返し学習したり、 そのうえに立って日常の出来事をじっくり考えるなどして出席すること。

成績評価
 試験問題は一ヶ月前に公開しますが、 試験では理由の如何を問わず 「同じ文面での回答」 は共に不合格とします。 また毎年前年・前前年の問題への解答を書いて不合格となる学生がいるので注意されたい。

テキスト山口幸男 『司法福祉論 (4 刷)』 ミネルヴァ書房、 2000 年



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