日本福祉大学 社会福祉学部

公的扶助論 (社)

単位数学年配当開講形態教員名
23前期笛 木 俊 一

テ|マ生活保護制度の現状と課題 −最近の生活保護裁判の動向をふまえて−

講義のねらい
 公的扶助制度 (生活保護法) とは、 現代の基本的人権たる生存権の保障を目的とする社会保障制度のなかで、 国および地方自治体の責任によって、 現に生活が困窮しているすべての人々に対して〈健康で文化的な最低限度の生活を包括的に保障する〉とともに、 そのことを通じて生活困窮者の〈社会的な自立を援助する〉ことを目的としており、 現代社会における最終的な生活保障の手段 (セイフティネット) としての性格を有しているが、 最近の社会保障構造改革のもとで、 その〈改革〉が試みられてきている。
 講義では、 生活保護法の基本的な原理や仕組みを説明し、 あわせて最近の生活保護裁判を手がかりとして (個別事例の分析)、 その現代的意義や〈改革〉動向についても考察してみたい。

講義のながれ
1. 講義のねらいと方法
2. 公的扶助とは−社会的セイフティネット−
 (1) 生活保護の動向と現代の貧困問題−ホームレス問題
 (2) 生活保護制度の〈改革〉の動向−生活保護裁判の動向をふまえて
3. 公的扶助の考え方−その矛盾的構造
 (1) 生存権の保障と個人責任の強調
 (2) 生活保護制度の基本原理と原則
 (3) 要・被保護者の権利と義務
 (4) 補足性の原則の考え方の推移
4. 生活保護制度の仕組みと内容
 (1) 実施体制と費用負担の仕組み
 (2) 生活保護の基準と内容
 (3) 生活保護施設−救護施設の場合
5. 公的扶助実践の課題−社会的自立の現代的意義
6. まとめ

学習条件・履修上求められるもの
(1)講義では、 次に掲げた 2 冊のテキストを使用する。
(2)生活保護制度の運用上の問題点を考える手がかりとして〈生活保護裁判〉の内容を紹介する。

成績評価
 講義中に配布する〈裁判事例〉について試験を行う。 筆記試験か、 レポートかは、 履修者数をみて判断する。 2000 年度のレポート・テーマ 「『補足性』 の原理 (原則) の運用方法 (とくに資産活用、 収入認定) について、 テキストの内容と、 高訴訟の判決内容 (地裁、 高裁) を比較したうえで、 自分の考え方を述べよ」

テキスト(1) 竹中哲夫ほか編著 『現代の社会福祉』 みらい、 2001 年
(2) 「新版・社会福祉学習双書」 編集委員会編 『新版・社会福祉学習双書 2002 公的扶助論』 全国社会福祉協議会、 2002 年



(C) Copyright 2002 Nihon Fukushi University. all rights reserved.
本ホームページからの転載を禁じます。