日本福祉大学　社会福祉学部

保　育　論

単位数	学年配当	開講形態	教員名
4	2	通年	亀　谷　和　史

テ｜マ

保育・幼児教育の原理と、発達支援・子育て支援の課題

講義のねらい

　この講義では、前半は、現代の子育て支援と保育の課題をより深く理解していくうえで、まず人間形成という幅広い視点から保育の原理的な考察をおこなっていく。すなわち子育て・保育をおこなっていくうえで、前提として考えておかなければならない人間の生物学的・社会的特質や、成熟・学習・発達の捉え方、社会的環境と教育の可能性などについて学んでいく。さらに、保育内容・方法の基礎理論と保育園・幼稚園での保育活動の実際について取り上げる。後半では、現代の子育て支援の課題と保育問題について検討をおこなっていく。経済効率優先の社会状況のなかで、深刻な育児不安や虐待、父親不在の育児、地域からの孤立化等、様々な問題が噴出しているが、こうした子育て困難の実態と課題・解決策について考えていきたい。また、保育の歴史や世界の保育・幼児教育思想についてもふれていく予定である。

講義のながれ

Ⅰ　人間形成と保育・教育の原理
　1. はじめに―開講にあたって
　2. 子どもの誕生と出産―子育て・保育の原点―
　3. 人間発達の生物学的特質・社会的環境と保育・教育の必然性
　4. 成熟・学習・発達と保育の原理（1）― 「成熟」をどう捉えるか
　5. 成熟・学習・発達と保育の原理（2）―人間にとっての「学習」の意味
　6. 発達観と保育・教育の基本原理
　7. 乳児期の発達と保育の課題
　8. 幼児期の発達と保育の課題
Ⅱ　保育園・幼稚園での保育実践と保育の基礎理論
　1. 保育園・幼稚園での保育計画と保育活動
　2. 保育実践の展開（1）―保育構造論の検討―
　3. 保育実践の展開（2）―あそびの意義と指導
　4. 保育実践の展開（3）―課題活動（課業）の取り組み
　5. 保育・幼児教育思想の展開（1）
　6. 保育・幼児教育思想の展開（2）
Ⅲ　現代の子育て支援の現状と課題
　1. 保育所（園）・幼稚園の制度
　2. 「早期教育」の問題点と課題―その社会的背景を問う
　3. 母子関係論と社会的保育―現代の育児・保育問題
　4. 現代社会での母親の就労と子育て・保育
　5. 父親の子育て参加と家族―ジェンダーと子育て
　6. 少子化・出生率低下と「子育て支援」政策
　7. 保育制度「改革」の問題点と「幼保一元化」の課題
　8. 1 年間のまとめ

学習条件・履修上求められるもの

　この講義は、将来、保育分野はいうまでもなく、児童福祉分野や教育分野（教職）に進む学生の履修をおすすめします。毎回、プリント・資料を配布して授業を進めるので、ファイルに保存してください。また、適宜ビデオ教材等を活用し、ミニ・レポート及び前期末にレポートを課します。

成績評価

　筆記試験を行う。出席点・レポートを加味して、年度末に評価をします。

テキスト

とくに使用しない。