日本福祉大学 社会福祉学部

障害者福祉論 (夜)

単位数学年配当開講形態教員名
42通年木 全 和 巳

テ|マ21 世紀の 「〈障害〉児・者〈福祉〉」 −−−発達保障・権利保障の具体的な実現にむけて

講義のねらい
 「障害」 は、 胎児期→子ども期→青年期→成人期→高齢期に至るライフサイクルのその時々に、 それぞれの社会条件で、 いろいろな場面で、 さまざまな生活上の困難をもたらすことがあります。 また、 「障害」 そのものは抽象的に存在することなく、 ある時代のある国家のある地域のある家族の誰々というように、 必ず具体的な名前を持った一人の人間を通して、 具現します。 講義では、 ゲスト講師・ビデオを通して、 できるだけ具体的に 「障害」 児・者の社会生活・日常生活を紹介しつつ、 「障害」 に関する、 歴史・社会・福祉について、 イメージをもった学びができるようにと、 考えています。
 転換期といわれる現在、 たとえば 「支援費制度」 に関する評価も含め、 障害者福祉の理念も施策も、 さまざまな揺らぎを見せています。 この間、 障害者福祉施策は、 一定前進もしましたが、 障害者とその家族の生活実態は、 依然として厳しいものがあります。 この講義では、 障害者福祉の理念を再考しつつ、 歴史的にも学びつつ、 障害者福祉の実践や施策を検討しながら、 「障害」 をもつこととなった人々とその家族人たちの人間としての諸権利を生活の中で具体的に実現していくための社会福祉実践について、 検討していきます。

講義のながれ
前 期
1 . 障害者福祉論受講ガイド
2 . 障害者と社会 (1):施設反対運動とスティグマ
3 . 障害者と社会 (2):優生思想と私たち
4 . 「障害」 と 「障害者」 の理解 (1):障害・障害者観と社会福祉実践
5 . 「障害」 と 「障害者」 の理解 (2):構造的理解
6 . 「障害」 と 「障害者」 の理解 (3):法的定義
7 . 障害者福祉に影響を与えた思想 (1):基本的人権
8 . 障害者福祉に影響を与えた思想 (2):ノーマライゼーション、 リハビリテーション
9 . 障害者福祉に影響を与えた思想 (3):自立・発達とエンパワメント
10. 障害者観・障害者福祉制度の変遷 (1):第二次世界対戦以前
11. 障害者観・障害者福祉制度の変遷 (2):戦後期から高度経済成長期まで
12. 障害者観・障害者福祉制度の変遷 (3):高度経済成長期以後

後 期
1 . 障害者福祉の制度と体系 (1):障害者基本法など
2 . 障害者福祉の制度と体系 (2):各種福祉サービス
3 . 障害者福祉実践の現状と課題 (1):障害児福祉
4 . 障害者福祉実践の現状と課題 (2):施設で暮らす
5 . 障害者福祉実践の現状と課題 (3):家族支援
6 . 障害者福祉実践の現状と課題 (4):労働と雇用
7 . 障害者福祉実践の現状と課題 (5):地域で暮らす
8 . 障害者福祉実践の現状と課題 (6):文化を創る
9 . 障害者福祉実践の現状と課題 (7):家族をつくる
10. 障害者福祉実践の現状と課題 (8):生活保障と障害者年金制度
11. 障害者福祉実践の現状と課題 (9):ボランティアを考える
12. 障害者福祉の国際的動向:「合州国 ADL 法」 / 「アジアの太平洋障害者の 10 年」

学習条件・履修上求められるもの
 300 人規模の大教室での講義となります。 講義時間数は限られていますので、 障害者福祉についての基本的な考え方と基礎的な知識の伝達が、 この講義の内容となります。 講義で触れた考え方と知識が、 活きて働くように、 実際に障害がある子どもたちや仲間たちとふれあう経験をもつ、 紹介した参考文献を読むなど、 みなさん一人ひとりの主体的な学びを期待します。

成績評価
 夏休みの課題小論文 (論考)、 後期試験 (基礎知識)、 毎時の小レポートを総合して判定します。

テキスト・佐藤久夫/小澤温 著 『障害者福祉の世界』 有斐閣、 2000 年
・制度施策の転換期でもあり、 必ずレジュメと資料を用意します。 きちんとファイルをして、 毎時間持ってきて下さい。



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