フレッシュマン・イングリッシュT・U 単位数 学年配当
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●講義のねらい
 フレッシュマンとはあなたたち新入生のことを意味しています。 ですからフレッシュマン・イングリッシュとは新入生を対象にした英語だと考えてください。 ではあなたたち新入生を対象にした英語とは一体なんでしょうか。 それについて三つの視点から考えたいと思います。
 まず第一に、 大学で学ぶ英語とは自分にとってどんなものであるかを考えること。 そのためにはまず、 今までの英語の学び方を総括しなくてはなりません。 皆さんの多くは大学を受験するために英語を学んできたはずです。 受験英語で学んだ知識は大切なものですが、 英語を学ぶ目的が入学試験に合格するためでしたから、 英語を学ぶ楽しさや喜びを見つけることは難しかったのではないでしょうか。 今までの自分と英語との関わりを振り返り、 これからどんなふうに英語と関わってゆけるかを考えてみてください。 試験があるから勉強しなくてはと思うのではなく、 英語を通してどうしたら自分の能力を広げることができるかを考えてみてください。
 二つ目には、 書き言葉としての側面と話し言葉としての側面から英語を全体的に理解すること。
 そのためにはまず、 英語を日本語に翻訳して理解するのではなく、 英語のまま読み、 聞いて理解することを目標にすること。 英語を日本語に翻訳することに意味がないというわけではありません。 それはそれで難しい作業です。 しかし、 日本語に訳したものに頼りすぎて本来の英語をおろそかにしてはいけないということです。
 この問題に関連して、 英語という言葉の持つ力、 英語の思考様式、 その結果生み出される文化について考えるきっかけをつかめることを期待しています。
 さらに、 耳で聞いた英語と目で読む英語の関係を理解しなくてはなりません。 日本語とは異なり、 英語は文字で書いてあるようには発音されていません。 日本語と英語の音声に関する違いを理解し、 英語独特の音現象を理解する必要があります。
 三つ目には、 英語による表現の基礎能力を養うこと。 英文を読んだり、 聞くことで、 英語を自分の中に取り込まなくてはなりません。 そうして自分の血や肉となった英語を駆使して、 英語による自己表現の能力を身につけることを目標にすること。
 上で述べた事柄は、 大学の四年間での到達目標と考えた方がいいかも知れません。 自分の英語力や興味や関心に応じて、 英語と自分がどのように関わりを持てるかを四年間の間に見つけてください。
 どのような点で英語と日本語が異なっているかを考えながら上の三つの視点を中心にして、 英語を学ぶことになります。 フレッシュマン・イングリッシュTでは、 おもに英語を読む作業が、 フレッシュマン・イングリッシュUでは、 おもに英語を聞く作業が中心になります。 フレッシュマン・イングリッシュで最低限理解して欲しいことは、 英語を通してさまざまな楽しさや喜び、 驚きを感じることができるということです。 英語のクラスでそれらを感じとることが出来れば、 皆さんの英語に対する気持ちは受験英語に持っていた気持ちとは異なったものになるはずです。
 最後に一言、 英語を学ぶ楽しさを見つけても、 英語を身につけることはそう簡単ではありません。 外国語を学ぶということは、 異なった国の思考様式を理解するということですから、 一朝一夕にできることではないことは肝に銘じてください。 大学の授業で自分が英語を学ぶ意味を見つけ出したら、 それを核にして、 授業以外でも積極的に英語と関わりを持てるかどうかは、 あなたたち自身に託された課題です。

 次にあるリストは、 フレッシュマン・イングリッシュT・Uのそれぞれのクラスで学習する項目をリストアップしたものです。 実際の授業ではクラス担当の教員が選んだ教材に即して、 それらの項目を学習することになります。 但し、 クラスの進度に応じて、 学習項目を取捨選択することがあります。

フレッシュマン・イングリッシュTで学習する事項
 1 . シンタックスに関して、 英語と日本語の違いを理解する
  1 ) 主部と述部:ディレクトリーとサブディレクトリー
  2 ) 文章構造の理解:語順、 文型、 時制、 複文
 2 . フレーズ・リーディングの紹介とそれによる読解力の育成
  1 ) 英文の構造を理解し、 意味のまとまりを読む
  2 ) 読むときの英文のリズムの理解
 3. 辞書の使い方を身につける
  1 ) 語の理解:品詞と語形変化
  2 ) 辞書の引き方:字引と辞書 (豆単、 試単と辞書)
  3 ) 英和辞典同士の記述の比較
  4 ) 英々辞典同士の記述と比較 (子供向きのものから大学生向きのものまで)
  5 ) 英々辞典と英和辞典の比較

フレッシュマン・イングリッシュUで学習する事項
 1. 英語と日本語の音の違い
  1 ) 発音記号の理解
  2 ) 母音:長母音、 短母音、 二重母音など
  3 ) 子音:有声音と無声音、 破裂音、 摩擦音、 歯擦音など
  4 ) 音節構造:開音節と閉音節 (音節)
  5 ) 子音連続
  6 ) リズムの違い:シラブル中心リズムと音節中心リズム
  7 ) イントネーションが示す意味の違い (言葉の強形と弱形)
 2. 英語の音現象の理解
  1 ) リエゾン (eg. Please clean it up quickly.)
  2 ) 音の脱落 (eg. Could you send me some more money?)
  3 ) 音の短縮 (eg. Who's that over there?)
  4 ) 進行同化、 逆行同化、 融合同化 (eg. dogs, have to, meet you)
  5 ) 機能語と内容語 (ストレスを置く言葉と置かない言葉。 弱母音)


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