哲学 (現代人間論) (夜)

単位数学年配当開講形態教員名
21後期福 田 静 夫

テ┃マ「いのち」 と人間

講義のねらい
 現代の哲学の特徴は、 著しく 「いのち」 とその自然的・社会的・文化的環境への関心に集中する傾向にある。 現象学や実存主義が身体論や疾病論を掘り下げ、 分析哲学から生命倫理学や環境倫理学が派生し、 自然史・社会史に重ねて多元的な文化論やコミュニケーション論、 さらにはグローバリズムが史的唯物論と交錯し、 政治哲学では福祉国家論とあわせて、 生命権力論が主題化しているなど、 文部省教科書型の哲学者とその主作品を連想ゲーム的に扱う手法では、 その多様性と現代性にはとても追いつかない状況にある。 こうした思想状況そのものは、 社会福祉に引きつけて言えば、 現代の社会福祉制度が、 国際的にも国内的にも、 いま新しい転換と模索の時代を迎えていることの反映である。
 この講義では、 限られた時間のなかでではあるが、 現代の 「いのち」 が置かれている歴史的・社会的・文化的な状況をできるだけ多面的に解明し、 今必要な人間的な視点を出来るだけ豊かに呈示することにする。
 「いのち」 に対する深くて豊かな哲学的な理解がなければ、 人間のためのまともな 「社会福祉」 を創り出すことは不可能である。

講義のながれ
 1  はじめに 現代哲学と 「いのち」 の人間論の立場
 2  序 章 1  「いのち」 の自然史
 3      2  「いのち」 と環境問題
 4  第一章 1  「いのち」 のなかの 「私」
 5      2  「いのち」 の産みと育ち
 6      3  「いのち」 の南北問題と 「従属人口」
 7  第二章 1  20 世紀:戦争の時代と 「いのち」
 8      2  高度成長下の 「いのち」・格差づけられる 「いのち」
 9      3  「過ぎ去らぬ過去」
10 第三章 1  「ゾーン・ポリティコン」 と 「自然法」
11     2  「レッセ・フェール」・「疎外」・「従属」
12     3  「正義」 論と 「平和学」
13 終 章  「人権」 と 「福祉国家」
 * (このスケジュールは、 具体的な進行のなかで、 若干変更することがあります)

学習上の留意点
 テキストを中心にして、 プリント資料、 ヴィデオ教材で講義の理解に資する。 テキストは、 かならず講義部分を事前に予習しておくこと。 講義を受講者の関心に近づけるために、 質問、 意見、 要望を歓迎し、 感想文を書いてもらう。

成績評価
 講義中に、 随時、 小テスト・感想文を提出してもらうとともに、 期末にはテストをおこなう。 成績は、 感想文の提出度数とその内容、 テストの成績などを総合して判定する。

テキスト福田静夫 『「いのち」 の人間学』 青木書店、 1998 年
講義は、 最初からテキストを前提にしておこなうので、 かならず購入すること。


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