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業

「ふくし」と仕事

さまざまに広がる仕事―。 本学の学びや取り組みが活かされています。

卒業生の声

住み慣れたまちで生きていくために、福祉の基盤を地域につくる。
同じ地域に住む一人の人間として、地域福祉の課題に向き合う。

社会福祉法人 寝屋川市社会福祉協議会 地域福祉課
コミュニティソーシャルワーカー(社会福祉士)

吉田 聡子さん

大阪府生まれ。1991年3月、日本福祉大学社会福祉学部第1部卒業。 大学卒業後、社会福祉法人 寝屋川市社会福祉協議会(以下、寝屋川市社協)に勤務し、現在に至る。ボランティアセンターの講座企画担当などを経て、2007年より総務管理を担当し、法人運営に関わる。2011年からコミュニティソーシャルワーカーとして、地域の人と人とを結び付け、地域を基盤とした支援活動を展開。寝屋川市社協の新しいサービスの検討・実施、公的制度との関係を調整するなど多岐にわたって活動している。寝屋川市社協では、正規職員13名のうち吉田さんを含む7名の同窓生が活躍中。

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テレビドラマや特集で取り上げられるなど、コミュニティソーシャルワーカー(CSW)の活躍が期待されています。CSWの役割と仕事内容を教えてください。

 行政は様々な福祉サービスを行っていますが、今ある社会福祉制度だけでは対応が困難な人たちや、支援のネット(編み目)にひっかからない人たちが一定数存在します。そうした制度の狭間にいる人たちの問題を地域住民(=民)の力を引き出しながら公民協働で解決していきます。行政と地域との間を調整し、ベクトルを課題解決に向けていくのがCSWの役割です
 具体的には、ゴミ屋敷、認知症による徘徊、子育て、ひきこもりの相談など多岐にわたる課題に対して、民生委員や自治会役員、ボランティアなどを中心に地域の人たちを巻き込みながら情報を共有し、行政サービスや地域援助のしくみなど活用しながら、解決に向けた支援ができないか、検討・調整しています。

 寝屋川市は大阪府のなかでも生活保護受給率が高くなっています。最近では、発達障害やコミュニケーション障害が背景となって失業し、その後ひきこもりになってしまうケースが30代から40代の働き盛りでよく見受けられます。それに伴う生活費の相談も増加の一途をたどっています。また、人口24万人の26%、4人に1人が65歳以上の高齢者です。寝屋川市社協では65歳以上のひとり暮らし高齢者調査を毎年実施していますが、今年の調査では400人を超えるペースで増加しており、急速な高齢化社会を実感せずにはいられません。

寝屋川市社協は市立総合センター1階に
事務所を構える

どのような部分に仕事のやりがいを感じますか。

 多くの課題を抱えていますが、地域住民の力を引き出し、問題解決につなげられたときにやりがいを感じます。週に一度、福祉に限らず困りごとを、気軽に立ち寄り相談できる場づくりをしています。雑談を交えながら話ができるアットホームな雰囲気を心掛け、地域の人たちが抱えている問題や意見を聞き出していきます。
 しかし、地域のなかの問題が明らかになっても、法律や制度などの具体的な仕組みが整っていないことも少なくありません。これらの課題に向き合い、地域の皆さんの声をまとめ、行政を巻き込みながら積極的に働きかけを行っていくのが私たちの使命です。
 全国初となる試み「緊急時安否確認(かぎ預かり)事業」も地域の人たちの声から始まりました。これは、寝屋川市社協が橋渡し役となって65歳以上のひとり暮らし高齢者の自宅の鍵を24時間職員がいる福祉施設が預かり、緊急時には福祉施設職員や民生委員などが駆けつけ安否確認をするという取り組みです。
 ひとり暮らしの高齢者が自宅で倒れていても、玄関が施錠されていては安否の確認や救急搬送がままならないといった、鍵の施錠に関する問題提起が地域の人たちや福祉施設職員の方々から寄せられたことがきっかけです。
 最近では新聞などに取り上げられる機会も増え、全国から問い合わせがあります。このような事業が、成功事例として全国に発信・展開されていけばいいなと思っています。寝屋川市だからできたのではなく、どの市町村でもできることだと思います。この事業に限らず、地域社会の抱える問題を解決する新たな事業を考えるきっかけになってもらえれば嬉しいです。

今後の目標を教えてください。

 高齢化に伴い、老老介護、買い物難民、孤立死など対応するべき案件が間違いなく増えていきます。同じ地域に暮らす人たちが抱える悩みや問題を、他人事ではなく自分事として捉えてもらい、各機関と連携しながら地域単位で協力者を増やしていく必要があります。寝屋川市社協では地域の相談員の養成も行っていますので、地域の方々のご理解・ご協力を得られるようなPR活動にも取り組んでいきたいです。
 また、時代背景を読み取り、新しい問題に対する情報感度を高くすることが求められています。新しい法律や制度を把握するだけでなく、社協が展開している既存の事業についても、その事業が設けられた時代背景や経緯、組織体制や自治体との関係を紐解き、もう一度事業を顧みることで、より良い取り組みを考えていきたいと思います。

(2014年発行 日本福祉大学同窓会会報113号より転載)

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