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「ふくし」を思う

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講演録

「障害者制度改革の現状と課題―日本福祉大学に求められる役割―」柏倉秀克氏(日本福祉大学 障害学生支援センター長、社会福祉学部教授)

講演録 「障害者制度改革の現状と課題―日本福祉大学に求められる役割―」

  • 講師:
    柏倉 秀克 教授(日本福祉大学 障害学生支援センター長、社会福祉学部教授)
  • 日時:
    2014年7月26日(土)

※所属や肩書は講演当時のものです。

障害者制度改革の背景

 ここ数年、国を挙げた障害者制度の見直しが行われてきました。具体的には障がい者制度改革推進会議の本部が設置された2009年以降、障害者権利条約を批准した2014年までの5年間で、改革の背景には、障害者権利条約批准の前に国内でしっかりとした体制をつくろうという国際的な要因と、国内的な要因としては障害者自立支援法の違憲訴訟と、政権交代に絡んで新しい障害者に関する法制度をつくっていこうという流れがありました。それに政権を取った民主党が乗って、障害者制度改革が大きく動いたといわれています。

 その後、障がい者制度改革推進会議は障害者政策委員会と名称を変え、総合福祉部会と差別禁止部会の二つの部会がつくられました。総合福祉部会は総合福祉法を、差別禁止部会は差別化解消法をつくりましたが、特徴的なのはそのメンバーです。推進会議は30人中16人、総合福祉部会は24人中14人、差別禁止部会は10人中5人が障害のある人で、いずれもメンバーの半数以上を占めています。今までは健常者が障害者のことも決めるのが通例でしたが、この委員会では当事者である障害者自身が審査をし、障害者のことは障害者が決めています。これは非常に注目すべきことです。

 参加者主導の運営も部会の特徴です。通常は行政主導の運営を行う場合が多く、行政の役人がスケジュールを決めてどんどん引っ張っていきます。そのような会議では、役所が決めたスケジュールで議論が進み、議論の方向性も示されているので、まだまだ議論すべき課題があっても打ち切ってしまい、何となくまとめが出てきてしまいます。そのようなこれまでの常識を覆して、参加者主導の運営が行われました。

 参加確保のための配慮もなされていました。参加者には「もうすこし ゆっくり わかりやすく」「ストップしてください」というカードが配られ、発達障害や知的障害の方が議論についていけなくなったら会議を中断できるようになっています。このカードを用いて、会議は長時間にわたって非常に丁寧に行われました。

 障害者制度改革では、日本では障害者制度を今後どのように変えていくのかというスケジュールが、工程表として作成されました。この工程表は2010年に閣議で決定され、障害者基本法の改正と、障害者総合支援法および障害者差別解消法の制定、さらに分野別課題として労働および雇用の問題や教育、医療の問題などが挙げられました。その他の分野でも多くの課題がありますが、特に教育については、障害のある子どもたちは特別支援学校に行くのが現状ですが、2014年に批准した障害者権利条約では、障害のある子もない子も同じ場で教育をすることが原則とされています。

 改革の流れは、まず推進会議が発足した翌年の2011年に障害者基本法の改正が行われ、翌2012年には障害者自立支援法を廃案にして、新しく障害者総合支援法を制定しました。この法律についてはいろいろな課題が指摘されていますが、問題点が多かった自立支援法を廃案にしたという点と、新しい法律はどんどん見直すことが盛り込まれた点は注目に値します。そして、2013年に障害者差別解消法が制定されて、2014年には障害者権利条約が批准されました。ここまでの一連の流れが、日本の障害者制度改革における大きな変化の第1段階と言えます。

※この講演録は、学校法人日本福祉大学学園広報室が講演内容をもとに、要約、加筆・訂正のうえ、掲載しています。 このサイトに掲載のイラスト・写真・文章の無断転載を禁じます。

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