介護保険制度のもと、地域包括ケアシステムの構築がいわれていますが、介護が必要な高齢者の世帯には、閉じこもりの息子さんがいたり、障がいをお持ちのお孫さんがおられることも少なくありません。そのため、高齢者だけでなく、あらゆる世代の人々に対するケアマネジメントが必要になってきています。さらには、利用するサービスについても、高齢や障害で分かれていますが、できる限り多世代が共同して利用できることが求められています。また、地域包括ケアシステムでは、ケアマネジャーには個々の利用者への支援に加えて、「まちづくり」に貢献することが求められています。そこでは、地域の人々が主体的にまちづくりに参画するよう支援していく能力が求められています。
 以上のような考え方を、厚生労働省は、2015年9月に『新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン』、さらに2016年7月には『「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部』の立ち上げでもって、提示しました。
 高齢者だけでなく、患者、障害者、生活困窮者等に対して相談支援を行っている専門家がこうした方向について学ぶことで、地域包括ケアシステムをさらに深化させていくケアマネジメントについて学びたいと思います。

日時 : 2017年225日(土)13:00〜17:00 / 26日(日)9:30〜17:00
場所 : 日本福祉大学 名古屋キャンパス 北館
主催 : 日本福祉大学福祉社会開発研究所
後援 : 日本福祉大学同窓会

※両日とも申込を締め切りました。

【2月25日(土)】 13:00〜17:00

講演

『我が事・丸ごと』
 地域共生社会の構想とケアマネジメントの課題

    吉田 一生 厚生労働省大臣秘書官
  座長: 白澤 政和 日本福祉大学客員教授・桜美林大学大学院教授
日本ケアマネジメント学会理事長
日本福祉大学ケアマネ技術研究会顧問

吉田一生氏は現在厚生労働大臣秘書官をされており、厚生労働大臣をトップにする『「我が事・丸ごと」地域共生社会本部』の立ち上げに大きくかかわられてきました。そこで講演では、「我が事・丸ごと」地域共生社会の構想についてお話を頂き、それに対してケアマネジャーは何ができるのかについて語っていただきます。さらに、後半は白澤政和座長との対談を行い、ケアマネジャー等の相談職に本来求められている機能について深めていきたいと思います。

シンポジウム

多様な課題を有する家族への支援と地域づくり
 〜ケアマネジメントの連携をめざして〜

シンポジスト:    
 障害分野 鈴木 康仁 蒲郡市障がい者支援センター長
   高齢分野 高砂 裕子 一般社団法人南区医師会[横浜市]
南区医師会訪問看護ステーション管理者
南区在宅医療相談室 相談員
   生活困窮分野 前山 憲一 半田市社会福祉協議会ふくし支援グループ長
  コーディネーター: 高室 成幸 ケアタウン総合研究所所長

ここ10数年、地域の問題は複雑化し、多様な課題を抱える家族への支援が急務となっています。しかしすべての家族がなんらかの深刻な問題を抱えているわけではありません。家族のなかに障がい児や障がい者、重度の要介護高齢者(認知症含む)が同居している、離婚・失職等により実家に戻ってきた子どもや引きこもりの孫らが暮らしているという世帯では「なんらかの問題」を抱えています。そこに生活困窮という経済的脅威や家族・親族間のトラブル、重篤を招く病疾患やケガ、地域からの孤立・断絶などが起こることにより、問題は複雑化・重層化し、深刻な事態・事件にいたることも起こっています。
本シンポジウムでは、障害・高齢・生活困窮支援のケアマネジメントの視点から現代の家族が抱える問題と「今そこにある危機」を浮き彫りにし、地域共生社会の視点からケアマネジメント支援のあり方と連携のあり方、さらに地域づくりをめざすうえでの課題を話し合います。

【2月26日(日)】 分科会 9:30〜15:20

A分科会
医療領域ケアマネジメント分科会
 

ケアマネジャーと医療連携を促進するヒントを考える

  黒木 信之 名古屋市医師会 在宅医療・介護連携室スーパーバイザー/
医療福祉士専門官
高砂 裕子 一般社団法人南区医師会[横浜市]
南区医師会訪問看護ステーション管理者
南区在宅医療相談室 相談員

超高齢社会においては、「治す医療」から「治し・支える医療」に大きく舵がきられています。また、高齢者らの住まいも、自宅以外に住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の他、小規模多機能型居宅介護も含め多様です。在宅の形は変容しつつあり、人生最終段階の医療や介護のあり方が問われています。「治し・支える医療」では医療と介護のつなぎの役割をケアマネジャーが担うことになります。
そこで、本分科会では医療者側からの「仕掛け」と言える「在宅医療連携拠点推進事業」を行っている名古屋市と横浜市、それぞれの活動についてご報告いただきます。これを受けて、午後からはグループワークによりケアマネジャーとしてどのようにしたら、医療とのつなぎの役割を果たすことができるのか。または、「何か」があれば、もっと医療とつながるのかという議論まで皆さんと一緒に深めたいと思います。

B分科会
高齢者領域ケアマネジメント分科会
 

半田市地域包括ケアモデル(認知症モデル)の
  取組みから考える支援プロセス
   − 一人の課題は地域の課題 −

    澤田  道 半田市包括支援センター長

半田市は平成26年度から、行政、社会福祉協議会、医師会、歯科医師会、病院、訪問看護、ケアマネジャー、介護施設、包括支援センター等が丸ごと関わり、『つながること・ネットワーク』の構築をめざしています。
地域包括ケアモデル事業(認知症対応)の取組みから、認知症ケアパス、認知症初期集中支援チーム、リビングウイル、身元保証ガイドラインなど基本方針の検討、現状分析、多職種連携等についてご紹介します。
そして、ケアマネジャーが解決できる体制を目標とし、「一人の課題は地域の課題」ととらえ課題抽出と「解決できない理由」の追及、「目指す姿」の設定、対応策と具体策の支援プロセスを学んでいきます。

C分科会
障害者領域ケアマネジメント分科会
 

障がいと高齢のケアマネジメントのシームレスな連携のために

    鈴木 智敦 名古屋市リハビリテーションセンター自立支援部部長
    鈴木 康仁 蒲郡市障がい者支援センター長

地域で世帯の支援に関わる上で高齢者への支援と障がい者への支援を切り離して考えることができなくなっています。障がい者制度の対象であり、介護保険制度の対象でもある2号利用者は、制度の縦割りの中、ケアマネジメントの狭間で不利益を受ける場面も見受けられます。複雑なニーズを持ち、総合的な支援を必要とする利用者に対し、障がい者の相談支援専門員や高齢者(介護保険)のケアマネジャーが連携協働することでシームレスな支援が実現してくのではないでしょうか。特にケアマネジャーにとっては、65歳問題を地域でどうつないでいくかという課題も生まれています。
本分科会では、厚生労働省の障害相談支援専門官のご経験のある鈴木智敦氏にお話しいただいた上で、蒲郡市の支援事例を基に、制度と立場を越えた地域包括ケアの実現である「複合型ケアマネジメント」のあり方を考えます。

D分科会
生活困窮領域ケアマネジメント分科会
 

生活困窮者支援に向けたケアマネジメントの可能性

    平坂 義則 名古屋市社会福祉協議会地域福祉部 主幹
名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンター金山 センター長

生活困窮者自立支援制度がスタートして1年以上が経過しました。
これは、生活に困窮する可能性のある世帯を対象に、孤立化・孤独化を防ぐもので、例えば要介護者の同居家族に対する就労支援等、ケアマネジャーが連携すべき機関の1つとして知っておくことも重要です。
また、当該生活困窮者支援における実践の現場では、多くの課題を残しつつ、早期の相談支援について、その有効性は多くが認識するところとなっています。
一方で、家族機能が一層低下する中、多くの課題を抱える家庭や制度の狭間にある方等、多職種・多機関の連携が必要な状況は、今後、一層増加していく傾向にあり、故に、生活困窮者支援を担う相談員の技術向上も求められています。
おそらく、ケアマネジャーも生活困窮者支援の相談員も、最終的には、制度の狭間を埋める「社会資源開発」にまで視点を広げた実践が求められてくるでしょう。
本分科会では、名古屋市社会福祉協議会・名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンター金山の実践事例から、新たに始まった本制度におけるケアマネジメントの展開を考えたいと思います。

【2月26日(日)】 まとめ 15:30〜17:00

まとめ
  司会: 白澤 政和 日本福祉大学客員教授・桜美林大学大学院教授
日本ケアマネジメント学会理事長
日本福祉大学ケアマネ技術研究会顧問

各分科会終了後に全体会を実施し、各分科会の成果を確認します。

参加費

2日間通し…5,000円 / 1日…3,000円
*本学院生・学生は3,000円(一日のみでも)

お支払い済みの参加費は、開催中止の場合以外は払い戻しいたしません。

申し込み方法

※両日とも申込を締め切りました。

受付期限:2017年2月15日(水)

お知らせ

お問い合わせ 平日10時〜17時

日本福祉大学研究課
(ケアマネジメント研究セミナー事務局)

〒470‐3295 愛知県知多郡美浜町奥田
TEL:090-4855-3590/FAX:0569-87-3973
E-mail:care_seminar@ml.n-fukushi.ac.jp

会場案内図

日本福祉大学 名古屋キャンパス
名古屋市中区千代田5-22-35
※会場に駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください。

名古屋キャンパスマップ
  • JR「名古屋」駅より中央本線「中津川」行きに乗車「鶴舞」駅下車、徒歩2分
  • 地下鉄「名古屋」駅より名古屋市営地下鉄東山線「伏見」駅乗換、名古屋市営地下鉄鶴舞線「鶴舞」駅下車、徒歩2分

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