第14回日本福祉大学夏季大学院公開ゼミナール
社会的孤立をめぐる地域福祉研究と
政策化の方法を考える
-研究成果をどう編集・還元するのか

 社会的孤立は、高齢者に限定されたものではありません。多様な世代に共通し、生活困窮者支援をはじめ、それぞれの福祉分野での取組が新たに期待されています。対象横断的な支援の必要性の認識から、地域福祉の推進・地域共生社会の実現にむけての政策課題ともいえます。地域福祉の多様な研究課題にあって、社会的孤立はそれらを関連づけするキーワードといえます。そのような認識から、高齢者の社会的孤立をはじめ、家族介護者の孤立、判断能力の乏しい人の孤立・排除、さらに若者の孤立・生きづらさといった多面的な問題領域での研究の成果、その還元、さらなる研究課題を関連づけながら整理します。
 第14回夏季大学院公開ゼミナールでは、これまでの企画・成果についても振り返ります。

受付終了いたしました

日時
2018年
721日(土)・22日(日)
会場
日本福祉大学
名古屋キャンパス北館/南館

1日目 7月21日(土) 
10:20~17:00(9:30受付開始)

シンポジウム 10:30~12:30

「社会的孤立への多様なアプローチを探る」

シンポジスト 斉藤 雅茂 日本福祉大学社会福祉学部准教授
シンポジスト 湯原 悦子 日本福祉大学社会福祉学部教授
コーディネーター 小林 良二 東洋大学福祉社会開発研究センター客員研究員・東京都立大学名誉教授

 高齢者自身の社会的孤立あるいは家族介護者の孤立の問題と、それらへの予防策の研究が勢力的に取り組まれ、その成果が出版されています。2名のシンポジストによる2つの文献、斉藤雅茂(2018)『高齢者の社会的孤立と地域福祉-計量的アプローチによる測定・評価・予防策』(明石書店)および湯原悦子(2017)『介護殺人の予防-介護者支援の視点から』(クレス出版)、を素材にしながら、社会的孤立をめぐる研究課題とその成果の編集方法、さらには社会への還元のあり方について論議します。コーディネーターに小林良二先生をお迎えしています。

基調講演 13:30~15:30

「地域福祉の戦略的・実践的研究の方法
-社会的孤立を視野に」

講師 平野 隆之 日本福祉大学福祉社会開発研究所長・社会福祉学部教授
コメンテーター 小林 良二 東洋大学福祉社会開発研究センター客員研究員・東京都立大学名誉教授

 社会的孤立の問題は、貧困や生活困窮などの問題への波及を高める要因であるとともに、その解決にむけて、社会的な包摂を含め社会的孤立の克服は、地域福祉政策の重要な課題です。地域福祉政策の構築にむけ、どのような実践的で戦略的な研究を進めるのか、これまで取り組んだ5つの研究を素材に、その方法を解説します。今回提示する社会的孤立に関連した地域福祉の戦略的な政策研究領域は、①地域福祉拠点、②共生型ケア、③生活困窮者自立支援、④地域支援ワーカーの配置、⑤権利擁護支援、となります。

パネルディスカッション 15:45~17:00

「夏季大学院公開ゼミナール企画と成果の振り返り」

パネラー 穂坂 光彦 日本福祉大学 アジア福祉社会開発研究センター研究フェロー
パネラー 田中 千枝子 日本福祉大学社会福祉学部教授、スーパービジョン研究センター長
パネラー 秋田 優 前日本福祉大学福祉社会開発研究所担当職員
コーディネーター 平野 隆之 日本福祉大学福祉社会開発研究所長・社会福祉学部教授

 「日本福祉大学夏季大学院公開ゼミナール」は、「社会福祉公開夏季大学」が30回を迎えた節目にあたる2005年7月に内容を一新してスタートしました。第1回のテーマは「分析的な実践、実践的な研究をどう作り出すか」でした。それから、様々なテーマを企画するなかで、第14回を迎える今回は、企画に参加してきた4名の教員・職員により、これまでの企画と成果を振り返ります。

2日目 7月22日(日) 
9:30~16:30(9:00受付開始)

分科会 9:30~15:30

A分科会

A分科会は定員に達しました

「量的研究(調査)法;解析結果を“読む”・“魅せる”」

  斉藤 雅茂 日本福祉大学社会福祉学部准教授

 「学術論文を読んでみたけど数値の意味が分からない」「論文の結果(主要な知見)を他人に伝えたいけど、どう魅せればよいのかが分からない」といった経験はないでしょうか。本分科会では、実際の学術論文を扱いながら「統計学的に有意である」という意味から、近年よく用いられる主要な多変量解析の読み方(読むべきポイント)までをお伝えします。そのうえで、参加者各自の関心領域の論文を収集・読解し、主要な結果をスライドにまとめる(魅せる・伝える)ということを演習形式で行っていきたいと考えています。統計解析が読めると読めないとでは研究活動の「面白さ」が格段に変わると実感しています。現場で何らかのニーズ調査や実態調査などを予定されている方、データの読み方で壁を感じておられる方、学術論文というものにご関心がある方、今後学会報告や学術論文の投稿を予定されている方など多くのご参加をお待ちしております。
 なお、パソコンの台数が限られておりますので、パワーポイントやエクセルがインストールされているノートパソコンをお持ちの方はぜひご持参下さい。

B分科会

「質的研究(調査)法への誘い
 -グラウンデッド・セオリー・アプローチの活用に向けて」

  田中 千枝子 日本福祉大学社会福祉学部教授、スーパービジョン研究センター長
  坂野 剛崇 関西国際大学人間科学部・大学院人間行動学研究科 教授
  鈴木 俊文 静岡県立大学短期大学部社会福祉学科 准教授
  山内 哲也 社会福祉法人武蔵野会 本部次長・障害者支援施設「リアン文京」総括施設長

 本分科会では、質的研究(調査)法の概論の講義と導入の演習を行います。演習では、質的研究法の一つであるグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)を中心に学びます。
 質的研究(調査)法に関する研修は、「質的研究事始め」、「夏季大学院B分科会」、「継続研修」という3つを通して、系統的に学べるようにしています。
 本分科会は、「質的研究事始め」(6月3日名古屋キャンパス)に続くものです。質的研究(調査)法の基本を学修した上で、具体的な分析方法を学ぶということに進んでいきます。
 「事始め」に参加された皆さんにとっても、ここまでの学習をさらに発展させる機会となるでしょう。そして10月には自分の研究に実際に活用できることを目指した、継続研修会を開催します(以下参照)。継続研修会では、具体的に教材事例(データ)を用いた演習によって、GTAの手法を修得してもらえるようにする予定です。「事始め」や「本分科会」に参加の方も、そうでない方も、奮って参加していただければと思っています。
 なお、テキストは、『社会福祉・介護福祉の質的研究法-実践者のための現場研究』(田中千枝子、日本福祉大学質的研究会編、中央法規)です。参加者は、事前に精読願います。

継続研修会: 「質的研究研修会 第8回:『継続研修:GTAの具体的分析および展開』」
10月13 日(土)14日(日)/於:日本福祉大学名古屋キャンパス

C分科会

「生きづらい若者のための地域づくり
 -K2インターナショナルの実践から」

  三浦 真弓 NPO法人ヒューマンフェローシップ・就労継続支援B型事業所
サービス管理責任者
  若者当事者3名  
  平野 隆之 日本福祉大学福祉社会開発研究所長・社会福祉学部教授

 K2インターナショナルグループは、1989年設立の「不登校やひきこもりなど、社会に馴染みにくい若者を支援する民間の若者支援団体」を出発に、NPO法人を含む、若者の雇用を開発する複数の社会的企業によって構成されています。若者への効果的な支援として、通所型プログラムと合宿型プログラムの多面的な支援を用意し、就労や自立への多段階的なメニューも確保されています。地域福祉・地域づくりとしては、グループの事務局のある横浜市磯子区根岸での地域に根差した働く場の開発やコミュニティづくりも取り組まれています。それらを担う若者当事者が、自らの経験と実践を語ります。

D分科会

『権利擁護がわかる意思決定支援:法と福祉の協働』は、どう編集されたのか

  上田 晴男 日本福祉大学権利擁護研究センター研究員
  奥田 佑子 日本福祉大学地域ケア研究推進センター研究員
  今井 友乃 NPO法人 知多地域成年後見センター事務局長
  住田 敦子 NPO法人 尾張東部成年後見センター長

 成年後見利用促進制度に必要な「意思決定支援」は、どう実現されるのか。日本福祉大学権利擁護研究センターが、3つの成年後見センターの試行錯誤の実践を事例として、3年をかけて編集した『権利擁護がわかる意思決定支援:法と福祉の協働』(ミネルヴァ書房)をもとに、その方法を解説します。編集の方法は、「良かれ」と思って支援する専門職に、「支援者の都合」となっていないか、支援者が考える「最善の利益」となっているのではないか、と投げかけています。
 なお、同書をお持ちでない方には、当日会場にて販売します。

分科会まとめ 15:45~16:30

 分科会終了後、各分科会の成果を確認します。

参加申し込み方法

参加料金

4,500 円(2 日間:1 日のみ3,000 円)
*本学院生・学生2,500 円(1 日のみでも)

※参加料金は事前にお振込みいただきます。

※お支払い済みの参加費については、開催中止の場合を除き、払い戻しはいたしません。

申し込み方法

以下の申し込みフォームからお申込みください。

受付終了いたしました

申し込み締切

2018年7月13日(金)

現在、定員まで若干の余裕があります(A分科会を除く)。
定員に達し次第、申し込みを締め切りますので、お早めにお申し込みください。

  • 申し込みフォームから申込完了後、入力いただいたアドレス宛にセミナー受付メールが届きます。
  • 参加料金は、セミナー受付メールに記載の口座に、7月13日(金)までにお振込みください。

お願い

当日は、セミナー受付メールのコピーと振込控えをご持参くださいますようお願いいたします。

問い合わせ先:平日10:00 ~ 17:00

日本福祉大学研究課
(夏季大学院公開ゼミナール事務局)

TEL:090-4855-3590
Email: kakidai_entry@ml.n-fukushi.ac.jp

会場のご案内

日本福祉大学名古屋キャンパス

〒460-0012
愛知県名古屋市中区千代田5-22-35

※会場に駐車場はございません。公共交通機関をご利用ください。

・JR「名古屋」駅より中央本線「中津川」行きに乗車「鶴舞」駅下車、徒歩2分。

・地下鉄「名古屋」駅より、東山線「伏見」駅乗り換え、鶴舞線「鶴舞」駅下車、徒歩2分。