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第4回日本福祉大学夏季大学院公開ゼミナール〈テーマ〉「福祉研究における仮説力・実証力を磨く」第4回を迎えた「夏季大学院ゼミナール」ては、福祉研究における仮説力・実証力をテーマにして、1日目に講演会・シンポジウムと2日目に分科会を実施します。福祉研究における仮説構築の考え方とその検証・実証のあリ方を磨くことを通して、福祉現場における研究方法を豊かにしていくことを学びます。 |
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日程 : 2008年7月19日(土)・20日(日)
会場 : 日本福祉大学名古屋キャンパス北館8階
【7月19日(土)】
「福祉研究における仮説の構築と検証」
稲葉 昭英 首都大学東京都市教養学部准教授
「研究実践を通じてみる仮説力・実証力」
近藤 克則 日本福祉大学社会福祉学部教授 稲葉 昭英 首都大学東京都市教養学部准教授
「COEプログラムにおける仮説力・実証力」
平野 隆之 日本福祉大学社会福祉学部教授 穂坂
光彦 日本福祉大学福祉経営学部教授
近藤 克則 日本福祉大学社会福祉学部教授
【7月20日(日〕】
A「現場研究と質的調査法」
田中 千枝子 日本福祉大学社会福祉学部教授
瀧澤 学 神奈川リハピリテーション病院 医療福祉総合相談室 MSW
B「量的調査法への誘い―実際の分析事例を用いながら」
末盛 慶 日本福祉大学社会福祉学部准教授
C「地域ケア会議・自立支援協議会の運営方法」
上原 久 聖隷福祉事業団地域生活支援センター ナルド センター長
工藤 一恵 岩手県保健福祉部障害保健福祉課
長坂 宏 新城市障害者相談支援事業所レインボーはうす 所長
佐藤 真澄 日本福祉大学地域ケア研究推進センター主任研究員
平野 隆之 日本福祉大学社会福祉学部教授
D「地域福祉計画と小地域福祉活動の戦略」
乾 光哉 伊賀市社会福祉協議会 杉浦 崇臣 高浜市社会福祉協議会
丸茂 丈実 茅野市社会福祉協議会 原田 正樹 日本福祉大学社会福祉学部准教授
E「社会的排除の政策的検討:英国・アジア・日本の文脈から」
木戸 利秋 日本福祉大学社会福祉学部教授
谷口 由希子 日本福祉大学福祉社会開発研究所客員研究所員
全 泓奎 前韓国建設交通部居住福祉企画チーム事務官
「福祉研究における仮説の構築と検証」
講師:稲葉 昭英(首都大学東京都市教養学部准教授)
近年、専門研究者による仮説の構築や理論化を批判し、当事者や非専門家による実践知の重要性を指摘する議論があります。福祉研究にあてはめれば、実践現場の知識の再評価ということになりますが、このことは研究者が行う研究とは何なのか、という問いを私たちに突きつけます。
私の回答は、単純です。研究者のすべきことはこれまでも、これからも、科学的な仮説を構築し、検証し、蓄積していくことでしかありえない。実践知は仮説を生み出す素材として重要ですが、それ自体が正しい保証はどこにもない。問題は、研究者が科学的な方法を適切に使用し得ていないことにあるのではないでしょうか。あえて科学的な方法にこだわった上で、仮説の構築と検証という手続きを、あらためて考えてみたいと思います。
「研究実践を通じてみる仮説力・実証力」
講師 : 近藤 克則 (日本福祉大学社会福祉学部教授) ・ 稲葉 昭英 (首都大学東京都市教養学部准教授)
何か問題が起きている時に、その原因や要因の絡み合いを「なぜ○○なのか」と分析したり、物事の進め方を「きっと○○すればうまくいく」などと考える力が仮説力です。研究者だけでなく、創造的な仕事をする人にも、仮説力は必要です。そして、注意深い観察や調査、行動を起こして反応をみることを通じて、仮説が真実に近いものか、どの部分がどのように間違っているのかを検証するのが検証力です。仮説力と検証力とはどのようなものか、どのような要素からなるのか、それらをどのように組み立てているのか、仮説を設定して検証する研究実践を例に考えます。
「COEプログラムにおける仮説力・実証力」
講師 : 平野 隆之 (日本福祉大学社会福祉学部教授) ・ 穂坂 光彦 (日本福祉大学福祉経営学部教授)
コーディネーター : 近藤 克則 (日本福祉大学社会福祉学部教授)
5年間の日本福祉大学21世紀COEプログラムにも、大きな仮説がありました。それは、政策環境としての地域に着目し、国際開発と高齢者ケアや地域福祉の分野で蓄積されてきたプロセス重視とアウトカム重視の研究手法を融合すれば、新しい福祉社会開発学を切り開くことができる、というものでした。新しい分野を創出する壮大な仮説は、どのように生まれたのか、そして、それはどの程度実証されたのか、その到達点と残されている課題は?
研究プロジェクトの構想を練り、推進役でもあった2人が、そのプロセスを振り返り仮説力と実証力について語ります。
A「現場研究と質的調査法」
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講師 : | 田中 千枝子 | (日本福祉大学社会福祉学部教授) |
瀧澤 学 | (神奈川リハビリテーション病院 医療福祉総合相談室 MSW) |
現場における身近な憤りや疑問、分かりたい熱望を形にするために、質的研究法は様々な可能性を与えてくれます。小さな問題意識を独自の研究・調査に展開させていくためには、一定の手順と論理的思考を学ぶことが必要です。その過程を実際の事例に沿って解説し、自分自身の研究・調査に生かせるように演習形式でともに検討していきます。
B 「量的調査法への誘い−実際の分析事例を用いながら」
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講師 : | 末盛 慶 | (日本福祉大学社会福祉学部准教授) |
本分科会では量的調査法の内容を具体的な分析事例を用いながら学んでいきます。具体的には、@研究における調査方法の位置づけ、A量的調査法の特徴、B量的調査法に適した研究デザイン、C分析手法などに関する講義を行う予定です。量的調査法の概要を知ることに加え、われわれが知を認識するプロセスの中で量的調査法がもっている意味や射程についても考えていきたいと思います。
C 「地域ケア会議・自立支援協議会の運営方法」
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講師 : | 上原 久 | (聖隷福祉事業団地域生活支援センターナルド センター長) |
工藤 一恵 | (岩手県保健福祉部障害保健福祉課) | ||
長坂 宏 | (新城市障害者相談支援事業所レインボーはうす 所長) | ||
佐藤 真澄 | (日本福祉大学地域ケア研究推進センター主任研究員) | ||
コーディネーター : | 平野 隆之 | (日本福祉大学社会福祉学部教授) |
2000年代後半に入り、2つの法制度によって地域福祉推進の政策は一気に加速しています。1つは2005年の介護保険法の改正、もう1つは2005年成立の障害者自立支援法です。両者はともに、市町村の機能強化を含め、「地域」をキーワードとして新たなサービスの仕組みを導入するとともに、個別支援の場面における関係者の気づきや発見を、地域の課題として「話し合う」(協議)ことで共有し、解決を図ろうとする仕組みが積極的に採用されました。C分科会では、「地域ケア会議」、「自立支援協議会」という2つの協議を取り上げ、その仮説構築と実践上の課題について、共通点を探りながら検討します。
D「地域福祉計画と小地域福祉活動の戦略」
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講師 : | 乾 光哉 | (伊賀市社会福祉協議会) |
杉浦 崇臣 | (高浜市社会福祉協議会) | ||
丸茂 丈実 | (茅野市社会福祉協議会) | ||
コーディネーター : | 原田 正樹 | (日本福祉大学社会福祉学部准教授) |
「これからの地域福祉のあり方研究会報告」では、地域を圏域として構造的にとらえ、そのなかの小地域活動がひとつの重要な舞台として位置づけられています。身近な生活圏でどのような活動を展開していくかは、地域福祉の推進にとって不可欠な戦略となっています。伊賀市、高浜市、茅野市はいずれも地域福祉計画にもとづいて先駆的な取組をしているところです。それぞれの取組に学びながら、地域内分権を背景にした住民自治協議会と地区社協のあり方など今日的な共通課題を検討することで、福祉コミュニティの今日的機能と組織化のあり方について協議を試みます。
E 「社会的排除の政策的検討:英国・アジア・日本の文脈から」
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講師 : | 木戸 利秋 | (日本福祉大学社会福祉学部教授) |
谷口 由希子 | (日本福祉大学福祉社会開発研究所客員研究員) | ||
全 泓奎 | (前韓国建設交通部居住福祉企画チーム事務官) |
格差社会の現実が注目されるなかで、その克服、あるいは包摂的アプローチをどう構築していくのかが問われています。この分科会では社会的排除への対策を10年あまりにわたって実施してきた英国の経験を批判的に吟味しつつ、アジア・日本の事例検討を行います。具体的には英国では子どもの貧困と児童養護、韓国の都市貧困地域の居住政策問題、日本のホームレス問題に着目して、それぞれ追求されている当事者参加型の方法を検討します。
《参加料金》 3,000円(1日のみでも)*本学院生・学生1,OOO円(1日のみでも)
《申し込み期間》 6月16日から7月17日(但し、定員になリ次第締め切ります)
《申し込み方法》
申込は終了しました。
《問い合わせ先:平日10:00〜17:00》
日本福祉大学研究課 担当:渡辺・丹羽
〒470-3295 愛知県知多郡美浜町奥田
TEL:0569-87-2324
FAX:0569-87-3973
E-mail:kaki-inzemi@ml.n-fukushi.ac.jp
《所在地》名古屋市中区千代田5-22-35
●JR「名古屋」駅よリ中央本線「中津川」行きに乗車「鶴舞」駅下車、徒歩2分。
●地下鉄「名古屋」駅よリ、東山線「伏見」駅乗リ換え、鶴舞線「鶴舞」駅下車、徒歩2分。
日本福祉大学 名古屋キャンパス北館8階
《主催》:日本福祉大学福祉社会開発研究所
《後援》日本福祉大学同窓会