Viewpoint 7

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 東アジアは私のフィールドである.西太平洋と日本列島,そして,ユーラシア大陸東部が対象である.文献の上で知っていた中国大陸に実際に足を踏み入れたのは,1983年のことであった.北京政府がようやく開放政策をとって,国際的な研究交流が許されるようになったからである.上海に滞在,そして,鉄路で南京へ.はじめての中国の印象は強烈であった.その後,実地踏査や国際会議のために何度もこの国の各地を訪れた.
今年,久し振りに,ゆっくりと上海と南京の市街地を散策した.新しく造られたビルや公園,あるいは歩道の一部を見る限り,景観はモントリオールやダラスの街を思い出させるほどに近代的なものに変わっていた.その変化は驚くべきものであった.
あちらの学生が私に問いかけた.この中国の発展をどう思うかと.17年前,中国の友人が日本の都市や国土開発に大きな関心を示していたが,彼に私は次のように言ったことがある.“近年の日本の急速な開発は一部に著しい環境破壊を伴っている.もっとじっくり考え,ゆっくりやった方が良いと思わないか. そのことを思い出して,私は若い学生に答えた.“君たちのこの国が日本のようにならないことを祈る.”驚くべき発展を見せる中国,新しい世紀に,このお隣の人々が我々の友人となって,ともに地球規模の環境問題を考える仲間になってほしいと思う. (M)