2.現地調査

 枯死木の観察 小牧山は愛知県小牧市の市役所近くにあり,杉並木のスギは北側斜面に1974 年に213本植栽され,1997 年時点で199 本が残っていた.小牧山は標高85.9m,総面積約21ha であり,頂上には小牧市歴史館(小牧山城)があり,その付近は小さな照葉樹林となっている.1997 年5 月下旬に,そのうちの40 本の葉が茶色に変色していることが観察された.これらの木の幹を観察し,さらに40本すべてを6 月初旬に伐って昆虫の加害状況を調べてみた.その結果,それらの幹には“ハチカミ”と呼ばれる症状が認められた(図2).この症状はスギカミキリ(図3)というカミキリムシによって引き起こされることが分かっている.また,スギカミキリの加害によってスギが枯死することも分かっている.したがって,小牧山においてスギを多数枯死させた“主犯”はスギカミキリであると考えられた.

図2. 被害木の幹に認められた"ハチカミ"症状(樹皮 の内部がスギカミキリ幼虫に食い荒らされて幹が変形している様子).
図3. 小牧山で発見されたスギカミキリ.
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