"Game & Aging" 委託研究レポート

<チャレンジ精神は抜群>

中山隼雄科学技術文化財団委託の 「高齢者がゲーム機器遊びを学習する時の適応性の研究 (Game&Aging)」 (研究代表者:鵜飼教授, 共同研究者:久保田教授, 磯貝教授, 唐沢助教授, 久世助教授, ボバース記念病院作業療法士・鈴木三央氏) は, すでに半田市・亀崎地域総合福祉センター内の高齢者を対象に進められていますが, 去る6月 19 日より, 本学半田キャンパス内でも研究が始まりました.
 この研究は, 被験者である 60 歳以上の高齢者がゲーム機器遊びを楽しみながらどのように学習していくのかを, 様々な運動および心理テストを通じて調べていくものです. 被験者は3群から成り, 第1群が亀崎に集まる 「正常高齢者」, 第2群がボバース病院での 「運動障害のある高齢者」, そして第3群が, 今回応募により集まった 「動機付けられた高齢者」 の6名の方々.
皆さん当初は 「ゲームは初めてで」 と謙遜していましたが, 元々全員本学・生涯学習センターの 「シニアのためのパソコン実習講座」 などの受講者だけあって, 持ち前の旺盛なチャレンジ精神で毎回真剣かつ冷静に取組んでおられます. 今ではすっかりゲームにも馴れた様子で, 時折アシスタントの学生達と談笑を交えつつ, 和やかな雰囲気の中で研究は続けられています.
 学内研究は週に1度のペースで行われ, 今年の 11 月頃まで続く予定です.


<シューティングゲームが好評>

一方大阪ボバース記念病院では, 「運動障害のある高齢者」 を対象に同じく研究が進められていますが, 7月 28 日, 実験補助の学生が同病院を訪問し, 被験者の運動機能等の測定を行うとともに被験の様子を見学しました. 同院は内科, 泌尿器科, 整形外科をはじめとする総合地域医療をめざす病院です. 特に, 同病院は脳卒中や脳性麻痺あるいは交通事故などによる様々な身体障害に対する医療システムに力を注いでおり, 理学療法士, 作業療法士, 言語治療士などのスタッフの充実がはかられています.
 この日, 同病院を訪問したのは, 鵜飼, 久保田研究室所属の学生3名. それぞれ今回の実験を自分の卒業研究に関連させて教員とともに取り組んできています.
 当日は, 同病院の共同研究者である鈴木作業療法士に実験の様子をビデオ映像を見ながら説明受け, その後3名の被験者の方にお会いし, 運動機能測定, 心理テストなどを実施しました.
 被験者は, 全員何らかの運動障害があり, 特に片手しか使えない方がほとんどのため, 実験のゲームも片手での操作機器対応のものを中心に行っています. 片手用の操作機器は, マウスとバーチャガンの2種類を用意しましたが, マウスは使いづらく, もっぱらバーチャガン対応のシューティングゲームを行っているとのこと. また, 通常コントローラでも操作が簡単な将棋のゲームは好評とのことでした. 特にシューティングゲームでは, 画面上に狙いのポイントが表示されるため, 「被験者の視点や手の運動機能がよくわかります」 との鈴木療法士の言でした. 被験者の中には, 「これなら家でもできる」 と自宅でゲーム機を購入された方もみえたとのこと.
 ゲームは患者さんのみではなく, 付き添いの方も利用している様子で, この日もゲーム機が空いた時に 「いっちょうやろうか」 と付き添いの奥様同士 (?) が, 格闘ゲームに興じていました.
 ボバース記念病院の実験も, 11 月頃まで継続して行なわれます. 秋には再度の運動機能, 心理テストを行う予定です.