プログラムの概要

本取組では、学習支援システムを活用し、eラーニングと対面授業を融合させたブレンデッド学習方式を全学的に展開することにより、さまざまな学習意欲・学力を持つ入学学生全員に対し、大学での学習に必要な「学ぶ意欲」「学ぶ力」を涵養することを目的とする。通学時間や自宅での空き時間など、従来あまり有効活用されていなかった時間帯を、情報機器を活用して予習・復習の時間に転換することによって、学生の自立的学習への意識を高める。
 具体的には、@ブレンデッド学習の特徴を活かしたeラーニングコンテンツの開発、A学生の活動に光をあてるエンカレッジ指導モデルの構築、Bオンデマンドコンテンツ共有による科目間連携、Cブレンデッド学習による対面授業改善(FD)、DICT活用能力の学内基準の策定、に全学で組織的に取組む。
 本取組を通じて、学ぶことの楽しさを発見させ、自ら学ぶ意欲を持ち続けられる学生を育成する。

プログラム内容
1.取組について
1-1.取組の趣旨・目的
 平成19年1月中央教育審議会答申「次世代を担う自立した青少年の育成に向けて」において、「次世代を担う青少年を自立した存在として育成するためには、青少年期を大人への準備期間として、人格の基礎を築き、将来の夢や希望を抱いて自己の可能性を進展させる時期とするとともに、自らの人生をどう設計していくかについて考える時期とする必要がある」ことが述べられている。一方、現在の本学をはじめとする高等教育機関の状況を省みると、自らのキャリア形成のために高い目的意識を持って自ら選択した大学(学部・学科)に入学する学生もいる一方、親や教師に勧められるまま明確な目的意識を持たずに進学してくる学生も相当数存在する。このように、学生の学習に対する意欲が多様化している現状において、中教審答申の求める“自立への学習”を成り立たせるためには、個々の学生の状況を適切に把握し、それぞれの学生に最適化された学習方法を提供するきめ細やかな対応が必須となる。このような対応によりはじめて、意欲の高い学生をより強く動機付け、意欲に欠ける学生の興味を開拓することが可能となる。
【図1】本取組のねらい   これまでも本学においては、少人数ゼミ教育の拡充、フィールドワーク、個別キャリア支援など、さまざまな手法を用いて多様な学生の“やる気“を引き出してきた。これらの取組では一貫して、学生に多様な活動の場を与え、そこで得られた成功体験から自発的なやる気を引き出すことを目指している。本取組では、これらの取組をより発展させ、多様な入学学生に対する導入教育を完成させるために、ブレンデッド学習(対面教育とオンデマンド学習との組み合わせによる学習)による学生中心の教育改革を実施する。ブレンデッド学習により、基礎反復学習や発展的学習を、学習者の生活形態に合わせた形で提供することによって、多様な学生の一人ひとりに合わせた学習プログラムを開発することができる。通常、基礎反復学習は、学習者の興味を引くことは少なく、多くの場合それを必要としている低学力層・低意欲層の学生には、苦痛以外の何物でもない。本取組では、学習支援システムを援用し、楽しく学べるエデュティメント教材(【資料1】)を開発することにより外的に学習者の興味を掘り起こし、さらに学生一人ひとりの内発的なやる気を引き起こさせる指導モデルを構築することによって、すべての学習者の状況(モチベーション・学力レベル)に合わせた学習方法を提供する。(【図1】)
【図2】本取組の全体像   本取組では、すべての学生および教員、職員が学習支援システム(nfu.jp)(【資料2】)を活用し、学生中心の効果的なブレンデッド学習による教育改革を実現する。具体的には、@ブレンデッド学習の特徴を活かしたeラーニングコンテンツの開発、A学生の活動に光をあてるエンカレッジ指導モデルの構築、Bオンデマンドコンテンツ共有による科目間連携、C前述@〜Bによる対面授業改善(FD)DICT活用能力の学内基準の策定、に取り組む(【図2】)。
 以下、各取組について記述する。
@ブレンデッド学習の特徴を活かしたeラーニングコンテンツの開発
  本取組では全学的に問題意識を共有し、検討体制を築くために、全教員がブレンデッド型の科目を開発することとする。まず、各授業科目の第1講目に相当する導入講義(科目ガイダンス)(【資料3】)をオンデマンド化する。全教員がブレンデッド型の科目を提供する形で、授業でのICT活用に対して第一歩を踏み出すこととなる。学生は、導入講義を視聴し、学習目標・内容を理解した上で履修登録を行う。その結果、現在では受講の途中棄権理由の約半数を占める「想定していた学習内容との相違」(【資料4】)を減らすことができる。
  第1講目のオンデマンド化に加えて、反復が必要な学習内容部分については、必要な時にいつでもどこでも何度でも学習できるように、オンデマンド教材化(【資料1】)を進める。情報処理演習科目、外国語関連科目に加えて、数学的な基礎知識を再教育する科目、福祉関連の歴史、法律や制度を扱う科目を想定している。こうした教材開発により、知識・スキル修得のための自己学習を可能とし、後述の対面授業の改善を実現する。
  また、通学時間や下宿での時間活用など、自宅生、下宿生の生活になじみやすいコンテンツ形態の研究開発を行う。通学時間が1時間以上という学生が2,000名以上いることから(【資料5】)、通学時間を活用するために、音声教材、楽しみながら学べるエデュティメント教材(【資料1】)、達成感が得られるような段階ごとの小テストを開発する。意欲の低い学生にも多様な学ぶきっかけを提供し、空き時間の有効活用を通して、自立的学習への意欲を高め、自らの生活習慣の改善を促す。通学時間や自宅・下宿での学習のため、ICプレーヤーや携帯電話等を活用することによって知識習得や繰り返し学習を促進し、対面授業ではディスカッションやものの見方・考え方をより重視した内容への転換を図る。
【図3】エンカレッジ指導モデル A学生の活動に光をあてるエンカレッジ指導モデルの構築(【図3】)
  本取組では、学生の学ぶ意欲の向上のためには、学習履歴および、生活状況を的確に把握し、それらに基づいた適切な助言・情報提供を行うことが重要であると考える。
  学習支援システム(nfu.jp)には、学習履歴、学習活動状況、学生生活状況等の各種情報が蓄積されている。こうした情報を教員、職員、学生が理解しやすいように可視化する。また、全学SNS(Social Network Service;オンライン上の受講者コミュニティ)を活用することで、特にゼミ形式の授業においては、学生の授業外の時間における学習状況の把握にも努める。学生の状況把握を無理なくできるよう、全学で活用しているSNSから、必要な情報を容易に取得・提示するための機能拡張も行う。
  学生は、学んだことの重要性、学習や各種活動で得た力を、自分自身では必ずしも認識できていないことも多い。本取組では、システムの支援も得ながら、こうした部分に光をあて、オンラインおよび対面で学生を励まし、勇気づける(エンカレッジする)。学生への様々なエンカレッジの事例を集積し、それらを教育工学や教育心理学などの知見に基づき、「エンカレッジ指導モデル」としてシステム化する。エンカレッジ指導モデルの開発に際しては、学内の教育工学の専門家に加え新たに教育心理学の知識を有するスタッフを配置し、学生の学習への動機付けの面からのアプローチを図る。
Bオンデマンドコンテンツ共有による科目間連携(【図4】) 【図4】科目間関連イメージ
  ブレンデッド型eラーニングコンテンツを開発し、それを複数の科目(ゼミ・講義など)で共有することによって、科目の壁を越えた知識の理解を促す。
  例えば、初年次基礎ゼミ科目においては、第1講目の導入講義の後に、中間的な講にグループでの調査課題の議論、ディスカッションなどを組み込み、学生同士のアクティブな学習を促す。グループワークやプレゼンテーションのための情報収集・データ分析などの基礎スキルについては、オンデマンドコンテンツで学ぶ。講義科目においては、講義内容についてのディスカッションを、オンデマンドコンテンツで学習した方法に従い、SNS上で行う。講義で得た知識をゼミでのディスカッションに反映し、最終的には、本学がかねてから力を入れている実践的なプレゼンテーション(【資料6、7、8】)につなげる。こうした科目間の連携により、相互に学生の学習進度を補い、学生自身に最終講まで学習する力と達成感を与える。
Cブレンデッド型学習による対面授業の改善(FD)(反復と実践による学習モデルの強化)
  福祉関連法制度等、様々な見方や立場が成り立つ学習領域においては、対面授業で、受講者同士議論させることが有効である。議論に先立ち、eラーニング時にBBS(科目掲示板)に意見を投稿させておくといった方法や、SNSを活用した学生同士の自発的な学習を促す方法についても検討を進める。このように、eラーニング化を進めることによって、対面授業のあり方についても改善していく。全教員がブレンデッド型の科目を開講することから、教員一人ひとり違う教育スタイルが可視化されていく。実際に自分たちで実施してみた体験を踏まえ、学習効果の向上という視点からさまざまな議論を行うことにより、全教員の協力のもと汎用性の高いより効果的なブレンデッド型学習のモデルの構築を目指す。こうした取組は、ファカルティ・ディベロップメント(FD)を常に学生中心に行っていくという文化を大学内に浸透させていく活動に他ならない。
DICT活用能力の学内基準の策定
  本取組では、オンデマンド科目、対面授業、学習状況のフィードバック、情報共有等、各種の場面で教職員・学生がともにICTを活用することになるため、大学における学習・教育のためのICT活用能力の基準を定めていく。
  ICT活用能力の学内基準策定にあたっては、独立行政法人メディア教育開発センターにより実施・公開されている各種の調査結果を参考に検討を進める。高等教育機関、特に、いわゆる文系大学におけるICT活用能力基準のモデル化を図る。
1-2.取組の実施体制等(具体的な実施能力)

・取組への参加予定人数(教員175人・職員120人・学生6,058人)
【図5】本取組の実施体制@教育改革の全学的な推進 (【図5】)
  全学教育開発機構は、学長指名のもとに各学部から選出された委員から構成されている学部横断的な組織であり、同機構にて、本取組の全学的な推進を行う。
 第1講目のオンデマンド化については、すでに機関決定しており、確実に進めていくことができる体制・計画(【資料9】)となっている。
Aコンテンツ作成と教育方法の開発
 教育デザイン研究室(【資料10】)は全学教育開発機構を構成する組織の1つに位置づけられており、科目担当教員と連携してオンデマンド教材の開発、教育方法検討を行う。適度なモジュールに講義を分割し、確認テストによりポイントを明示する方式を採用し、学生とのインタラクションを重視したコンテンツを提供する。これまでの実績を発展させ、アクセシビリティーに配慮した視覚障害者向けの読み上げソフト対応、聴覚障害者向けのテロップ(字幕付け)対応等を行い、ノウハウの蓄積も組織的に行っていく。また、アシスタントデザイナ(【資料10】)には学生スタッフを組織して、学生の目線でのコンテンツ作成にも取組んでいる。本取組では、分析・設計・開発・実施・評価を繰り返して、効果的で魅力的な教育方法を開発するインストラクショナル・デザイン(【資料10】)の手法を活用し、学生が楽しみながら学習を継続し、小さな成功を積み重ねて成果を実感できるようなブレンデッド型教育方法の開発を行う。
BICT活用の支援
 eラーニングの実践時には、学生・教員のICT活用に関する支援、また、オンラインへの各種投稿に対する一次対応支援を組織的に行う。特に、ICT活用を得意としない学生・教員に対しては、操作面等、基本的な事項の支援が必要な場面が多い。本取組により、今回定める学内基準まで各自のICT活用能力を向上させることを図りつつ、必要な利用支援は、ICTサポートデスクが担う。ICTサポートデスクには、学生アシスタントを配置し、学生自らがICT利用相談に応じることにより、コミュニケーション能力等の育成を図る。
 オンラインでのやり取りについては、教員も関与するものの、網羅的に対応することは困難な場合も多い。本学では、これまでの実績の上に立ち、科目担当教員と調整を行いつつ、「学習指導講師」が一次対応を行う。

1-3.評価体制等(【図6】)
【図6】本取組 評価体制   本学では、教学担当副学長を委員長とし、各学部教授会で選出された委員と学務部長などによって構成される全学評価委員会を運営し、大学の教育・研究などの点検・評価を行っている。また、第三者評価として外部評価委員会を設け、同窓会、卒業生、後援会、インターンシップ・経営者講座講師などの委員による評価を実施してきた。本学では、定期的に学生生活実態調査を実施し、自主学習時間の調査(【資料11】)や学習場所等の把握にも努めている。本取組としては、受講の途中棄権率の低減や自主学習時間の向上等の数値目標を定め、自己評価していく。また、アンケートシステムを構築し、定期的な評価・フィードバックを得ることにより、定常的な教材の改訂や教授法の見直しに活かす。さらに、SPIや語学のプレースメントテストの実施によって学生の基礎学力の向上の度合いを測る。
  さらに、教育デザイン研究室において、ブレンデッド化する科目数、ブレンデッド比率についての計画値(【資料9】)を設定し、それに対する達成度に関する評価を行う。学習支援システムのフィードバック機能の活用状況、SNSの活用状況などシステムの内部データを解析するとともに、アンケート、インタビューなど利用者から直接得られるデータを分析することにより、ブレンデッド型科目の教育効果を定期的に評価する。データの解析にあたっては、定量データに対する分析のみではなく(【資料12・13】)、SNSでの利用者の発言内容など、学生の生の声をよりよく反映した定性データに関しても、探索的なデータ解析手法を用いて分析を行い、システム改善、活用方策に関する提案を行う。
  また、本取組終了時には前述の全学評価委員会、外部評価委員会により取組全体の評価を実施し、成果のさらなる展開についてその方向性を明らかにしたうえで評価報告書を発行する。
1-4.教育改革への有効性
  学生が、導入講義を視聴し、学習目標・内容を理解した上で履修登録を行うことにより、想定していた学習内容との相違等による途中棄権を防ぐことが期待できる。学習の状況を学習支援システム(nfu.jp)やSNSにより定量的に把握して適切に支援を行うことにより、受講の途中棄権者はさらに減少させられるものと思われる。
  本取組により、基礎的な事項をeラーニング教材として整備することで、当該部分を苦手とする学生は何度でも学習しなおすことができる一方、理解している学生はそこに時間を割く必要がなくなる。これにより、学生全体の基礎的な力の底上げに加えて、上位の学生をさらにレベルアップしていくことが可能になる。また、教員も少人数指導、個別指導に時間を割くことができるようになり、本取組で重視する「学んだ知識の場面の提供」を現実的に行っていくことが可能となる。反復学習とその活用のサイクル、そのために必要となる科目間連携の事例は、1つのモデルとして、他大学へも提供していけるものである。特に、さまざまな情報源からのデータを統合的に扱いつつ、学生の活動成果に光をあて、指導を行っていく「エンカレッジ指導モデル」は、学ぶ楽しさを発見させ、自ら学ぶ意欲を持たせることを目指すものであり、他大学とも連携して発展・活用していけるものであると考える。
  本取組では、全教員がブレンデッド型科目の教育内容の開発者として参加することを特徴とする。自身の教育内容のうち、どの部分がオンデマンド化に適しており、どの部分が対面講義により教授しなければならいないのかを考えることにより、すべての教員に教育方法についての見直しを求めることになる。本取組において構築を試みる「エンカレッジ指導モデル」には受講学生の授業に対する多様な評価が集積されることとなる。本取組を契機として、すべての教員が学生からのフィードバックによって日常的に授業改善を行うシステムの構築を目指す。
  また、本取組の実践を通じて、教員は教材開発、学生カルテを用いた学生指導、ゼミ生等を中心としたコミュニケーションにICTを活用していくことになるため、ICT活用能力の基準も定めていく。本学の教員はICTを専門とせず、必ずしも十分に活用できるわけではないが、それだけにここで定める基準は、これからeラーニングを推進していこうとする多くの大学に援用できるものになると考えている。
1-5.(参考 これまでの実績)
@ オンデマンド授業に関するこれまでの実績
  平成17年度より全学共通科目「福祉社会入門」はじめとして、通学課程で3科目、通信教育課程5科目の完結型オンデマンド授業を開講している。
  平成18年9月には、「オンデマンド授業の光と影」というテーマで、学内においてFDフォーラムが開催された。eラーニングにより教育がどう変わるのか、完結型オンデマンド教材とブレンデッドオンデマンド教材の活用方法・事例紹介、撮影・製作方法の多様化、等について論議が繰り広げられた。
  ブレンデッド型オンデマンド授業は、平成18年度に第1講目のオンデマンド教材として、4科目を試行的に製作している。科目担当者の意向を踏まえ、インタビュー、研究室での説明、卒業生との対談、ホワイトボード前での授業など、教員が効果的と考える方法、あるいは教員の負担に配慮して、柔軟な撮影形式・開発体制をとってきた(【資料2】)
A 学んだ知識を活用する場面に関するこれまでの実績
  平成15年度よりICTスキルや英語力を活用する場面として、「デジタルコンテンツコンテスト」(【資料6】)、「World Youth Meeting」(【資料7】)、経営学・会計学等のビジネス系科目との連携による企画・立案の発表の場として「ビジネスプランコンテスト」(【資料8】)といった企画を実施している。
  「デジタルコンテンツコンテスト」、「World Youth Meeting」については、教育デザイン研究室にて企画や支援を行っている。
2.実施計画等について
@本取組みの全体スケジュール及び各年次の実施計画を(【図7】)に示す。

【図7】全体スケジュール
【図7】全体スケジュール

【平成19年度】
 eラーニングコンテンツの開発とエンカレッジ指導モデルに関するシステム開発ならびに科目間連携や対面授業の改善(FD)、ICT活用能力の学内基準に策定に向けた検討に着手する。
 まず、第1講目(科目ガイダンス)のオンデマンド化を推進し、全教員が最低1科目(合計164科目)のコンテンツ開発を行う。同時に、情報処理演習科目を対象に、反復学習用コンテンツを開発する。
 教育工学や教育心理学のこれまでの知見を活用し、さらには、これまでの本学の取組に基づき、エンカレッジ指導モデルのプロトタイプを構築する。エンカレッジ指導に関して、学習支援システム(nfu.jp)の全学活用を行う中で、nfu.jpシステムやSNSへの機能拡張等の要望を取りまとめ、第1次機能拡張を行う。また、科目間連携においては、開発したコンテンツを科目間で共有し、1講あたりのコンテンツ単位で利用できるようにする。その上で、ICプレーヤーや携帯電話などの活用を含めたエンカレッジ指導システムの検討を行う。  
【平成20年度】
 第1講目(科目ガイダンス)のオンデマンド化を引き続き推進し、新規114科目、改訂40科目程度を開発する。また、エデュティメント教材としてICプレーヤー活用コンテンツの開発も行う。同時に前年度に開発した164科目の開講を通じ、学生の科目放棄率や履修満足度等のデータ収集を行い、評価指標を設定する。
 正課授業科目の学習支援システム内の掲示板(BBS)とSNSの活用状況を評価する。また、学生、教員の本取組にかかわる潜在的な本音について、テキストマイニング等により抽出を試みる。得られたデータからエンカレッジ指導モデルの改善を行うとともに、学習支援システムの機能拡張を行う。
 身につけた能力の実践的な活用の場として、これまで学部毎に取り組んできたワールドユースミーティングやデジタルコンテンツコンテスト等の企画を、全学共通の教育プログラムとしてカリキュラムに位置づける。
 ICT活用能力の学内基準を前期中に策定し、後期に研修プランおよび実施計画を立案する。同時にICTサポートデスクによる学生・教職員への支援の具体化を図る。学習支援システムの利用説明会及びユーザーマニュアル等の整備を行う。
【平成21年度】
 第1講目(科目ガイダンス)のオンデマンド化を引き続き推進し、新規113科目、改訂40科目程度を開発する。また、エデュティメント教材として携帯電話活用コンテンツの開発も行う。同時に前年度及び前々年度に開発した合計278科目の開講を通じ、学生の科目放棄率や履修満足度等のデータ収集を行う。さらには、前年度に策定した評価指標に基づき、あわせて3年目の評価を行う。ICT活用能力基準に基づく研修を実施し、研修の効果を検証するとともに、ICT活用能力基準の妥当性を検討する。
 本取組の最終年度として、ブレンデッド学習の効果を測定するために、学生の基礎学力、学習意欲などを事前・事後で統計的に比較する。このような検討により、本取組の問題点を明らかにし、今後の検討課題を抽出する。これまでの取組を総括し、エンカレッジ指導モデルを完成させる。
 取組終了時には、全学評価委員会および外部評価委員会による取組全体への評価を実施し、評価報告書を作成するとともに、集積されたノウハウを広く外部に発信するために、FDフォーラムを開催する。
A教職員と学生との関係を含めた、実施体制等の具体的な展開
 教育デザイン研究室の支援のもと、全教員が全学生向けのブレンデッド型学習用コンテンツの開発を行う。学生は、担当教員の指導のもと、コンテンツ作成の際のアシスタントやICT利用の際のサポートデスクとしての役割を果たすことにより、本取組の実施体制 の一端を担うとともに、そこで得られた経験から自らの成長を果たす。
B本取組期間終了後の大学等における取組の展開予定(財政措置を含む)
  本取組終了後は、学内予算措置を行い、様々な形式のブレンデッド学習による学生中心の教育改革をさらに推進する。
 
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