プログラムの推進について

 
 (1)実現可能性

1.実現に向けた目標と計画

 本学では、eラーニング環境の実現とそれにより可能となる演習・実習などの少人数教育の充実を進めており、通信・通学合わせて60単位程度をオンデマンド授業で提供していくことを想定している。養護学校教諭免許取得のために必要な23単位のうち、平成17年度から平成19年度の間に順次、実習を除く20単位(9科目)をオンデマンド化していく。

 オンデマンドコンテンツ配信、オンライン・ラーニング・コミュニティ形成、循環再生型のコンテンツ開発の基盤として利用するLMSは、中核となる機能を平成18年度はじめよりリリースし、以後、適宜、機能追加を行っていく予定である。本取組により開発するコンテンツは、平成18年度より順次、このLMSから提供していく。コミュニティ形成、循環再生産型の学習スタイルについては、実践力の育成のための汎用的なプログラムであるため、全学的に採用する。本取組により平成18年度から試行的に活用し、平成19年度からの本格運用を目指す。

 養護学校教諭資格取得科目のeラーニング化を実現しても、障害の多様化、現場との連携のためのきめ細かな準備・支援作業の必要性を考えると、実践力育成のためには専門的な支援が必須である。そのため、本学では教職課程センターに特殊教育支援機能を充実させ、対応していくことを想定している。また、コンテンツ開発や、オンラインコミュニティへの全学及び地域からの利用に向けた広報・支援・運用を考えると、メディア教育センターの体制も強化する必要がある。コミュニティ内の蓄積からのデータマイニング、循環再生型のコンテンツ開発など、専門的なスキルも要求されるため、メディア教育センター内に専用部門を立ち上げる。

 

2.本学における取組との関係

@ オンデマンドコンテンツの開発

本学ではオンデマンド授業科目「福祉社会入門」を開発し、本年度より正規科目として開講している。本科目は、全国46大学23企業が登録会員(平成174月現在)として参加する「オンデマンド授業流通フォーラム」を通じて、本学通学生・通信生に加えて他大学向けにも提供し、福祉人材育成のためにコンテンツの普及に努めている。進行中の評価から適宜フィードバックをかけ見直しを図るとともに、整備してきたガイドライン、得られた知見については本取組においても十分に活かしていく。

また、本学社会福祉学部社会福祉学科の科目等履修制度を、場所・時間にとらわれないオンデマンド授業で行うことにより、現職者(社会人)や他大学の学生の履修機会が広がり、免許状取得が容易となる。

A 現場と大学をつなぐオンライン・ラーニング・コミュニティの形成

オンラインの交流の活性化のためには、システム・環境を整えるだけでなく、オフラインでの交流も必要と言われる。本学でも、5万人の会員からなり全国すべての都道府県に支部を持つ本学同窓会との日常的な協力関係、学産官民が連携した「知多ソフィア・ネットワーク」とそこでの地域振興のための具体的な取組など、これまでの活動・人的ネットワークをいかしたコミュニティ形成を行っていく。通信教育部では、学生が自主的に立ち上げ可能な「フォーラム」、アバタ(ネットワーク上に登場する自分の化身)を使いリアルタイムの学生・教職員間交流が可能な「バーチャルキャンパス」などにより、オンラインでのコミュニティ形成を行ってきた。「オフィスアワー」を設定し、学生と教員のコミュニケーションを促進する活動も行っている。その結果、バーチャルキャンパス上で知り合った学生同士が福祉NPOを立ち上げたという例もある。こうした基礎の上に立ってコミュニティ機能を充実させるとともに、通学生、地域へと輪を広げていく。

 B コミュニティ内の知識の活用

本学では、実習・現場体験を重視するだけでなく、その評価・振返りの活動にも力を入れている。活動報告会や報告集として冊子への取りまとめを行い、コンテンツとするための素材は既に多く集まっている。メディア教育センターで学部からの委託を受けて全学生向けに提供している情報処理演習科目の効果もあり、学生のITスキル・情報発信力は年々高まっており、画像・動画を組み込んだデジタルデータでの報告も増えてきた。学生からの素材によるコンテンツ開発は、学生の海外フィールドワーク報告からのコミュニケーションのための英語教材開発をはじめ、メディア教育センターを中心に試験的に行いはじめており、この動きを加速させる。

 

 (2 )教育の社会的効果等

 .高等教育の質的向上に向けて

 基本的な知識・理解をeラーニングで身につけさせることで、大学では少人数の実践的な指導が可能となる。身近な先輩、同僚の活動成果を学習素材とすることで、学生に自らも積極的に参加しようという意欲を与えることを狙う。循環再生産型の学習スタイルは、学生主導のスタイルであり、教員は知識伝授だけではなく、きめ細かな支援を行う。本取組により整備する一連のプログラムにより、高等教育の質的向上を図り、多くの実践力のある福祉人材の育成につなげていく。

 

.他大学等への波及効果

養護学校教諭免許状取得用の科目をオンデマンドで提供することにより、教職課程を持つ他大学学生が履修可能となり、免許状を保有しない養護学校教諭も「免許法認定講習科目」として履修することができる。他大学、養護教育現場への波及効果も大きく、養護学校の人材育成、大学間連携に資することができると考えている。

   
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