平成22年3月をもって文部科学省『教育GP』採択プログラムとしての活動は終了いたしました。3年間の成果をまとめた報告サイトを作成しましたので、是非ともご覧ください。なお、サービスラーニング活動については、引き続き、社会福祉学部の独自プログラムとして実施していきます。活動状況については、社会福祉学部ホームページで掲載していきますのでよろしくお願いたします。

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活動の総括として学生たちによる「2010年度協働型サービスラーニング活動報告会」を開催

 12月18日、この1年間の活動の集大成として、学生たちによる「2010年度協働型サービスラーニング活動報告会」が開催されました。
 プログラムは、第1部のポスターセッション、第2部の全体報告会からなる2部構成。全体報告会にはサービスラーニングクラスの学生や教職員だけではなく、30名を超える活動先NPOの方々がお越しくださったほか、次年度サービスラーニングを履修予定の1年生、日本福祉大学付属高校の生徒も20名近くが参加しました。

 第1部のポスターセッションは、活動先グループごとに学生たちが制作したポスターを使って行いました。学生たちは、活動内容や活動を通じて得た学び、気づき、さらに発見した課題に対する提案なども来場者に報告しました。現場での体験がより伝わるように写真を大きく扱って紹介するグループもあれば、時系列にわかりやすく活動をふりかえるグループもあり、それぞれの想いと個性もポスターから伝わってくるセッションとなりました。
 会場は時間を追うごとに、他クラスのポスターを見ようとする学生や1年生、NPOの方々が増え、教室を行き来する来場者で熱気いっぱいに。「文章や写真だけではわからないこともある。自分たちでとらえたものがいっぱいあるので、それをできる限り伝えようと心がけた」という学生をはじめ、各グループの来場者への説明にも力が入り、みんなで輪になって語りあう風景も見られました。 会場を訪れた活動先NPOの方からは「ポスターを通じてあらためて活動をふりかえることができ、いい学びあいができたことを実感した」という評価の言葉が。たまたま報告会があることを知り駆けつけたという社会人の大学院生からも「学生たちの意欲がすばらしい」という賞賛が聞かれました。また、1年生からは「きちんと目的をもって活動していることがよくわかった」「来年の活動先を選択するのに参考になる」という声もあがり、わずか1時間という限られた時間のなかでしたが、盛況のうちにポスターセッションは終了しました。

 第2部の全体報告会では、全6クラスが一堂に会し、それぞれのサービスラーニング活動について報告をおこないました。 最初にサービスラーニングセンター長の木戸先生から挨拶があり、学生と地域が力を合わせてサービスラーニング活動に取り組む意義や、これまでに得られた成果を活かして来年度以降も活動を続けていきたいという想いが語られました。
 そして、いよいよ6クラスが順番に発表の壇上へ。クラスごとに活動先グループの活動内容や学んだこと、気づきなどをふりかえり、そこで感じた課題や想いを今後の学習にどうつなげていくかを発表しました。そして、学生ならではの視点から活動先へ提案をおこない、活動で得たテーマのもとに取り組んでいる研究についても報告しました。

 以下、6クラスの活動報告を簡単に紹介します。

松下クラス
【活動先:らいふ、みんなの家ほっと、みんなのき、孝行の会】

 障害児支援施設や学童保育など、4つの活動先での活動内容や学んだことを報告した後、NPOに求められる役割について考察。「自分育ちとは、単純に知識を学んでいくことではなく、自分と相手とが相互に関係しあうなかで、ともにそれぞれの人間性を育んでいくもの」と、活動を通じて理解したことを発表しました。また、教育は机上のものだけではなく「現場は生きた最大の教科書」であること、「自分たち自身も地域のなかの資源」であることなどを訴え、市民がつながることができれば、地域との交流が増え、地域が助け合い社会になるといった意見も出されました。

村上クラス
【ベタニアホーム、共育ネットはんだ、ふわり、ふれ愛、絆】

 グループごとに活動内容や成果などを報告するとともに、サービスラーニングを通した学びについて、コミュニケーション力・問題解決力・学ぶ力の3つを切り口にふりかえりました。また、「地域に根ざした活動を行っているから、地域の課題に取り組める」と、この地域のNPOの特色に気づく一方で、「NPO活動の広がりが不十分で地域住民との関わりを深くする必要がある」という課題についても言及。後期の課題研究のテーマとして「NPOと地域住民の相互理解と交流」を取り上げ、学生と協力したイベント企画や地域活動への参加、NPO活動の広報などを提案しました。

石川クラス
【チャレンジド、エンド・ゴール、ゆめじろう、りんりん、知多地域成年後見センター】

 石川クラスでは、「チャレンジド」で活動したグループが代表して活動報告と研究報告をおこないました。研究報告では、今回の活動で関心をもった「障がいをもった子の将来」をテーマとし、美浜町の障害者の将来の働き口を調査。障害者の昼間の過ごし方などをグラフで紹介し、働き口が少ないことを訴えました。その改善のために日本福祉大学ができることとして、NPO法人と協力し、地域を変え、授産施設を増やしていくことなどを提案。また、地域の福祉の現状を知ってもらうために学生が積極的に動き、住民の声に耳を傾け、地域にはたらきかけていくことが大事だと提言しました。

末盛クラス
【活動先:あかり、あんだんて、ぱお、ひだまり、わたぼうし)】

 各グループが活動先での写真を見せながら、活動内容や学んだことを報告しました。多くのグループが自分たちで企画・実践する難しさを語りつつも、そのなかで「自ら積極的に行動・発言・提案することの重要性を学んだ」「活動ができた、できなかったというふりかえりではなく、子どもたちと私たちがどう変わったかを考えることが大切」と、サービスラーニングならではの学びを報告。気づきとふりかえりが学生の成長につながっていることを感じさせました。また、活動を通して得た学びをさらに深めるために、各グループが現在取り組んでいる研究テーマについても発表しました。

原田クラス
【活動先:菜の花の家、サポートちた、ふれあいネットワーク美浜、ざりがにクラブ、もやい】

 1年間の学習の流れを紹介した後、活動先での体験や考察について報告しました。活動を通して学んだことの総括として笑顔と信頼関係の大切さをあげ、そのために必要な情報やコミュニケーション、NPO運営の課題についても言及しました。また、活動を通しての気づきをテーマに共同研究に取り組んでいることを報告し、研究グループの一つが「NPOが大切にしなければならないコミュニケーション」について提案をおこないました。最後にNPOの方々の熱い想いに触れ、さまざまな経験をしたことは、これからの学びにつながる大きなものになったと締めくくりました。

岡クラス(教職課程クラス)
【活動先:御嵩町・美浜町社会福祉協議会、師崎小学校ひまわり学級、篠島・NGOアース、山口県美郷の丘、ゆめじろう・松寿園】

 各グループが活動の目的や内容、学びについて報告しました。自治体で活動したグループは、「地域福祉とは企業、行政だけでなく、そこに住む人が参加することで地域のニーズに合ったその地域らしい姿に変容していくのではないか」と考察を、特別支援学級で活動したグループは、「今後も小学校への訪問を続け、「ふくし」の授業をしたい」と目標を発表しました。最後に教職課程クラスとして、「サービスラーニング活動を教職課程の学びにつなげることができた」と学習の成果をまとめ、教員になったときに子どもたちに伝えていきたいと将来展望を語りました。

 各クラスの活動報告後、忙しい時間をぬってお越しいただいた活動先NPOの方々から貴重なご意見をいくつもいただきました。
 そのなかには、「壁にぶつかることもあったが、こちらがアドバイスすると、また自分たちで考えて、新しい意見を出してくれた」「本当にいい出会いと学びあいができた。課題に対する提案もいただけたので、その提案にいま取り組んでいる」とお褒めの言葉がある一方で、「実際に自分の学んだことを、もう少し自分の言葉で訴えてほしかった」「研究報告がこの内容では、どこかからの抜粋にすぎない」と、さらなる成長への期待を込めた厳しいご意見も。付属高校の教員や3年生の先輩からもコメントが述べられ、学生たちは真剣な表情で、皆さんからのあたたかな声に耳を傾けていました。

 まとめとして、日本福祉大学のサービスラーニングのパートナーである「地域福祉サポートちた」代表の岡本様から、「サービスラーニングを通じて、地域福祉を志す市民の一人として、大人として歩いていくときに大変重要なことを学ばれた。日本の社会を今後どうすればいいのか、若いみなさんが自分ごととしてとらえ、考え実践していただきたい」と講評をいただきました。
 続いて各クラスの教員から、活動先NPOの方々への感謝やサービスラーニングの価値について意見が述べられ、次年度の報告会のあり方についても提案が出されました。最後に、閉会の辞として松下先生が「学生・大学・NPOという3者の関係性のなかで、市民のすばらしい育ちあいが知多半島で積み上げられつつある。日本福祉大学と半島のNPOが、ずっとつながっていくことを願っている」と期待を語り、それぞれが次年度へと展望をふくらませるなか報告会は無事に終了しました。