平成20年度質の高い大学教育推進プログラム審査結果表【選定】

機関名 日本福祉大学
取組名称 協働型サービスラーニングと学びの拠点形成
取組学部等 社会福祉学部
申請区分 教育方法の工夫改善を主とする取組
整理番号 A21174 申請の形態 単独 取組期間 3年
申請の分類 教養教育体験活動地域活性化
キーワード 2年次教育,サービスラーニング,NPO との協働,トライアングル・リフレクション,自己形成力

選定理由

本取組は、その趣旨、目的、養成したい能力である「自己形成力」の定義、プログラム等がいずれも具体的かつ綿密 に計画され、成果が期待できる優れたものである。
また、取組における学生の受け入れ先である地域のNPOとの連携にあっても、準備が整っており実現可能性が高い と評価できる。
しかし、本取組における教員の関わりがわかりにくい。受け入れ先に学生を任せてしまうのではなく、教員の教育的 役割を明確にして対応し、取組の成果を着実に上げることを期待する。

取組の概要

 本学部は日本で最初に4年制大学に設置された社会福祉学部である。「万人の福祉のために真実と慈愛と献身を」を教育標語として50 余年の社会福祉教育を積み重ねてきた。周知のように今日、社会福祉の人材養成確保は大変切実な問題である。社会福祉士に関する法改正に伴い、2009 年度より新しい養成課程が導入される。より実践力の高い社会福祉専門職の養成が社会的要請となっている。また今日、広く社会福祉を学ぶことは豊かな市民社会を形成する主体者を育むことであり、これからの大学教育の役割であると考えている。

 験的な学習が、学生の学習意欲の向上やキャリア形成にとって有効であること、また初年次教育から専門教育への橋渡し(教養教育や導入教育を含む)になる「2年次教育」が重要であることが指摘されてきた。そこで本取組は、大学教育上重要な2年次に体験学習を通して、「自己形成力」を育むことを重視した新しい教育課程とプログラム開発を試みるものである。

 具体的には2年生の全員履修科目の「社会福祉基礎演習」クラスにおいて、学生と担当教員、NPO法人との協働によるプログラムを実施する。「社会福祉基礎演習」にサービスラーニングという教育方法を採用し、地域貢献にもとづく実践的体験的なグループ学習を展開する。そのなかで学生個人の「自己形成力」<まなぶ力(学習意欲)、つながる力(対人関係能力)、やりとげる力(問題解決能力)>を高めるためのプログラム開発を行う。サービスラーニングとは、中教審答申でも取り上げられているように、学生の地域貢献活動を学習素材として活用するプログラムであり、他分野の大学では学習効果を高めるなど実績を上げている。また本学部のある愛知県知多半島はNPO活動が全国的にも盛んな地域であり、本学ともすでにいくつものプロジェクトを実施してきている。本取組もこの地元のNPO法人等との連携により、学びの拠点形成をはじめ「協働型サービスラーニング」を展開していく。

 大学に「日本福祉大学サービスラーニングセンター」(NFUSLC)を設置し、将来的には地域の諸機関(NPO法人、施設、行政、企業)との間に福祉教育プラットフォームの拠点を構築しながら、より効果的なプログラムの開発・実施をめざすものである。特にサービスラーニングで重視されるリフレクション(ふりかえり)を、学生と教員、NPO法人等の活動先の三者で行う「トライアングル・リフレクション」を実施できる体制とプログラムの開発を行う。この取組は、学生にとっての教育効果にとどめるものではなく、本プログラムによって地域の諸機関が学生や大学に期待する役割も勘案して、双方にメリットのあるプログラム(win-winの関係構造)にすることで、持続可能な教育システムとして定着させていく。

目的と期待される効果

@ 2年生を対象に実施することで、学生一人ひとりが自らにとって将来必要な学習の意味を確認し、地域や社会問題への関心を広げ、グループでの協同学習で基礎的な力をつける。
A 社会福祉専門教育への導入教育としてモチベーションを高めるとともに、社会福祉への理解を深め、より実践力の高い専門職養成を図る。
B 大学とNPO 法人との連携による福祉教育プラットフォームを構築することで、効果的な協働型サービスラーニングのプログラム開発および評価体制を構築する。

 本取組の先進性は、@社会福祉系大学での本格的なサービスラーニングの導入、A初年次及び導入教育・教養教育と専門教育を繋ぐ2年次教育に重点を置き、着手すること、B地域の教育力といえるNPO等の地域活動を教育活動に組み入れ、協働して展開することである。

back
CGI