Q4
耳鳴りがひどくて眠れません。
どうしたらよいでしょうか。

A

 耳鳴りを訴える人の多くは聴こえが悪くなっています。難聴と耳鳴りには密接な関連があります。
空気の振動である音が耳に伝わると、中耳にある鼓膜、耳小骨を通じて内耳のかたつむり管に振動が伝えられます。
かたつむり管では振動が音の高さごとに別々の電気信号に変換され、耳の神経によって脳の細胞に届けられます。
脳は信号を解析して音の強さや高さ、音色などの情報を認識します。つまり耳や神経には音の情報を伝える役割がありますが、実際に音を聴いているのは脳の細胞であるといえます。
難聴によって耳から届けられる音の信号が減少すると、今まで普通に働いていた脳の細胞がわずかな信号も検出しようとして活動が高まって、興奮した状態になります。
こうして興奮しすぎた脳細胞の活動が耳鳴りとして認識されると考えられています。
一方、脳の真ん中には記憶や感情をコントロールする大脳辺縁系という部分があります。耳鳴りを気にしだすと、ここの働きが活発となり、不安やストレスを増大させます。
さらにその不快な記憶やストレスが辺縁系を介して脳に定着してしまいます。さらに大脳辺縁系は自律神経にも働きかけます。
自律神経は心臓や腸などのすべての内臓をコントロールしているため、動悸や頭痛、肩こりなど様々な体の部分の症状が誘発されます。
これらの不調が更なるストレスを引き起こし、耳鳴りと結びついて、より耳鳴りや体調不良に敏感となってしまいます。こうした悪循環が重なっていくと、当然不眠も起こります。

 このような負のサイクルを止めるためには、まず耳鳴りがしているメカニズムを理解し、過剰に心配する必要がないと認識することが重要です。
また、耳鳴りは周りに物音があるとそれに紛れて気になりらないことが多いですが、静かなところではめだって大きく聞こえるため、夜寝る前には耳鳴りが余計気になります。
寝る前に静かな環境を作らずにCDやスマートフォンで波や滝の音など自然の物音をかけておくことにより、耳鳴りを気にせず眠りにつくことができるようになります。
補聴器を使って聴こえを補うことで、音の信号を受け取りづらくなっている脳の細胞の興奮状態を鎮めることも有効です。
補聴器をかければすぐその日から効果があるというわけにはいきませんが、補聴器を使い続けることで敏感になってしまった脳細胞を再教育することで長期的には耳鳴り抑えることが可能です。
耳鳴りはとても不快で、効果的な薬もあまりなく、やっかいな症状です。
耳鳴りそのものをゼロにすることは困難ですが、耳鳴りによる様々な体調不良をコントロールして、より快適な生活を取り戻すことは決して不可能ではありません。
年のせいだから仕方がないとあきらめていないで、是非ご相談ください。