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知多研コラム

第6回 「秋の風景」

 下は稲架(ハザあるいはハサ)かけの写真です。9月12日に経済学部の学生、美浜町の農家と一緒に、鎌で稲を刈り、稲架を作って天日干しをしました。コンバインが普及する以前には、稲架かけは農村でよく見られた秋の風景です。

 天日干しの方法や呼び名は地域によって異なります。私が育った九州筑紫平野では「稲こづみ」と呼んでいました。刈り取って束ねた稲を田面に十字形に置いて、1.5mくらいの高さまで積み上げる方法です。東北地方では、一本の棒を垂直に立て、棒に沿って稲束を順次積み上げる「棒掛け」、「ホニオ掛け」などが行われてきました。九州や四国の乾田地域では、稲こづみのような地干し法が一般的であったのに対して、湿田地域では棒掛けや稲架かけのような掛け干し法が一般的だったようです。知多半島では地干し法と掛け干し法が併用されていました。稲架を使って掛け干しするほかに、刈り取った稲を水田の畦に並べて地干ししていました。

 天日で干した米は、乾燥が進む間に稲の養分が実に蓄えられて、一層おいしくなるそうです。私たちが刈り取った稲は、1週間の天日干し、脱穀、籾摺りを経て玄米へと形を変えました。天日干しの効果を実感できそうな秋を迎えることができました。

参考文献
有薗正一郎(2007):『農耕技術の歴史地理』古今書院.

日本福祉大学知多半島総合研究所
地域・産業部
日本福祉大学経済学部

准教授 加茂 浩靖