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知多研コラム

第4回 「古島敏雄『子供たちの大正時代』より」

 長野県出身の歴史家・古島敏雄さんの『子供たちの大正時代』(平凡社 1997年)に、「入学前の夏愛知県知多半島の河和という土地へ学校から海水浴に行ったさい、半田の町あたりで制服の女子学生が多数自転車に乗っているのをみて驚いた…」と記されていました。

 古島さんが飯田中学校に入学したのは、大正13年(1924年)です。日頃、海を感じることのできない中学生のために、知多半島で臨海学校が行われたのでしょう。そのころの飯田の女子学生はセーラー服ではなく、和服に袴だったため、自転車通学はできず、半田の女子学生の様子はとくに印象深かったようです。

 古島さんは、農業史・産業技術史・交通史を専門とし、とくに人々の暮らしぶりを描こうとした研究者でした。和服から洋服への移行や自転車の普及は、大きな生活の変化です。また、地域による生活の違いは、今より大きかった時代です。海なし県である長野県と知多半島とは全く異なる生活・文化を感じたことでしょう。

 今年、地元長野県のことを卒業論文に選んだ4年生がいます。長野県と知多半島との違いについてどのように思っているのでしょう。少し聞いてみたくなりました。

子供たちの大正時代
―田舎町の生活誌―
(著者:古島敏雄 出版:平凡社ライブラリー)

知多郡立高等女學校

日本福祉大学知多半島総合研究所
歴史・民俗部 部長
日本福祉大学経済学部

教授 曲田 浩和