日本福祉大学は様々な連携・協力の協定を各地の自治体と締結しています。そのひとつ長野県宮田村出身の土田さんは自治体推薦入学試験という特別な入試を利用して本学へ入学されました。卒業した現在は故郷、宮田村の役場職員として奮闘する日々ですが、大学時代に得た経験や学びが現在の仕事でもたくさん活かされていると話してくださいました。

自然豊かな宮田村の風景

宮田村から日本福祉大学へ

 部活の顧問の先生に誘われて地元の小学生にバドミントンの指導を始めたのが高校生の時。子どもたちと関わる時間がとても楽しくて「先生という職業が向いているのかな」と教員を志すようになりました。進学先を探す中で日本福祉大学の自治体推薦入試の情報を知り、受験を決めましたが、自治体の推薦だからといって特別なプレッシャーとかは全く感じませんでしたね。それよりも「村の方々に応援されている」という心強さを感じ、感謝と嬉しさの方が大きかったです。

≪本学の自治体推薦入試を実施している自治体≫※令和5年度現在

山形県最上町、山形県遊佐町、富山県南砺市、長野県宮田村、長野県阿智村、長野県辰野町

大学で学んだ「ふくし」の視点

 日本福祉大学を選んだ理由はいくつかありますが、自分が今後、さまざまな子どもたちと接していくと考えた時に“多様な「ふくし」の視点に触れる環境がある”という所が一番のポイントなりました。実際入学してみると、座学での学び以外にも全国のさまざまな地域から学生が集まっていたり、その中には障害や特性を抱えている人、同年代だけでなく社会人がいたりと皆それぞれ違った背景を持っていて。そういったことからも自然と多様な意見が集まる環境なんだと感じました。

 大学での学びはどれも楽しかったですが、特に模擬授業を作るのが楽しかったですね。教材もとことんこだわって作ってしまうタイプなので、夢中で取り組みました。特別支援教育の教職課程も履修し、最初は多角的な支援という部分に難しさを感じていたんですが、意識しながら関わることで支援の幅も広がるということを実感しました。

心を込めて作った教材は子どもたちにも伝わったようです

教育実習で気づいた故郷・宮田村への特別な想い

 教員という目標から宮田村の職員へと将来の方向性を変えたのは母校である宮田小学校での教育実習がきっかけでした。率直に言ってしまうと、宮田村の子どもたちと関わる時間が楽しすぎて「(広い範囲で)子どもたちのために」と思っていた部分が、「宮田村の子どもたちのために何かしたい!居場所を守っていきたい!」という思いの方が強くなってしまったんです。

 現在は教育委員会に配属されたこともあって、村の子どもたちと関わる機会も多くいただけています。イベントの企画や運営なども教育者としての視点で考えたり、子ども・学校・保護者それぞれの立場で考えたりできるのは大学での学びが活かされていると感じます。それぞれがご苦労されている部分もわかっているので、そういった部分を少しずつでも解決していけたらと思っています。

 これからも子どもたちはもちろん、村民の方々の暮らしに寄り添いながら、みんながほっとできる宮田村を守っていきたいです。

高校生・在学生の皆さんへ ~私が考える「ふくし」~

 私にとっての「ふくし」は多様性。世の中には色々な人がいるので自分と違う意見があるのは当たり前だと思います。私自身も時には首をかしげてしまうような意見と出会うこともありますが、最初から否定するのではなく、「そういう考え方もあるのか…」と受け入れるようにしています。間違っていることを指摘するのは簡単ですが、聞こえてくる言葉ひとつで間違いだと判断するのではなく、その人のこれまでの経験や背景からそういった意見が生まれるんだなと考えることが「ふくし」なんじゃないかなと思います。

取材後記

 大学在学中も宮田村で開催される地域イベントに参加したり、反対にキャンパスがある愛知県美浜町のお祭りで宮田村のブース出展を手伝ったりと地元との繋がりを保てる機会を大切にしてきた土田さん。「進学で一度村を出たからこそ“宮田村は自然豊かで落ち着ける場所なんだ”と改めて感じることができました。これからも村の魅力をたくさんの人に知ってもらいたいです!」と最後まで地元愛にあふれる土田さんのインタビューとなりました。

宮田村出身の学生たちと地域のイベントに参加

宮田村教育委員会 こども室 学校教育係

土田 玲央さん

REO TSUCHIDA

  • 日本福祉大学 子ども発達学部(現:教育・心理学部)
    子ども発達学科 学校教育専修 2020年卒業
  • 長野県出身

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<取材:松本オフィス>