私の家にはなかなか風変わりなルールが二つある。一つ目のルールは、「毎週日曜日の夕食は必ず家族揃って食べなくてはならない」というものだ。このルールを周りの人に話すと、仲が良いんだね、とか素敵な決まりだね、といった能天気な感想が返ってくるけれど、当事者の私からすればそんなに生易しいものではない。私が友達と遊ぶ約束をしても、午後五時には切り上げて先に帰らなければならなかったりして、このルールのことがあまり好きではなかった。折角の日曜日はもっと遊んでいたいし、先に帰ると友達に気を遣わせてしまう。 因みに二つ目のルールというのは「夕食後、一人ずつ三分間スピーチをしなければならない」というものだ。スピーチというからにはいつものような雑談式の語り口調は許されない。私は元々かしこまった形で文章を考えるのが不得意で、その上急に三分間だなんて言われてもちっとも上手くいかない。一つ目のルールのストレスに加えて二つ目のルールも何だか宿題を毎週課されているようで面白くなかった。 ところが最近このような私の家のルールに対する見方を少し変えるような出来事があった。学校で家族の話題になったときに、私が他の誰より家族のことを把握しているのだ。歴史小説にはまり始めた父、資格に興味を持ち始めた母、就職活動に悪戦苦闘する兄のことを、私は週単位で把握していて、友達は親兄弟が最近何に興味があって普段どんなことをしているのかということを、意外と知らなかったりする。 そんなことが明らかになってから、私としては半ば嫌々ルールに従っていただけにせよ周りより家族のことを知っている自分が誇らしくなって、この風変わりな家のルールもそんなに悪くないと思ったりしている。私は今でも日曜日は早く帰り、スピーチをしている。因みに、最近私はスピーチに結構自信がある。
「毎週日曜の夕食は必ず家族揃って食べなくてはならない」「夕食後、一人ずつ三分間スピーチをしなければならない」という作者の家の「風変わりなルール」を楽しく読ませてもらいました。作者にとっては大変なルールだと思いますが、家族のことを知り、自分の考えを話す最高の教育になっていると思います。そんなユニークなルールを家族の具体的なエピソードを交えながら書いている点と、反発しながらもルールを受け入れ、自分の長所につながっていると感じる作者の気持ちを正直に書いている点を評価しました。